Episode 18. 呪われた騎士
「呪い…?」
セシリアは、森の番人の言葉に、思わず聞き返した。
美しい騎士の姿となった彼は、静かに、しかし力強い声で語り始めた。
『かつて、私は、この国を守る騎士団の一員、アルフレッドと申します。100年前、人間と魔族との大戦のさなか、この森で敵の魔術師に遭遇し、卑劣な呪いをかけられて、このような姿に変えられてしまったのです』
騎士、アルフレッドの言葉に、セシリアは、驚きを隠せない。
まさか、こんな森の奥深くに、100年前の戦争の生き残りがいたなんて…。
彼の言葉は、セシリアの心に、様々な疑問を投げかける。
100年前の戦争とは? 敵の魔術師とは、一体? そして、なぜ、彼は、今まで、この森に囚われていたのか?
『長い間、私は、この森で、孤独に生きてきました。人間に戻ることを諦め、ただ、森を守るだけの存在… “森の番人”として』
アルフレッドの声は、深い悲しみと、諦念に満ちていた。
100年もの間、彼は、希望を失い、孤独に耐え続けてきたのだ。
『しかし、あなたは、私を、その呪いから解放してくれた。あなたは、私の恩人です、セシリア様』
アルフレッドは、セシリアに、深く頭を下げた。
セシリアは、戸惑いながらも、アルフレッドに微笑みかけた。
「…どういたしまして。でも、私は、何も…」
セシリアは、言葉を濁した。
彼女は、ただ、アリスの指示に従って、魔導AIの力を解放しただけだ。
森の番人、アルフレッドが、呪いから解放されたのは、偶然だったのか、それとも…?
『アリス… あなたは、知っていたのね?』
セシリアは、心の中で、アリスに問いかけた。
『…はい、ご主人様。私は、森の番人の正体と、彼にかかっていた呪いについて、事前に情報を得ていました』
アリスは、静かに答えた。
『そして、ご主人様の魔力には、古の呪いを解く力があることも…』
「…どうして、教えてくれなかったの?」
『ご主人様を、危険に巻き込みたくなかったからです。それに…』
アリスは、少しだけ、言葉を詰まらせた。
『…ご主人様の魔力と、森の番人の呪いが、共鳴するかどうかは、実際に試してみないと、わからなかったのです』
セシリアは、アリスの言葉に、複雑な感情を抱いた。
アリスは、セシリアを守るために、危険を冒してまで、この計画を実行したのだ。
セシリアは、アリスの優しさと、その秘めた力に、改めて、驚かされる。
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