第三話「次期社長の御言葉」
僕の名前は神童実。世界三大製薬会社、「神童本舗」の18代目時期社長である。
家族構成は母上、父上、僕、妹の四人。
母上の名前は神童鏡華。我が神童本舗の17代目女社長であられる。
母上は生粋の神童家の血筋で、社長になられる前は、同じく世界三大製薬会社の佐川サプリの跡継ぎと婚約していたという。まぁ、それを解消したという失敗はともかく、これまで母上の積み上げてきた実績は、世界にさらに認められ、我が会社はさらに階段を上がっていっている。
僕はそんな誇らしい母上の跡継ぎになれるのだ。こんなに嬉しいことはない。
だが、しかし。
あいつがいなければ、僕の生活は順風満帆だった。そう、あいつがいなければ、だ。
母上と結ばれた、あの男。僕ら兄妹の父なる存在。
一般家庭に生まれ、ましてや両親もいない。神童家に入る筈の無かった血が、ずうずしくも土足で上がってきたのだ。
奴の名は、雨傘流麗。現時点奴は母上と結婚している為神童の名前を名乗っているが、僕は認めない。
そもそも代々我々神童家を警護する役目を仰せつかっているのは、桜庭家の者たちである。もちろん、執事長なる役割も、桜庭家の者だ。
だが桜庭家の兄弟らは、全員一致で、雨傘を永久執事任命を下した。
認めない。認めたくない。僕は、母上の子であっても、絶対に自分が奴の子だなどとは認めない…!!
…うん、少し取り乱してしまったようだ、すまない。時期社長であるというのに、情けないことこの上ないな。
妹は…うん。これ以上話すとイライラが増してくるから、今回は止めておこう。
僕が通う高校は南能嶋高校。母上の意志で受けた一般の公立高校だ。そこで僕は、久し振りの顔とあった。
小さい頃、まだ跡継ぎのことを自覚してない時。僕には、一人、一般家庭の遊び相手がいた。
ショートボブの茶髪をゆらゆらと揺らし、着ている服はいつも泥まみれ。シンプルだが綺麗な名前にはミスマッチな格好は、正直最初見たとき、あまりいい印象は無かった。
……っ!?お、お前、いつからそこに!?
…うるさいっ、いいから僕の視界に入ってくるな!
…ふ、ふん。まぁ、今回はここまでにしておこうか。メインの登場人物でおそらくあと2話程引っ張るだろうからな。覚悟しておけよ。
ゆらゆらと揺れる桜を見つめながら、僕は書き終えたノートを机の中に締まった。