川人 純也
『学生』っと言う肩書きから……
『社畜』っと言う肩書きになって……
もう3年の月日が流れた。
俺も今年で23歳になったのだが、彼女も居なければ、仕事もバリバリできるってわけでもない。いわゆる負け組?っとまでは行かないが、勝ち組ってわけでもない。まあ……なにもない普通の社会人だ。
きっと1度は考えることだろう。
この世界がアニメやおとぎ話の世界で、その主人公が自分である。苦しい時もあるが最後は幸せいっぱいな世界で、自分の思い描く最高の形で生きていくことを……。
そんな……痛い妄想をしつつも、現実の厳しさに身も体もボロボロなのが、今の俺ってわけだ。
俺は、もうこの世界に……
いや!自分の人生に飽きてしまった……。面白くもない繰り返しの毎日に……。
しかし、今日は違っていたようだ……。
俺は、いつものようにパイプの加工をするために、必要なパイプを集めていた。
積み上げられたパイプの山の中から、必要なパイプを必要な分だけ選んで運んで行く。
簡単な作業ではあるが、きついのは重たい配管が高い所にある場合だ……。
どうやら、今日も運が悪い日のようだ。
「はぁ~また上に置いてるのかよ」
少しイラつきながらクレーンを使い、上にあるパイプを運ぼうとした。
その時だった!
金属が折れるものすごい音がした!次の瞬間には、上に固定されてるはずの、クレーンが落ちてきていた。
落ちてくるクレーンは俺の頭上……。
死を目の前にするといろいろな事が頭を過った……。これが噂の走馬灯か……思い出したくない事まで、全てが見えた気がした。
「あぁ……本当につまらない人生だったな」
死に際に呟いたのは、そんな言葉だった。
23歳の春、桜が咲くこの季節に、俺は死んだのだ。
来世があるなら魔法と剣の異世界に………。
なんてな……。
そして、川人 純也の命は終わりを告げた。