第五節 転生魔術師はサヨナラを言わない。-⑤
忘れないと。忘れないと。
そう思って僕と宮本さんは毎日を過ごした。悪いといわれながら宮本さんの送り迎えをした。それから三田さんたちとも遊んだ。ミーシャのときと同じようにゲーセンに言った。なぜか宮本さんも豚のぬいぐるみを必死に取ろうとした。
化学の補習プリントを放課後、宮本さんと三田さんと安村さんで解いた。日が暮れるまで僕が勉強を教えた。
少しずつ落ち着きを取り戻した宮本さんは杉山麦の麦ちゃん誰とでもお外で遊べるようにプロジェクトの再開を宣言した。久々に駄菓子屋に行くと杉山麦は自分から出てきてくれた。うれしそうに宮本さんは笑った。それから三田さんたちも連れて杉山麦と遊んだ。
しばらくはミーシャの面影を消そうと―――いいや。ミーシャの面影を忘れたくなくてミーシャといっしょにやったようなことをやった。でも、自然と宮本さんが元気になるとミーシャといっしょにやったことは徐々にやらなくなっていった。宮本さん本来の明るさを取り戻しつつある。けどそれは同時にミーシャからどんどん遠ざかっている。
僕は彼女と別れてから一度たりとも彼女のこと忘れたことはない。彼女は今も生きているのか心配が毎日のように脳裏をよぎった。
そうして、僕の前からミーシャがいなくなって一ヶ月がたとうとしていた。




