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ワカレミチ
「ホタル。大丈夫?」
五時限目が終わり、帰りのHRも終わった時に由美が自分の席に来た。
心配そうな顔を見ると自分の顔色が悪いのだろうか
「なんか、顔色悪いよ。やっぱ具合悪い?」
「イヤ・・・大丈夫。ちょっと風邪かもしれないけどそこまでは」
心配をかけたくなかったので嘘をついて安心させようとする。
案の定安心した顔になった。
「んじゃ、悪く何ないうちに変えろっかぁ」
由美が気を使いホタルのバックを持った瞬間
「オイ、白花。ちょっとお前こい」
担任の教師に呼ばれてしまった。
「あーらら、ま、仕方ないよ。いっといでホタル後でめんどいよ。」
一理ある。あの教師はねとねとしつこいから逃げたらめんどくさそうだ。
「あたし先帰るから気にしないで」
「ん・・・ありがと。明日なんか奢るわ。」
「んじゃあミスドのドーナッツで!」
「オッケー、じゃあした」
「うん、ばいばーい」
教室を出るときに満面の笑みで手を振る由美。
これがあたしの見た、生きた由美の最後だなんて
あの時はまだ、知らなかった。