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Episode 15. 森の番人

 木漏れ日が差し込む、静かな森。


 セシリアは、アリスと共に、森の中を慎重に進んでいった。


 転移してから、すでに数時間が経っている。


 しかし、追跡者の姿は見当たらない。


 アリスの転移魔法は、完璧に成功したようだ。


 周囲には、色とりどりの花が咲き乱れ、小鳥たちのさえずりが、心地よく響き渡っている。


 美しい風景だが、セシリアは、気を抜くことはできなかった。


 追跡者の正体も、目的も、わからないままだ。


 そして、この森自体にも、未知の危険が潜んでいる可能性がある。


「アリス、追跡者の情報は、まだ?」


 セシリアは、星詠みの水晶に尋ねた。


『…申し訳ありません、ご主人様。まだ、彼らの正体は、特定できていません』


 アリスは、少しだけ、困ったような口調で答えた。


「そう… わかったわ」


 セシリアは、少しだけ、落胆した。


 しかし、焦りは禁物だ。


 アリスを信じて、待つしかない。


 その時だった。


 セシリアは、森の奥から、かすかな物音を聞いた。


 それは、木の葉が擦れる音とも、動物の足音とも違う、何とも形容しがたい、不気味な音だった。


 まるで、巨大な何かが、ゆっくりと、しかし、確実に、セシリアたちに近づいてくるような…。


「…アリス、聞こえた?」


『はい、ご主人様。音源を、特定しています…』


 アリスは、緊張した声で言った。


 次の瞬間、セシリアたちの目の前に、巨大な影が現れた。


 それは、まるで、木々から生まれたかのような、異形の怪物だった。


 全身が、苔むした樹皮で覆われ、枝のように伸びた腕には、鋭い爪が生えている。


 その顔は、人間のようでありながら、どこか異様で、口からは、鋭い牙が覗いていた。


 その目は、赤く光り、セシリアたちを、鋭く睨みつけていた。


『…ご主人様、危険です! あれは… “森の番人”です!』


 アリスは、叫んだ。


 森の番人。


 それは、森の秩序を守る、精霊のような存在。


 しかし、同時に、森に侵入する者を、容赦なく排除する、恐るべき守護者でもあった。

数ある作品の中から今話も閲覧してくださり、ありがとうございました。


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