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いざ出陣 

 

「まぁまぁまぁまぁまぁ!!! 可愛いわ可愛いわ可愛いわ!!!」


 お茶会の当日、私は淡い緑のドレスに身を包んでおります。フリルはあるものの少し大人っぽいデザインのドレスです。


「バーバラ、よく似合っているぞ! 流石、私たちの娘だ! 天使が空から舞い降りたかのようだ!」


 お父様、言い過ぎですわ。

 親バカの贔屓が過ぎるというものです。

 侍女達もきっと呆れているでしょう。



「「「「「「お嬢様、大変可愛らしいです!!!」」」」」」



 あら?

 呆れていない?

 寧ろ、お父様同様に絶賛?

 侍女達が声を揃えて讃えてくれます。ちょっと恥ずかしいですね。

 私がお茶会へ参加することが決定してからというもの、毎日がドレスの品評会でしたから。侍女達も両親同様の「身内贔屓」が身に付いてしまったのではないかしら?



 

 コンコン。

 ノックの音の後に執事のセバスが入ってきました。


「失礼いたします。奥様、お嬢様、そろそろ出発の時刻になりました」


 この異様な光景を目にしても動じることなく職務を遂行する姿は流石です。



「もうそんな時間なのね。では、あなた行って参りますわ」


「ああ、気をつけてな」


「ええ。バーバラ参りましょう」


「はい、お母様。お父様、皆、行ってきます!」


「「「「「「行ってらっしゃいませ」」」」」」


 私はお母様と一緒に馬車に乗り込み、お父様たちに見送られました。

 今回は「淑女のみの茶会」。お父様はお留守番なのです。残念そうにしていましたから、お茶会での様子をお土産にする予定です。






「バーバラと一緒にお茶会だなんて久しぶりだわ」


「お母様と一緒にお茶会に参加できて嬉しいです。お父様は可哀そうでしたが……」


「それは仕方ない事だわ。今回は男性は不参加が原則のものなんですもの」


「そうですね」


 私は少々不安です。

 なにしろ、お茶会は()()()以来なのです。


「ふふふ。大丈夫よ、バーバラ」


「お母様?」


 心底楽しそうに笑うお母様。


「あなたを傷つける輩などいないわ」


 口にした言葉はなんとも頼もしいかぎりです。

 私が不安な表情をしていたので言ってくれたのでしょう。気休めとはいえ、お母様の心からの微笑みは有無を言わさないものがあります。これが「貴族婦人の嗜み」というものなのでしょう。お母様は私の目標です!





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