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転生魔術師が君に伝えたいこと  作者: 駿河留守
第一章 転生魔術師はサヨナラを言わない。
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第四節 人生とは常に戦いである。-⑥

 うまくいった!

 最初は、え?僕このまま死なない?って思ってちょっと考え直さない?って相談する間もなくミーシャは躊躇なく僕を体育館の中にいるソフィアに向かって投げ込んだ。結果、ソフィアを体育館の奥まで突き飛ばすことが出来た。しかし、動きの遅い閻魔の審判の発動できる隙まで作ることは出来なかった。ソフィアは僕を引き剥がして背後からミーシャに襲いかかろうとしていた。咄嗟にソフィアの足を掴んだおかげで何とか結界を発動することが出来た。上出来だった。

「邪魔よ」

 ソフィアの蹴りが僕に襲い掛かる。蹴りは腹に入って数メートル宙に浮いて床に叩きつけられながら転がって壁にぶつかって止まる。せき込んで呼吸を整える。すごい痛みだけど、まだ大丈夫。動ける。

「私の読み違いね。結界を破壊するか魔術を無効化する魔術だと思っていたんだけど、違ったみたいね。まさか、魔術の権限を奪う魔術なんて。まぁ、悪魔の腕を従えているものね。それくらいのことが出来ても不思議じゃないわ。でも、それがわかって厄介になったのが、その鎚で叩かれたら私が使っている魔術の権限がすべて奪われるのよね。魔力強化鎧(アーマー)や時空間転生魔術も」

「そうさ。この鎚で触れたら君が権限を持っている魔術の権限はすべてボクに移る。時空間転生魔術の発動を完全に消してしまえば、君は新海さんや三田さんたちに転生することは出来なくなる」

 ソフィアの目の色が変わる。最初の襲撃から今回の襲撃までは日があった。三田さんや高島くん、安村さんのような転生先を見つけるのは簡単ではなく、時間が掛かるからすぐに彼らは襲ってこなかった。簡単じゃないんだ。転生先を見つけるのも、転生できるようにするのも。そして、ミーシャが僕に最初に言ったことが間違いじゃなかったことがここで証明された。ミーシャがソフィアから舞さんを助けられる。

 ミーシャの背中に背負われているようにしがみついていた閻魔の審判の腕が消える。

「幻魔の腕を発動させたわね」

「君が大人しく従ってくれるなら幻魔の腕も使わなくていいんだけどね」

「こっちとしても見逃してくれるならこれ以上危害を加える気はないわ」

「それは見逃すことは出来ない。君らはボクが言ったところで計画を止めることはしないだろ?」

「まぁ、そうね」

「それからひとつ訊いてもいいかい?」

「何よ?」

「君たちは転生先を探すために何人の人を殺してきたんだい?」

 それは一連の行方不明事件のことだ。魔術師が関与している可能性が高いというところで止まっている。握る拳が強くなる。

 ソフィアは薄く笑みを浮かべる。

「さぁ?数えるのも面倒なくらいよ」

「まさか!山岸さんもか!」

 体育館中に響く僕の声。ソフィアは悪びれる様子もなく答えた。

「そうよ」

 それは虫を殺したときのような簡単なことのように答える。それに怒りを覚えた。

「やることは決まったみたいだ」

 ミーシャが身を低くしたのと同時に見えない腕がミーシャの体を浮かし飛ばしてソフィアに襲い掛かる。それを見計らったように飛び上がってその攻撃をかわしたソフィアは人がひとり通れる位の通路しかない体育館の二階の着地すると落下防止のフェンスを無理矢理もぎ取り、へし折って槍状にして投げてくる。僕と早見さんを狙って。ミーシャはすぐに飛んできて幻魔の腕で僕らを守ってくれた。

 僕らがいてミーシャは戦いづらそうだ。

 一瞬、ミーシャと目が合った。そこで僕はミーシャの意図を察した。

「早見さん!走るよ!」

 うずくまる早見さんの手を無理矢理引いて体育倉庫へ走る。僕の行動の意図を察知したソフィアは槍状に鋭くなったフェンスを次々と投げてくるが、ミーシャの幻魔の腕が僕らを守ってくれる。と同時に幻魔の腕が体育館の床をえぐって巨大な瓦礫を作ってソフィアに投げつける。

 轟音と砂埃を上げてソフィアのいたところを瓦礫で破壊した。しかし、ソフィアは飛び上がってその瓦礫から逃れると同時に拳に力を加えると拳から生えるように岩が拳を覆う。

岩石の拳(ガイア・ブロウ)!」

 拳を振るうと生えてきた岩が一斉に飛んでくる。それを幻魔の腕が直撃するものだけを打ち落としていく。

「いやぁぁぁぁぁ!」

 悲鳴を上げて足がもつれる早見さんを引っ張って体育倉庫へ飛び込んだ。同時に倉庫の扉が勝手に閉まった。たぶん、ミーシャが閉めてくれたんだろう。

 嗚咽しながら怯え泣く早見さんの手を握りながら閉まった扉のほうを見つめる。

「ミーシャ」

 大丈夫だろうか?心配だけが先行する。

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