3.クエスト始めました!
3.クエスト始めました!
「よし、着いたな」
俺たちがやってきたのは草原。見渡す限り、緑しかない。
「いや〜、それにしても広いな。どのくらいあるんだ?」
「そうですね〜。10キロはあるかな。」
10キロ。その数字を聞いた瞬間、頭がくらっとした。「よくそんなに広いフィールドを作ろうと思ったな」と心の中でつぶやいた。
「さてと、クエスト始めますか?」
「ええ。今回のクエストは討伐ですね。そこにいる、青色のモンスターを倒せばいいらしいです。」
「おっ、こいつか。なんかよくあるRPGで出てきそうだな。」
「そうですか?私は初めて見ますが。」
「まぁいい、倒すか。」
「はい。」
攻撃方法はいたって簡単。持っている剣を振り下ろすだけ。スキルなど色々あるが、その辺はまた後で。
「はぁあ!」俺は剣を素早く振り下ろし、モンスターを切るように攻撃をした。
その瞬間、モンスターのHPゲージが、みるみる下がっていき、挙げ句の果てに0になり、消滅した。ウィンドウが出現し、報酬が出た。
「おー!すげー!面白いな!」
感動のあまり叫んでしまった。
一方マリアも戦闘を終えていた。
はじめての戦闘だったのか、俺と同じくとても喜んでいた。
今回のクエストは2体の討伐だったので、クエストは達成した。
「マリアさん、クエスト終わったけど、どうする?」
「そうねー、では、一旦帰りますか?」
「分かりました。では、帰りましょう。」
この世界では、テレポート的なものがあるので、移動には困らない。
俺はテレポートを使って、街へ戻った。
今回のクエストは、最初にもらう剣より、少し強い剣だった。黒い剣でかっこいいのだか、あまり強くはなかった。
どうやら、さっきのクエストで、レベルが上がったらしい。
「えっと、ステータスは、攻撃力が3上がって、その他も少し上がったな。」
「ん?これは、ステータス振り分けか。」
よくあるステータス振り分けだった。
「今回は体力と攻撃力に降っておくか。」
「マリアさん、レベル上がりました?」
「はい。3レベになりました。」
「あれ、マリアさんこの前にクエストしたんですか?」
「はい。でも、討伐では、なかったので、戦闘はさっきのが初めてでした。」
「そうなんですね。」
「ちなみに、ステータスはどのくらいですか?」
「え?ステータスですか?えっと、平均15くらいですかね。」
「なるほど。分かりました。」
「アクラさんは?」
「僕もそのくらいです。」
( 本当は15000なんて言えないもんな。)
俺は心の中で謝った。
その後、いくつかのクエストをマリアさんと、クリアしていき、レベル10くらいになった。
レベル10になると、いろんな職業に転職できるらしい。
俺はこのまま、剣士になることを選んだ。マリアさんは、魔術師になった。
この世界の魔法は詠唱が必要で覚える必要がある。
「マリアさん、魔法は難しいですか?」
「はい。とても長くて難しい単語ばかりなので。」
「マリアさんは、とても剣の扱いが上手なのに、どうして魔術師になったんですか?」
「私はそんなに剣は上手くないですよ。そうですねー、魔法が使いたかったからだと思います。」
「なるほど。現実では、魔法はありませんからね。」
「 そうなんです。だから、せめてゲームの中ならと思い、魔術師にしたんですが、魔法がこんなに難しいとは思いませんでした。」
俺は喋り込んだ後、マリアさんが、ログアウトするといったので、見送った。
「さあて、何しよっかな。」
時間はまだ、午後6時くらいだ。今日は親も遅いし、妹も部活で遅いと言っていたので、まだまだ時間がある。
「少し強いの行ってみよっかな。」
俺はそう思い、上級クエストがある場所へ行き、ボス討伐を選んだ。
ボスは、普通、5人くらいのパーティーがいくつか協力して行うものだが、俺は一人で挑むつもりだった。
クエストを受け、ダンジョンへ潜り込んだ。
このダンジョンの一番奥に、ボスがいる。
「どんなボスかな?」
俺はウキウキしていた。初めてのボスだ。興奮が収まらない。
とうとうボス部屋まで来てしまった。
「よし。やるか。」
俺は、その重い扉を開けた。