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騎士サマ親衛隊隊長な姫君  作者: 萩之まろあ
親衛隊結成後のこと
10/16

親衛隊会議

 本日、我々親衛隊はラプネーの家で会議を行っております。


「では、白百合の騎士隊が町を通過する際に使用する白リボンを持つ親衛隊隊員の手を保護するという理由により、全員分の白手袋を予算から購入するということで宜しいですか。賛成の方は挙手をお願いします。…………はい、賛成多数により、この案は可決いたします。

 では、最後の議題ですが――――――」



「イヴァン様のお誕生日企画についてーー!!」



 インテリ眼鏡女子である議長サラの言葉を遮るように、親衛隊隊員たちの声が上がる。

 どきどきワクワク。皆の表情から、この企画を親衛隊の誰もが楽しみにしていることがダイレクトに伝わってくる。



「会議中は静粛に願います」

 一刀両断。

 キラーンと、サラのシンプルな銀色の眼鏡が光る。冷ややかなサラの一瞥に、隊員たちが一様に黙り込んだ。

 眼鏡をかけていることは一緒なのに、私と違ってサラには威厳がある。今度から彼女のことはサラ姐さんと心の中で呼ぼうかな。個人的に罵られてみたいとか、いけない発想に走りそうになっちゃうよ。あ、睨まれた。私の方から不穏な気配を察したのかな。勝手なことを考えてすみません。



「前回の会議ではラプネーさん宅の一室を借りて準備した後、イヴァン様をお呼びすると決まっていました。本日は各担当を決めます。部屋の飾り付け係、飲食物の購入係、それから――――」



「あのう……」


 話の途中だったが私は、おずおずと手を挙げる。

「何か問題でも? エリザ隊長」


「はい。昨夜になって急に思い付いたことなのですが、今回のイヴァン様のお誕生日企画はイヴァン様と親衛隊所属者だけで楽しむものですよね。それだと何だか参加者が限定されてしまって、寂しくないですか。勿論、大変な業務をこなしている親衛隊には何かしらの特典があるべきだとは思います。けれど、このお誕生日会を町を挙げて大々的に行うことが出来たら、町の人達も楽しめる素敵な一日になるのではないかと。ようは、お祭りがやりたいです!!」



 言い切った私は他の隊員の反応を窺った。すると、



「おお~」

「それは楽しそうですね!!」

「名案ですよ、隊長!」



 と、様々な歓声が上がる。「お誕生日には親衛隊でイヴァン様を独占したい」って反対されるかなと考えていたけれど、思い切って言ってみて良かった~。



「では、イヴァン様ご生誕祝賀祭を行うということですね。実行委員リーダーはエリザ隊長で宜しいですか。反対のかたは挙手を願います」

「え?」




 サラの進行に驚いている間に、「異議なし」の一言が何故か皆の口から次々に発せられていく。ちょ、ちょ……、ちょっと待てーい! 確かに言い出しっぺは私ですよ? でもね、それでリーダーになるのは肩の荷が重すぎると思うんだ。私は向いてないのに、既に親衛隊隊長をしているのですよ? これで更にお祭りのリーダーもやれと言うのですか。それは非道というのでは?



「無理です! お祭りを成功に導ける自信が、これっぽっちもありません!!」

「大丈夫。隊長なら出来ますよ。私も手伝いますから」


 隣の席に座っているラプネーが、私の肩をポンと叩いてくる。

 そうかなぁ? 私なら出来ちゃうかな? えへへ。

 …………じゃなーい! 思わず納得させられそうになったけど、無理無理無理無理無理!!




「賛成多数により、リーダーはエリザ隊長に決定しました。なお今後、祭りに関する取り決めは隊長に一任することとします。宜しいでしょうか」




 こうして。「異議なーし」という、元気の良い隊員たちの声で、その日の会議は締めくくられたのだった。

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