第四話「南能嶋の女神」
やぁ、私の名前は佐川秋歩。南能嶋高校一年、陸上部所属の女子高生だ。
今回は、このカンパスノートなるものに私自身のことを記すとのこと。うむ、交流を深めるいい企画だな。偉いぞ櫻木殿!よしよし。
む?いいから早く進めろ?
うむ、そうだな。まずは私自身のスリーサイズから…むぅ?
駄目か?しかし我が兄が「自己紹介は必ずスリーサイズから始めるもんや!!」と…
違うのか?…ふむ、兄は私にデタラメを教えたのだな?よし、理解した。後で仕置きだな。
よし、では櫻木殿。自己紹介は何を描けばよいのだろう?
…ふむふむ、生年月日か。
……櫻木殿、今年は何年だ?
…ふむふむ。そうか、2044年か。いやはや、最近自身の年齢を忘れることが多くてかなわんなま全く。
では、自己紹介を始めよう。
生まれは2029年、4月15日の牡羊座、血液型はABだな。
趣味は走ること。毎朝15キロのランニングをしているぞ。
家のことか?うむ、家は世界三大製薬会社のうちのひとつ、「佐川サプリ」のビル内にある。家にはゴールデンレトリバーの瀬ノ若丸がいつも元気に駆け回っている。
先程も言った通り、私は南能嶋高校の一年生だ。そして今横でこのノートの書き方を教えてくれている可憐な少女は、私の友人、櫻木花殿だ。残念ながら、私とは別のクラスである。
うん?可憐は言い過ぎ?ははは、櫻木殿は謙虚だな。
…あいわかった、家族構成だな?
私の家は母と父と兄、犬の瀬ノ若丸、私を含め、5人家族だ。
父の名前は佐川愁。現佐川サプリの社長でありながらも、とても親しみやすいのがいいところだな。
もちろん、母にベタ惚れだぞ。母は時折困った顔を見せては父の顎にアッパーをお見舞いしている。
母は佐川日和。元は一般家庭の生まれだと聞いたが、私たちにはそうは見えなかった。とても落ち着いた雰囲気に、もしや父の方が一般家庭の生まれなのでは?と思ったくらいだ。
そして兄。佐川 燿人。はっきりいって、たまに鬱陶しい、と感じることがある。だが、兄は東大現在校生で頭もいい。よく走り込みにつきあってくれるいい人だ。
…さて、こんなものか、櫻木殿?
うむ、書き物が苦手な私にしてはかなり頑張った方だぞ。前のページには…ん?
櫻木殿、この早妃島…という者は誰だ?
…ふむ、櫻木殿のくらすめいとか。随分達筆だな、私には到底書けぬ。また今度休み時間にでも呼んでくれ。一度はなしてみたい。
よし、櫻木殿。これを次に書くのは一体誰なんだ?交換日記のように、下に名前を書こうじゃないか。
こうして、楽しい櫻木殿との放課後は過ぎていった。