2日目
「死んだっていきなり言われても、そんなの信じられるかよ」
クラスでも真純と仲の良かった男子である、碓氷圭吾が震える声でそう言った。クラスメイトの誰しもが、そう思っているだろう。しかし、彼女の椅子には誰も座っていない。いくら席を見つめても、賑やかだった彼女とクラスは帰ってこないのだ。
「もしかして、いじめとか?」
「真純に限ってそんなことあるかよ。好かれることはあっても嫌われることなんて無いに決まってる」
「で、でもよくモテる子は他人から妬まれて虐められたりするじゃん」
「そんな素振りは無かったよ。傷跡も無いし、何よりあれだけ笑っていたのが証拠だ。それともいじめられていた確証でもあるのか?」
「可能性の話だよ……」
「……わりい。取り乱した」
確かに、時に好意は憎悪へと成り代わる。しかし、圭吾の言う通り彼女は虐められてなんかいないだろう。
「とにかくこれ以上詮索はやめよう。みんな疲れてるだろうしはやくかえって休もう」
圭吾の呼び掛けにクラスメイトは同意し、帰る準備をし、逃げるように校門を出た。
「夏ヶ丘市内の高校で女子生徒 (2年)が家庭科室内で倒れているのを職員が発見し、その後搬送先の病院 で死亡が確認された。
現場に荒らされた形跡はなく、警察によると死因は判明しておらず、特定を急いでいる。
学校によると、生徒に目立ったトラブルは確認されて いないという。」
朝起きてすぐにネットニュースを見ると、昨日の事が綴られていた。死因は未だ不明らしいが、死亡が確定したことにより昨日の悲劇がフラッシュバックする。それから朝の準備をし、学校へ向かう。
学校では昨日とはうってかわってやけに騒がしく、クラスに入ると視線を感じた。
「……なあ、お前真純が死ぬ前に学校で会ったんだって?」
どこで見られていたのかは分からないが、おおよそ声が聞こえでもしたのだろう。
「確かに会った。廊下を歩いているとき話しかけられたけど、その後解散したよ。相談があるって言われたけど、そんな仲でも無いからどうしていいかわからなくて。それから別れたよ」
「じゃあ、その後真純の後を追って殺す……ってことも出来るよな」
「出来るだろうけど……そもそも死因も分かっていないのに決めつけるのは早いだろ。それに動機もない」
「ねえ、相談内容ってなんだろう」
話を聞いていた女子が口を開く。
「さあ。モテるだろうし、ストーカーとか、それこそ家庭科室で告白の返事をする用があったとか?」
「……たしかに変なやつにつけられてるって言ってたな。お前にも相談しようとしてたのか」
端にいた圭吾が口を開き近くに寄ってきた。仲が良いからそういったことも話していても不思議ではない。
「仲の良いやつにあまり知られたくないかもしれないしな」
「それもそうか」
「疑ってごめん。ちょっとテンパってて……」
「仕方ないよ。俺だって動揺してるし、悲しいよ。俺が君だったら、同じように疑ってた」
そうして朝のホームルームが始まる。昨日のことにはあまり触れられず、このことを口外しないことと、マスコミが来ても無視するようにだけ言われた。
それから朝のホームルームが終わり、トイレへ向かった。
「なあ、真純を殺ったのあいつじゃね?」
「誰?」
「前真純に告って振られたヤツ。3組の……」
「ああ、前田か」
トイレに入る前に、中から声がした。中に入るのを躊躇い、タイミングを見計らうことにした。
前田空也。帰宅部で、一時期有名になったやつだ。なんでも3度も真純に告白したが、全て振られているやつ。パッとしないやつだが、頭は良い。
しばらく聞いていて我慢も疲れたためトイレへ向かう。話しかけられるのも嫌だったので、大便器に入った。
外での会話が終わり、スマホを取り出す。ネットニュースには追加の情報は無かった。そうして、ゆっくりと息を吐いた。
「……特に進展は無しか」
読んで頂きありがとうございます。
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なにぶん、創作は久しぶりなものですから。
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