表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/20

Episode 17. 共鳴

森の中は、静寂に包まれていた。


 木々のざわめきも、鳥のさえずりも、聞こえない。


 世界が、一瞬、息を止めたかのようだった。


 ただ、セシリアの心臓の鼓動だけが、大きく響いていた。


 彼女の体から放たれた光は、森の番人を包み込み、まるで、琥珀の中に閉じ込められた昆虫のように、その動きを止めていた。


 光は、次第に、その色を変え、青白い輝きから、温かみのある金色へと変化していく。


 セシリアは、ゆっくりと目を開けた。


 目の前の光景に、彼女は、息を呑んだ。


 森の番人の体は、光に包まれ、徐々に、その姿を変え始めていた。


 荒々しかった樹皮は、滑らかで美しい銀色の金属へと変化し、鋭い爪は、繊細な装飾が施された指へと変わっていく。


 まるで、醜い魔法が解け、本来の姿を取り戻していくかのように。


 そして、赤く光っていた目は、優しい青色に輝き始め、牙の生えていた口元には、穏やかな笑みが浮かんでいた。


『…ご主人様、これは…』


 アリスもまた、驚きの声を上げた。


 セシリアの魔力が、森の番人と共鳴し、その姿を変えてしまったのだ。


 それは、アリスでさえ、予想していなかった出来事だった。


 セシリアは、恐る恐る、変化した森の番人に近づいていった。


 かつては、恐ろしい怪物だったその姿は、今では、まるで、美しい彫刻のようだった。


 その姿は、もはや、森の番人ではなく、高貴な騎士のようだった。


 セシリアが、そっと、その手に触れると、森の番人は、ゆっくりと目を開けた。


 その瞳は、セシリアを、優しく見つめていた。


「…怖くないの?」


 セシリアは、思わず、そう尋ねていた。


 森の番人は、首を横に振った。


 そして、まるで、人間の言葉を話すように、セシリアに語りかけてきた。


『…感謝します。あなたは、私を、呪いから解放してくれた』

数ある作品の中から今話も閲覧してくださり、ありがとうございました。


気が向きましたらブックマークやイイネをお願いします。

また気に入ってくださいましたらこの後書きの下部にある⭐︎に高評価を宜しくお願い致します。


執筆のモチベーションが大いに高まります!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ