7.俺の家
7.俺の家
体に感覚が戻っていき、俺は現実世界に帰ってきた。
「やっぱり違和感があるな」
仮想世界は動きやすいようになっていて、体が少し軽く感じるのだ。そこへいきなり現実世界に帰るので、少しの間違和感を感じてしまう。
俺は慣れるまでベットに横になっていた。
2~3分経ち、ようやく体が慣れてきた。
俺はベットから出て日付を確認し、キッチンへ向かった。
冷蔵庫から豆乳を取り出し、コップへ注いで一気に飲み干した。
豆乳を飲むことは習慣になっている。
時計を見ると、12時を短針がちょうど指示していた。
「とっとと寝るか」
明日もマリアとゲームをする予定だから、寝過ごすわけにもいかない。
自分の部屋へと戻り、ベットに入り、瞼を閉じた。
「コケコッコー」という元気のいい声で目覚めるわけなく、カーテンの隙間からのぞくまぶしすぎる太陽の光で俺は目が覚めた。
「うーん」
思いっきり体を伸ばし、ベットから出た。
顔を洗い、あくびをしながら下へ降りると、そこには、朝ご飯を食べ終わろうとしている妹 朝倉瞳と弁当の準備をしている母 朝倉咲の姿があった。
「あら、颯太おはよう」
「おはよう、お兄ちゃん」
「うん、おはよう」
一日はこの挨拶から始まる。
ほかの家は知らないが、俺は昔から挨拶をしっかりするように教え込まれている。
「今日はどこかでかけるの?」
「いや、今日はずっと家にいる」
俺は基本家にいる。よっぽどのことがない限り、外にすら出ない重度の引きこもりなのだ。
「またお兄ちゃん部屋でゲームするの?」
「そうだけど?」
「たまには外で体でも動かしたらどう?」
妹はあきれた顔で俺に言った。
「いや、めんどくさいし、運動ならゲームでもできるだろ」
今、VRは何十個ものソフトが世に出回っている。
その中にはいろんなスポーツを体験できるソフトもある。
「いや、それじゃ意味ないでしょ。体は動かしてないじゃん」
「いわれてみればそうだ。どっちでもいいけど」
「もう、これだからお兄ちゃんは………」
(やばい!また瞳の説教が始まる!なんとかして止めなければ!)
瞳はことあるごとに俺に説教してくる。それまたずいぶん長いのだ。だから、説教が始まるたびに止める方法を考えているのだ。
「あー、瞳?」
「何?」
「お前、部活はどうした?」
すると、瞳は時計を見た瞬間青ざめた顔をして、
「あーー!遅刻だー!」
と、いきなり叫びだして慌てて準備をしていた。
数分もしないうちに家から飛び出し
「行ってきまーす!」
と、大声で走っていった。
良かったと胸をなでおろし、
(俺もいかなくちゃ)
と、急いで朝ご飯を食べ、部屋へ戻った。
部屋へ戻ると早速機械を取り付け、(といってもイヤホン型のものを耳につけるだけだが)ゲームを起動し、俺はゲームの中へと入っていった。