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我が家のお手伝いさん

作者: ゆうゆう

シンガポールに暮らす外国人パパ、日本人ママ、一男一女の4人の家族と、そこで働くお手伝いさん(なかなかのキャラクター)のあれこれをエッセイ形式で。 雇用主として悪戦苦闘するママが、ストレスフルなお手伝いさんとのやり取りをエッセイと言う形で吐き出すことでストレス解消をしている…そんなエッセイです。

シンガポールのお手伝いさん事情:


シンガポールには色々な駐妻コミュニティがあり、特にFacebook上の色々な国籍の駐妻が話し合うフォーラムは毎日何十と投稿があるほど。その中によく見かけるのが「お手伝いさん探しています」や「転勤になったのでうちのお手伝いさんを雇いませんか」という投稿。


実はシンガポールでは地元ローカルの中流以上の共働き家庭、そして多くの欧米系駐在家族(expats)や共働きの日本人家庭でも住み込みのお手伝いさんを雇うのが一般的です。シンガポールの政府はフィリピン、インドネシア、スリランカ、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、韓国、香港、インド、マカオ、マレーシア、タイ、そして台湾人の23歳~50歳までの女性にはFDW(Foreign Domestic Worker)というお手伝いさんとして仕事を出来るビザを発給しています。(http://www.mom.gov.sg/passes-and-permits/work-permit-for-foreign-domestic-worker/eligibility-and-requirements/fdw-eligibility) お手伝いさんを雇うためのルールも色々あり、雇用主になるためには雇用主たる要件(21歳以上、破産していない、精神的に人を雇える状態である)を満たすほかに、労働省(MOM)の研修を受け簡単なテストを受ける必要もあります。(全てオンラインで完結するのがシンガポールの素晴らしい所!)


家庭の事情に応じて雇える人数も決まっていますが、広い家や小さい子どもがいる家などはお手伝いさんが2人いることも珍しくありません。


FDWと略称で呼ばれるお手伝いさん、彼女たちは基本的に雇用主となる人の家に暮らす必要があります。そして家の中での仕事を手伝うことがメインなので、ローカルの人たちはこの規則を厳守していないこともありますが、他所の家で働いてお給料を貰ったり、雇用主の家庭の外での仕事を無償で手伝わせたりすることも禁じています。そんなお手伝いさんたちの月給、いくら位すると思いますか?


最低賃金は2017年5月の当地のメディアでフィリピン人の最低賃金が月給550シンガポールドル(以下Sドル)から570Sドルに上がった、という記事(http://www.channelnewsasia.com/news/singapore/minimum-pay-for-filipino-maids-to-go-up-may-1-philippine-embassy-8597922)がありますが、日本円にすると最低賃金は約4万6千円(執筆時2017年6月の為替レートで換算)。大抵は650~800ドルどいったところが相場でしょうか。英語が上手に話せたり、お料理が上手、小さな子供やお年寄りの世話をするのに有資格だったりするともっと破格のお給料を受け取っているお手伝いさんもいるようです。そして月給の他に政府への税金やお手伝いさんへの健康保険等の加入義務もありますし、お給料の他にお手伝いさん分の最低限の日用品や食費も雇用主が払う必要があります。そうはいっても、1000Sドル(約8万円)程度で24時間住み込みのお手伝いさんが雇える、というのは日本では考えられないことでしょう。


そしてシンガポール政府はシンガポール国民や永住権保持者をそんな安月給では働かせはしないので、パートタイムで週に2~3回のお掃除を外注すると、1時間当たり15ドルが相場なので、週に2回4時間ずつ来てもらうだけで480Sドル。時間割にすると朝から晩までお仕事を頼める住み込みのお手伝いさんを雇う方が経済的にはお得です。


そんなこともあり、我が家も2年半前に2人目が生まるのを前にインドネシア人のお手伝いさんを雇いました。なにしろ私も初めての雇用主経験。前の雇用主の時はどうだったか、ということをお手伝いさんに聞きながら、少なくとも同じかそれ以上の環境を与えて快適に仕事をしてもらう、としました。


でも、他人が家に住むって案外難しいもの。最初の頃は、ご飯を彼女に作ってもらい一緒に食べていましたが、それもお互い居心地が悪いような気もするし… お手伝いさんが決して安くはない日本米をどんどん食べて我が家のひと月ぶんのお米が半月でなくなったり… と、どうしようどうしよう、と思っている間に、私の出産。お手伝いさんを雇うか決めていなかったので、出産の半年以上前に産褥アマさんという中華系マレーシア人のアンティに住み込みをお願いしていたので、ひと月、我が家には産褥アマさんとお手伝いさんと二人のヘルプがあったことがありました。


これが案外ヨカッタんです。 中華系マレーシア人のアンティはマレー語が話せたので、インドネシア人のお手伝いさんとの意思疎通はバッチリ。英語は苦手でしたが、インドネシア人のお手伝いさんは英語が堪能だったので通訳もしてもらえました。おまけに、中華系のシンガポール人の家がどのようにお手伝いさんを扱っているかを熟知していたアンティに言わせれば、我が家は「お手伝いさんに甘過ぎる!」とのことで、私がお願いしたわけではなかったのですが、アンティがお手伝いさんに「雇用主と同じ高いお米を食べるな、タイ米を買ってもらえ」「ミネラルウォーターじゃなくて、湯冷ましを飲め」「アンタはキッチンで私と一緒に食事!」などなど、色々なことをご指導してくださいまして、アンティが帰ってからも、アンティが仕切ってくれた線が出来て大変快適だったのでした。


正直者で真面目なインドネシア人の彼女でしたが、やはり1年を過ぎた頃から午後になると部屋に籠ってネット三昧だったり、私が彼女のいる所まで呼びに行かないと仕事をしてくれないような感じのこともあり…。そんな時、友人家族と一緒に旅行するのに双方のお手伝いさんを連れて行ってみたら、他の家のお手伝いさんがかなり仕事をしているのに比べて我が家のお手伝いさんはあまりにも…ということに気付き、契約満了の前に他の雇用主さんのところに移ってもらい、私はまた(精神的には)気楽なお手伝いさんナシ生活に戻ったのでした。


それから1年、たった1年半とはいえお手伝いさん付きの生活に慣れてしまった主人は、ちょっと家事のお手伝いを頼むとイチイチ「ヘルパー(を雇え~)」と反応するようになりました。そんな折、子どもたちも大きくなって荷物も増えたし少し広い家に引っ越そう、と色々な家を見て回る中で「家が広くなったら掃除や家事も大変になるから、広い家に越したいならお手伝いさんを雇わなくちゃダメ」という条件を出して来まして…。


今回は、インターネットでお手伝いさんを探すことにしました。それについてはまた次回…。












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― 新着の感想 ―
[良い点] 貴重な体験談ですね。 体験した人しか解らない情報は、非常にためになります。 相場情報も念密で素晴らしいです。 次回も楽しみにしています!
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