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婚約者side

 

 僕は、名門貴族のスコット公爵家に生まれた。

 名前はチャールズ・スコットだ。

 両親から愛され、屋敷の者から傅かれ、全てが順風満帆だった。


 あの日までは。

 婚約者と会った時から僕の人生が狂った。

 そうに違いない!

 醜い女に抗議したら父上から殴られた。生まれてこのかた殴られた事など一度たりともないというのに!



「父上いったい、どういうことですか!」


「何がだ?」


「あんな子豚と婚約とは正気ですか?!」


「ロジェス伯爵令嬢になんて事を言うんだ!」


「噂通りの白豚令嬢じゃないですか!!!」


「チャールズ!!!」


 婚約者の顔合わせ。

 相手の令嬢に対して「失礼極まりない態度だ」という事で父上に殴られ、その後の抗議にも殴られた。

 ふざけるな!

 父上もどうかしている!

 あんな豚と結婚だと!?


 友人達に笑われるだろう!!!





「チャールズ、白豚令嬢と婚約したって本当か!?」


「はぁ!?あの子豚令嬢と?」


「おいおいおい!正気か?」


「お前、食われるぞ!白豚令嬢は美味しものが好物だからな!」


 公爵家が誇る庭園で友人達の笑いが風に乗って屋敷中に届いているようだ。あんな恥ずべき豚と婚約したお陰でこの僕が嘲笑の的にされるなど…あっていいものか!


 あの豚は僕の言葉を気にしてか痩せた姿で屋敷に訪れた。


 変わり過ぎだろ!?


 そのことを指摘したら再び父上から殴られた。おかしなことは言ってないはずだ!

 僕のために痩せた事は評価してやる。肥え太った醜い豚から愛嬌だけはあるリスに変化したんだからな。平凡な顔立ちに焦げたような色の髪と目、なにより菓子を頬張る姿がリスを連想させる。


 リスは僕に会いたくて仕方ないのかよく屋敷を訪れる。

 僕は暇なリスと違って忙しい身だ。なので屋敷に来る回数を減らすように命じたら、その日からめっきりと来なくなった。僕に従順なのはいいが屋敷に挨拶に来ないとは何事だ!



 今度来たら注意してやるぞ!


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