3日目
そうしてクラスに戻ると、教卓を囲むように人集りが出来ていた。真純関連なのは確かだろう。
後ろから顔を覗き込むと、教卓の上にはスマホが置かれていて、ちょうどトイレで見たネットニュースが開かれていた。ただし、内容は違った。
「夏ヶ丘市内の高校で亡くなった女子生徒について、 警察は現場の状況などから事件性は低いとみており、 自殺の可能性が高いと発表した……って、真純が……?」
「んな訳あるか!おかしいだろいきなり。あの日だって、真純は笑っていただろ。こんなの、おかしい!」
圭吾が教卓を叩きつけて声を張り上げる。
「で、でもさ……自殺って原因があったわけじゃん?それってさ、多分真純の相談したかったことだよね」
クラスではあまり喋らない来栖侑子が声を上げ、言葉を続ける。
「それってさ、圭吾君が言ってたストーカーの事だよね?それってさ、3組の……」
「前田か」
圭吾がそう言ったあと、侑子は静かに頷いた。クラスの皆も納得したのか、互いに目配せしている。
「前田くんってさ、真純ちゃんのこと好きだったけど、振られたでしょ?じゃあその恨みで……なんてこと無いかな」
「チッ、くそが……あいつ……」
周りに目もくれず出ていこうとする圭吾を慌ててクラスメイトが制止する。
「まだ確定じゃないし、落ち着いて!」
「ほぼ確定だろそんなの。お前らなんで落ち着いていられるんだ……」
段々と声色が弱くなっていき、地面にしゃがんで、圭吾は涙を流した。悲痛を浮かべた表情に誰もが顔を歪め、涙を浮かべる者もいた。
これだけ想ってくれる人がいる。それなら真純も報われる。俺はただ、見ているだけでいい。
放課後。静まり返った1日だった授業中では誰もが寝ること無く、ノートを取ることも無かった。休み時間では、談笑する声は無く、暗い顔を浮かべていた。
しかし圭吾は足早にその場を離れ、3組の方向へ向かっていった。
「ちょっ、まずいって……!」
圭吾と仲の良かった東雲暁仁が声を上げ、後を追う。クラスメイトもその後を追ったり、窓から覗いたりしている。しかし、必死になって止めるも者は現れなかった。
「おい、前田。いるんだろ、でてこい!」
声を大にし空也を探す。3組の連中も事を悟り、視線を空也に向ける。
「そこか」
「ちょっ、なに急に」
空也は焦った様子を見せる。
「お前……真純に何したんだ!」
「いや、何したって別に……」
「シラ切るのか、このクソ野郎が」
「待ってよ、僕はただ告白しただけだよ。確かに懲りずに3回以上告白したけどさ」
「それだけじゃねぇだろ。ストーカーしてんだろ?」
圭吾が空也の胸ぐらを掴む。そばにいる人はみな、黙認していた。
「す、ストーカー?なんで僕がそんなこと……」
「真純から聞いたんだよ。ストーカーされたり、ロッカーに変な紙が入ってるってな」
空也は左手に持つスマホをポケットにしまって、圭吾を突き飛ばした。
「僕はそんなことしてない!なにか証拠でもあるの?そもそも碓氷君だってストーカーしてない証拠があるの?」
「……チッ」
圭吾は震えている空也を鋭く睨みつけ、教室を出た。先生が駆けつけた頃にはその場が静まり返っていた。そのまま全員帰宅していった。
――放課後。
夕暮れに沈む校舎を見上げる。
ちゃんと、見てるよ。
校舎の窓が夕陽を映していた。
読んで頂きありがとうございます。
毎話が1,600文字あたりと少ないように感じますが、「読みやすくて良いか」と思っております。(笑)
5分程度で読めますからね。
では、また次話でお会いしましょう。
そして、次話以降も読んで頂けると嬉しいです。
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