*Twitter*【#140字小説】No.131~140
No.131【#メモ帳は一つにしよう】
「お婆ちゃん、また忘れちゃったんだって!」同じ話にうんざり顔の孫娘。「仕方ないでしょ、お婆ちゃんは物忘れのプロなんだから。」まったくね。「お母さん、忘れないようにメモしなよ?」「だから書いといたのよ。」「あら、良かった。」「それを…どこに書いたかわからないのよ。」なんたる無意味!
No.132【#黒雲】
「せいう~それは~僕が見た痛み~僕が見ぃ~た悲劇ぃ~せいう」「おまえは線香か。」やってしまった。飲み会の席で、一張羅に盛大に醤油をこぼしてしまった…。「調子に乗って、舟盛なんて頼まなければよかった…!」「や、酒グセ悪いんだから、白い服着てくんなよ。」暗闇の~黒ぉ~い雲ぉ~せいう。
No.133【#胸糞悪い】
今夜も隣の部屋から悲鳴がする。苦痛と悲痛の耐え難い叫びに、心が滅入ってしまう。怖いが、私は艱難辛苦に耐え扉を開けた。「壁薄いんだから、もっと音量下げて!」「ノックしろよ、寿命が縮むだろ?」「早く消して!」ホラー映画好き兄が「トイレついてってやろうか~?ニチャァ」私をバカにしよる。
No.134【#ビギナーズラック】
「結構ボリュームあるよ!」彼女オススメの大盛で有名な定食屋に来た。隣の人の海鮮丼が旨そうだから、それにするかな。注文すると、「特盛にしときますね!」なぜか店員のおばちゃんが特盛宣言して勢いよく去って行った。しかも初見の俺にだけ。や、チョ待っ!そんな食えんよ!俺の腹見て判断するな。
No.135【#ちぃと鳴く】
え…?「俺だって泣けるなら泣きたいよ」ドア越しに彼の声。泣く?「ちぃ…したい」はぁ!?H!?なんてこと…私は怒りに震える手でドアを開けた。「チョット!泣きたいとか、Hしたいとか、どういうつもりよ!?」「なくのは、口に鳥。したいのは、チー。」彼は静かに本を手渡した。「…麻雀入門編?」
No.136【#ATM】
「こんな時間でも銀行やってんだね?」「さすがに窓口は閉まってるよね?」「うん、ETMだけよね?」おっと…。「訳して?」「え?Eート、タイム…Cは、センター?」ETCに変わってるし。「銀行はいつからフードコートにおなりになったんすか?」「あれ?PTAだっけ?」役員か!「DHA?」頭悪くなってる!
No.137【#物語の続き】
嘘だ…ありえないよ。あいつが犯人?そんなはずは…だって、あいつにはアリバイがあったはず。そうだよ、そう。衝撃展開の続きを続きを…ページをめくる手に汗が滲む。やっぱり…この人、天才ミステリー作家だわ♪結末まで読むために、2周目の池袋駅を発車する。山手線は、今日も混んでおる。平和だ。
No.138【#正義の反対語は相手の正義】
「お母さんが様子を見てくる。」そう言って、母は私たちを残して出て行った。地響きの音が怖かった。「安全を知らせに戻るって言ったのに…。」結局、母は戻らなかった。「僕が母さんを捜しに行く!」弟が飛び出した。途端、巨人は凶器を振り下ろし弟は潰れた。直後、私に噴射する霧で意識が遠ざかる。
No.139【#埼玉弁 #生年月日】
「こちらに生年月日のご記入お願いします。」ふんー…と推定70代の老人は鼻ため息をこぼし、用紙を老眼から遠くへかざす。大正、昭和、平成、そして令和。「昭和だいな、昭和だいな。」確認することか。どう見ても平成ではないだいな。大正でもなかんべ。そんで今は令和だいな。迷わず昭和に丸だんべ。
No.140【#情報搾取】
個人情報保護の世の中だよな?だけど、情報社会でプライバシーなんて、あったもんかよ。電源オフったってAIは聞いてるらしいじゃん。だから俺は、心に固く誓った。物書きかぶれに二度と真実を伝えない。だって、なんでもかんでも140字小説のネタにされちまうからな。「それ、もらい♪」じゃねぇから。