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転生魔術師が君に伝えたいこと  作者: 駿河留守
第一章 転生魔術師はサヨナラを言わない。
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第五節 転生魔術師はサヨナラを言わない。-④

 放課後。三田さんは個人的な用事で先に帰り、高島くんは部活、安村さんはいつもの取り巻きといっしょに帰り、舞さんの部活で帰りは宮本さんとふたりになった。

「その、悪いですよ」

「何が?」

「迎えに来てもらっただけでも悪いのに、送ってももらえるなんて」

「それが僕の役目だよ」

 恥ずかしいのか宮本さんは一歩僕から離れる。

「正直、怖いです。いつどこで誰かが私の誘拐するんじゃないかって。でも、誠くんがそばにいてくれるおかげで怖くないんですよ。だから」

 離れたのに僕に近寄ってきて手を握る。

「もう、怖くないよ」

「なんでですか?」

 魔術師がいないからだ。でも、そんなことを言っても誰も信じない。

「大丈夫。もう、茜さんは大丈夫だから。何も怯えなくてもいい。引け目を感じなくてもいい。君は君がなりたいものになって幸せになって欲しいんだ」

「きゅ、急に何を言い出すんですか?」

 それが早見さんの、―――ミーシャの願いだから。

 不意にミーシャの面影と宮本さんが重なった。

 ああ、そうか。もう、ミーシャには…。

「ま、誠くん?」

 宮本さんが驚いた表情をする。僕はなぜか泣いていた。

「あれ?なんで?」

 乱暴に拭き取る。泣いている場合じゃない。僕は目の前の宮本さんを幸せにするんだ。

「そうだ!近くにおいしいパフェ屋が出来たんだ」

「そうなんですか?」

「食べに行こう。きっと、幸せの味だよ」

 それから僕らはふたりでパフェ屋に行った。値段にも驚いていたけど、甘い物好きはミーシャと同じだった。その面影がまた重なる。必死にその面影を振り切ってメニューに目をやる。僕は、ミーシャが頼んだものと同じジャンボを頼んだ。涙をこらえて必死にくらいついた。

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