第五節 転生魔術師はサヨナラを言わない。-①
体育館は全焼した。火の気がないところから放火の可能性が高い。それが警察の見解だった。
僕らだけが知っている火災の原因。それは魔術師同士の戦いの痕跡を消すためだ。
テレビをつければどこも体育館の放火で持ちきりだ。
学校も原因不明の火災の影響で休校になった。
僕は抜け殻みたいにボーっと外を一日眺めていた。
あの後、何がなんだかわからず混乱している宮本さんを駅まで送り届けた。宮本さんとの再会。もっと、喜ぶべきだった。でも、僕は心から宮本さんの再会を喜ぶことが出来なかった。
その次の日には焼け落ちた体育館を尻目に高校は再開した。
昨日、一日考えてたどり着いた結論。そもそも、ミーシャなんていなくて最初から何もなかったんじゃないのかって。
でも、規制線の張られた焼け落ちた体育館を見て、あれが現実だったことを認識させられる。もしかしたら、ただ体育館が燃やされただけではないかって疑り深くなる僕。それも無駄だった。教室に行けば三田さんが挨拶をしてきて、テクテクと僕に近寄ってくる。安村さんも同じ。高島くんもそうだった。ミーシャのおかげで作ることが出来た僕の人間関係は良好のままだった。良好だからこそ涙が出た。
突然、泣き出した僕に周りが慌て出す。心配させちゃダメだとすぐに涙を抑える。
こんな幸せな環境にミーシャと早見さんの姿がないことに涙をこらえるので必死だった。




