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コウカイサキニタタズ
その日の放課後、ホタルはにぎやかな町のメインストリートにいた。
綺麗で都会的な通りなので老若男女、色々な人間がいた。
ホタルは落ち着きのあるカフェの前に置いてあったベンチに座り
人の流れをただ眺めた。
その間、ずっと由美の事を考えていた。
ーあたしは、ずっと由美の事はっきり言ってしつこくてあんま好きじゃなかった。
勘のいい由美の事だからそんなことは分かっていたはずなのに
それでもあたしに話しかけに来て、和ませようとした
クラスから孤立するのを必死で防ごうとしてくれた。
心の奥底で、由美の事が、大好きだったのに、
あたしはそれを由美に伝えることも出来ないで
感謝の気持ちも伝えられないで・・・・。
もう、言えない。何もかも
あの笑顔を絶やさずにいてくれた由美は
もう、いないんだから-
グズッ
そう考えた瞬間目尻が熱くなり
必死に涙を抑えようとするが
こうなっては抑えられるものでも無い。
道行く人の視線を気にして腕で目をかくす。
「泣いて、なにになんのさ」
自分にそう言い聞かせて立ち上がろうとした
その時