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転生魔術師が君に伝えたいこと  作者: 駿河留守
第一章 転生魔術師はサヨナラを言わない。
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第五節 転生魔術師はサヨナラを言わない。-⑦

佐藤誠様

 やぁ、覚えているかな?ミーシャだ。ジープ司令官のことだから君の記憶はほぼ残しているだろうね。まずは急に君の前からいなくなってしまったことを謝ろう。すまない。ボクの任務は君の世界に転生してきた魔術師の強制送還だ。その任務が終わったからボクは戻された。それだけさ。さて、君がおそらく心配しているのはボクの安否だろう。安心したまえ。ボクは生きているよ。君の世界で騒ぎ過ぎたことと、君と深くかかわりすぎたことは怒られたけど、魔術師を命令通り送り返したことは評価されたんだ。それもこれも君のおかげだよ。ボクひとりでは成し遂げることはできなかった。まだ、お礼を言っていなかったね。ありがとう。

 急に元の世界に戻されてボクもいろいろ不服で次も君の世界での仕事を課す代わり一度だけ宮本さんに転生することを許された。目の前に君がいてくれたらよかったんだけど、時間が悪かった。だから、こうして手紙を書くことにしたんだ。まず、お礼をしたい。魔術師を送り返す手伝いをしてくれたことじゃない。ボクにたくさん教えてくれたことさ。ボクのわからないものを君はたくさん教えてくれた。喜ぶこと、怒ること、哀しむこと、楽しいこと。ボクに感情らしい感情を思い出させてくれたことは本当に感謝している。ありがとう。そして、ひとつ君に謝らないといけないことがある。早見さんを助けられなくて本当にすまない。…すまない。ボクの力不足だった。初めてそこでボクは哀しみを知った。こんなに胸が苦しくて、体に力が入らないんだって知らなかった。ボクはそこからどうしていいかわからないところを君は残された者のすべきことを教えてくれた。その通りだ。二度と早見さんのような犠牲を出さないためにボクらは強くならないといけない。力不足だったら、もっと力をつけないといけない。早見さんを忘れないために、そして、早見さんのような犠牲を出さないためにボクは戦うことにした。さっきも書いたけど、ボクはまた君の世界で転生した魔術師と戦う任務を与えられた。でも、残念なこともある。ボクは二度と宮本さんの体を使うことは出来ない。それが条件だったんだ。君と会えないのも正直、辛いよ。辛いってこういう気持ちなんだね。

 でも、ボクはサヨナラを言わないよ。

 人は記憶を引き継いでいないだけで、何度も転生を繰り返しているんだ。魔術で転生が出来るくらいだ。魔術がなくても出来るはずさ。だから、いつかボクらはまたいつかきっと会える。だから、今は早見さんに貰った人生を使ってたくさんの人を幸せにすることにする。君も同じように誰かをいっぱい幸せ、自分自身も幸せになって欲しい。そして、今の人生を後悔しないように生きて―――そしたら、また、会って友達になろう。それまでは、お別れだ。宮本さんを泣かせたらダメだよ。

 それじゃあ―――またね。君の幸せをボクは祈っている。

ミーシャより 。

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