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第12話 〜デルタ〜

 

 ◇◇◇◇◇


「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ—————!」


 リーフの右腕は生々しいほど肌が裂け、肉が丸見え。だが、勝った。オデの力に勝った。オデの右拳を弾き返し——


 左拳がやってくる


「あはははは。無理じゃん」


 絶望に次ぐ絶望。リーフは右腕をだらんと揺らしながら城壁の上に立つ。迫る、迫る左拳。

 リーフは左拳を握り、目を閉じる。時間を稼げ、何故か来ないおじさんを、誰よりも信頼出来るおじさんの為に時間を稼ぐんだ。

 死ぬな、諦めるな。なのに、なんでこんなに心細いんだ。

 心が死にそうだ、諦めたいよ、諦めちゃダメなの?


『おじいちゃーん! もっとこう、強い必殺技とかないの?』


『あぁん? リーフは天才だからな〜、俺様の技も殆ど覚えちまったしな』


 竹林の中で石に座る拳神と、当時8歳の可愛らしいリーフ。ワンツーと右左と腕を振り、もっと動きたいアピール。だが、拳神の座右の銘は『洗練一筋』。長寿命の中で、3つの技だけを追求してきた。

 対してリーフはその3つの技を拳神までとはいかないが、自分が生涯追求するべきな技を僅か8歳で、自分自身の完璧にした。


『リーフは洗練って柄じゃねぇからな。お前は1回で”完璧”になっちまう』


 リーフ、彼女はとんでもない才覚ある人物。全ての戦闘の(スキル)我技(ユニークスキル)、体を使う技なら”見れば1回で習得できる”。

 そして、その技を己の1回で完璧な威力で使える。正に才女、正に天に愛された人物。

 しかし、それは———


 自分の中での完璧だ。自分を超える相手が現れた負けるのは必須。


『リーフ、お前は自分の限界を上げろ。上げることに努力しろ、それがお前の武器になる』


 拳神が30秒考えて、リーフの弱点。自分の限界が彼女限界になる。当たり前だが、彼女だからこその弱点。限界を超える、無理な話だ。人間誰しも飛躍的に限界を超えたら皆が強くなってる。だから、私は一つ一つ、着実に限界を超えてきた。


 だけど———


「無理なもんは…………無理だよ、おじいちゃん」


 迫る迫る迫る———左拳。


 無理だ、今にでも右腕の痛さに涙を出したいのに。ここから今すぐ逃げたいのに。街なんて、こんな街なんてただ1週間程度滞在しただけなのに。見捨ててもいいじゃん。

 逃げたっていいじゃん。


「あははは〜、なのに……オデとおじさんが守ってきたこの街と、皆の顔が頭にこびりついて取れないよ」


 リーフは左手で頭を軽く叩き——


 笑う


「おじいちゃんの座右の銘、洗練一筋。何かに打ち込んでる漢はかっこいいから洗練し続けた。私の座右の銘はいつの間にか———」


 ————限界突破だよ


 限界を超えろ、今、今! 限界を越えろ!


 リーフは息を吐き、大きく吸う。


「あ”あ”あ”あ”! 昨日声出しすぎて喉いてぇ〜。よっ! かっこいい、あんちゃん」


「もぉぉおおお! その黒の服とそのスカーフ! 幹部の1人じゃん!」


 ゴンの前に現れるは、紫の髪、青色の目、顔にタトゥー、腕にタトゥー、タトゥーだらけのイカつい細身の男、デルタが現れる。

 見たことがある、人を無差別に”殺しすぎて”ある2つ名が付いた。【虐殺人】。ギルド【黒装束】の幹部6人は全員が2つ名が付いている殺人ギルドでもめっぽう強い部類に入る。

 殺人ギルドの5本指にも入ると言われ、今は”技の魔王”と手を組んでいると噂されている。


「あ”〜、声荒らげんな耳いてぇ。ってかヤマの野郎にお前とヌアザと少女と諸刃の最弱を全員殺すべきだとか言ってるから、来てみたけどよ。お前だけが外れ枠じゃねぇか」


 くわ〜っと欠伸をし、頭をポリポリ掻く。まるでゴンが直ぐに倒せるような。ゴンは周りをチラチラと見て、住民が居ないことを確認し、上空に浮かべていた木材を、垂直に落とす。


「うぜぇうぜぇ」


 デルタの顔に書いてある鷹のタトゥーが光だし、木材を睨みつけそれだけで周りの家にヒビがはいり、木材が木っ端微塵に砕ける。


「俺のユニークスキルってMP消費形だから、あんまり使わせるなよ」


 またもやくわ〜っと欠伸をし、ゴンは空中の木材を無数の塵にし砂嵐のように向かわせる。


「鷹に睨まれた物は全部狩られるんだよ。だから、無駄だ」


「もう、強すぎるんですけど!?」


 無数の塵が———


 全て無くなる


 強い、聞いていた噂以上だ。噂程度だが、体に書いてあるタトゥーが、相手の戦い方になるらしい。あの鷹は確認できる全ての飛び道具を壊せることが出来ると聞いてたけど、いざ会って戦うと半端ねぇ〜や〜。


「だけど、負けられねぇ!」


 ゴンは空中にある木材を全て木剣へと変形させデルタに向かわせ、1個の木剣を、自分の右手に持ってくる。木剣を両手で握り、デルタに左脇腹を斬ろうとする。上から背後から、木剣が迫る中、案の定、向かわせた木剣達は壊れ、ゴンの頭が右手に掴まれる。

 無謀な突撃、ゴンが今できる最大の攻撃。だが、それは強者には弱すぎる攻撃。


「右手のベビは絶対に獲物を離さねぇ」


「————ぐあああああぁぁぁぁぁぁッッッッッ!」


 メキメキっと頭が割れるように、掴まれる。ゴンは慌てて木刀を離し、右手と左手でデルタの手首を掴み頭から離そうとするが離れない。


「弱い奴をいたぶっても面白くねぇなッッッッッ!」


 ガンッッッっと地面に頭から叩きつけられ、白目を剥くゴン。なんだ、この強さは。規格外だ、兄上レベルだぞこんなの……!


「あ”〜滾らねぇ。弱い奴いたぶっても俺は嬉しくねぇーんだよ。俺は強い奴をいたぶりたい……って気絶してるから聞こえてないか」


 デルタは右脚を上げて、ゴンを踏みつけ、殺そうとする。


「右脚の虎は全てを砕く!」


 ブウォンっと右脚をゴンの顔に落とすが、ゴンは右に体を転がし、足が地面に当たり、地面がビキビキと割れる。あ? っ声を漏らし、気づいたら——


 デルタの右頬に強い衝撃が、次は右脇腹、左脇腹。そして、みぞおち。


「かっっっ!? なんなんだお前ッッッッッ!?」


 ゴンは両手を広げ、後ろへ下がったデルタに右、左の石づくりの建物から飛び出した石の棘が——


 突き刺す。


 まだ止まらない、上空にあった木材を組みたて大きい拳にする。


「おいおい、そんな展開あるかよ」


 時速100キロで飛んでくる木材の拳に何も出来ずにぶち当たる。


 っと思ったが———


「左の狼は全てを噛みちぎる」


 半径10メートルの物がまるでそこに元々なかったように、消え去る。それはゴンも対象内で、消え去りはしなかったが体の至る所に噛み傷を負う。


「たまに自然人でいるんだよな。死の境目をさ迷ってた奴が覚醒することが」


 まだ白目で、まだ体がフラフラの相手なのにHPが5割も削られっか? こちとらタトゥーの数だけHPクソ多くなるんだぞ。


 だけど、この状況———


「あ”あ”あ”! 楽しいな!」


 デルタは大きく笑い、目付きを変える。人をマジで殺す目になるが——ゴンは地面に倒れる。


 もう無理だった、無意識に反撃し、無意識に立っていた。だが、もう容量限界(キャパオーバー)、立つことも、拳を振るうことができない。

 そして、デルタを止めることも出来ない。デルタは右脚を上げ、虎のタトゥーを光らせゴンの頭を狙う。


小説を読むと、小説が勉強になっていつしか楽しめなくなってきた。その証拠に自分の語彙力のなさを痛感した。無理だろ……あの言葉をあんなに使って、やるって。変態かなとか思ってしまいました。書籍化される作品って、語彙力やばくないと無理なのか? ……私の作品はなんて読みやす過ぎるんだ。

語彙力ってかなんか難しい言葉が散りばめられていて、ちょっと文章力で勝てんなって思いました。


まあそんなことはどうでもいい


どうだったでしょうか今回は!? 全員が絶望の縁に立ってますね。リーフはどうなるのか? ゴンは覚醒したけどもう死んだな。後はヌアザで、ヌアザは…………。そして、もうほぼこの戦いの最終部分を書いているのですが、良く書ききった。敵キャラ強くしすぎて、何回も想像で負けてた。オデとか最初、リーフの技で1発KO、そして巨人から小さくなって、オデとリーフ、ゴンの2人で倒す予定でしたからね。

気づいたらデルタが出てきて、リーフがヤバいっていう感じですから。

不思議です。

ストック数も今日3000文字近く消費したんで、プラマイゼロになりました。1日休みます。来週の日曜まで不定期になりそうです。


次の投稿は明後日の1時です!

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