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メランコリー勇者  作者: そぼろご飯
4/5

勇者、頑張って自己紹介する

  初対面相手に自己紹介ってハードル高すぎだろ!

 

「じゃあ、とりあえず私から時計回りってことで」


 しかも、おじさんから時計回りってことは俺が取りを飾ることになるじゃん!

 ハードルがどんどん上がっていく。

 

 まあ、序盤で周ってくるのも心の準備が出来なくて嫌だけどね。

 中盤で周ってくるのも、流れを自分のせいでぶった切りそうで嫌だな。

 

「えー、熊田健一です。システムエンジニアやってます。よろしく」


 スーツのおじさん改め、熊田さんがさくっと自己紹介をする。

 ふむ。

 名前と職業だけか。

 これなら俺でもなんとかなりそうだ。

 焦って損したぜ。

 冷静に考えれば簡単な自己紹介で良いんだよな。

 就活みたいに自己アピールする必要もないし、合コンみたいに趣味を言ったり受けを狙う必要もない。

 お陰で、一気にハードルが下がったぜ。

 まあ、合コンなんて行ったこと無いんだけどね。

 あっ、就活はもちろんあるよ? 一応ね。

 とりあえず、熊田さんは人の良さそうなおじさんって感じだ。

 優秀そうには見えないけど、年長者ってことで現状を仕切ってくれてるし、かなりありがたい。

 

「次は私か。南城千尋、大学院生です」


 和風美人の人が次いで自己紹介する。

 イイヨーイイヨー。

 このサッと終わらせていく感じ!

 これなら俺も吃らずに行けそうだ!

 

 南城さんか……

 南城さん南城さん南城さん南城さん南城さん南城さん南城さん南城さん南城さん。

 よし、覚えた。

 名前を覚えるのが苦手なので心のなかで連呼して無理やり覚える。

 大学院生ってことは23歳か24歳かな?

 俺が20歳だから大学院行ってる時点で間違いなく年上だな。

 背筋がピンと伸びており、かなりしっかりした印象を受ける。

 

 俺と比べたら全員がしっかりしてるような気がするが気にしない。

 

「橘京子です。都内の会社で経理やってます。よろしくお願いします」


 橘さんも南城さんと同年代くらいだろうか?

 皺のないシャツ、クセのない黒髪のショートヘアに眼鏡をかけていて、真面目そうな印象を受ける。

 目つきのせいか少し性格がきつそうな気がする。

 少し苦手なタイプかも知れない。

 

「石堂慎吾ッス。高校生3年ッス」


 スポーツウェアの青年は高校生だったか。

 180cm近くありそうな身長とガタイの良さから大学生くらいの年齢かと思ったよ。

 坊主頭だし野球部とかかな?

 

 そろそろ俺も自己紹介考えとくか。

 まあ、名前と職業だけだから考えるまでも無いけどね。

 

 ん? 職業?

 

 やべぇ! 今の俺無職じゃん!

 

 忘れてた!

 

 白石玲央でーす! 無職でーす! よろしくねー

 

 うん、駄目だわ。どう明るく言っても気まずいわ。

 どうしよう……

 

 迷ってる間に自分の隣にいる制服を着た女の子が話し始める。

 

「瀬名めぐる17歳! この中で一番若いです! よろしくね!」」


 部屋の温度が一度ほど下がった気がした。

 だが当の本人は何故か満面の笑みでポーズを決めている。

 

 いや、他人の自己紹介聞いてる場合じゃねぇ! 次は俺の番だ!

 自分の紹介考えないと……

 

 とりあえず前職の職業言って誤魔化すか。

 電気系の設計やってました~みたいな感じで。

 いや、それだと嘘言ってる事になるしな……

 

 そうだ! 無職って言葉を使うからイメージが悪くなるんだ!

 ここは就職活動中です~みたいな感じで誤魔化そう。

 よし。

 

「しっ、白石玲央です。前職では就職活動やってました。よろしくお願いします」


 ふぅー。

 

 無事言えたぜ。

 

 ん?

 

「あっ、違います! 今は無職なんですけど、えーっと、少し前まで電気系の仕事やってまして……やってました。よろしくお願いします」



 やっちまったぜ。

 

 みんなの冷笑が聞こえる気がするぜ。

 

 いや、プラス思考で行こう。逆に考えるんだ。今のうちに評価を下げといたほうが後で失望される心配が無いと考えるんだ。

 

 

 全員が自己紹介を終えたところで、ノックの音と共に二人の男性が入ってきた。

 

 甲冑を着た赤髪赤眼の騎士と紳士服を着た黒髪黒目の20代半ばくらいの男の二人だった。

 

 

 日本人?

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