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モラトリアム 

 困った事が起こりました。

 婚約者様がどうやら浮気をなさっているようなのです。

 私は見ていないのですが、複数の友人の目撃情報がありますから、ただの噂と考える訳にはいきません。真偽のほどを確かめるため、婚約者様に訊ねることにしたのです。


 すると、


「それがどうかしたか?」


 なんとお認めになられたのです。


「ただの浮気だ。そんな些細なことを聞きに来たのか?」


 しかも堂々と『浮気』と宣言される始末です。

 普通は隠すものではないでしょうか?


「貴族なら当たり前だ」


「私たちは婚約者同士ですよ?」


「婚姻前だろ?お前とは()()()()()()んだ、一々文句を言ってくるなよ!」


「これは裏切り行為に値しますよ?」


「おいおいおい!なにを真面目に言ってるんだ。結婚したら嫌でもお前と一緒にいないといけないんだぞ?学生の間だけでも自由にさせてくれよ!」


「自由ですか?」


「そうだ!いいか、学生というのは、期間限定の自由な時間だ。学生の間だけでも満喫したいもんだろ?恋に遊びに、今だけしか味わえない青春を謳歌すべきだ!」


「確かに、()()()()ではあります」


「そうだろ!なんだったらお前の『恋人』を作れ!恋は良いぞ!新しい自分を発見できる」


「は…あ」


「あ!もうこんな時間か!おい!お前!納得したなら、さっさと帰れ!今からデートに行かないといけないんだ。暇なお前と違って忙しいんだ!」


 婚約者様は慌ただしく扉を開けて出て行かれました。



 それにしても、まさか婚約者様が浮気を推奨なさる側の貴族だったとは…意外です。御父上の公爵様には浮ついた噂のない方でしたから。


 お顔が頗る良い婚約者様なら『恋人候補』が列をなす事でしょう。

 それにしても『恋』ですか。

 あら?

 そう言えば、私は初恋もまだでした。


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