序章1
序章1になります。
異世界に突入するまで、あまり端折らずに書いていきたいと思います。
6/1 主人公のセリフ等をちょっと修正しました。
6/9 表現方法を修正しました。
読み返してすこしづつ行間の表現を豊かにするため、加筆修正しています。
俺は妻だった子にこう言ったんだ。
「──君はまら若いから、いくられもやり直しが効くから」
痛み止めのせいか、呂律が回ってない、話すのもちょっときつい。
「…」
あぁ、泣かせちゃったな。
良く見えないけど、椅子にでも座っているのだろう。
すすり泣く声と共に、ぽつぽつと涙がスカートに当たるような音が聞こえてくる。
「っ…君まれ不幸になることはないよ、俺の不注意からこうなったんらから」
俺が話し終るかどうかのときに返事を被せてくる彼女。
「それでも…」
「いいから…俺はもう治る見込みないそうら。もう両目も…ほとんろ見えない、腰から下も…感覚ない」
ガタンという音がする、椅子から立ち上がって身を乗り出しているのだろう。
「私が一生…」
こんな身動きできない、目も見えなくなるかもしれない、仕事も続けられない。
君を守っていくことすらできない俺を、一生だなんて軽々しく言わないで欲しい。
「無理ら、俺のことは少し放っておいてくれないか?君もこれからのことをしっかり…」
「でも、」
なぜ解ってくれないんだ、いくら夫婦だと言っても君だけに負担をかけられる訳ないじゃないか。
「俺らって辛いんら、君も疲れているらろうから、実家れ少し休んれくれないか?」
「わかりました、でも…」
このまま話していては平行線になるだろうと、俺はナースコールで看護師を呼んだ。
「すみません、頭痛くて、ろうしようもないのれ」
『わかりました、すぐ行きます』
助かった、今はとにかく何を言っても水掛け論にしかならないだろう。
「こ(ご)めん、眠らないと辛いから、悪いけろちっか(実家)へ…」
「でも…」
「すみません奥さん、しばらく面会謝絶になりますので」
看護師さんが来てくれたようだ。
「はい…お願いします…・」
ぎっ…
彼女が椅子から立ったような音が聞こえる。
入ってきた看護師さんと入れ替わりに、妻だった子は仕方なく病室から出て行ったようだ。
「では薬いれますね」
「おねか(が)いし、ま、す…」
状況から逃げることのできた俺は、安心したのかすぐに眠くなった。
──あぁ、この後どうしたらいいんだろうか?
これこそ、お先真っ暗だな─。
とりあえず、ね、む…
昨日のように、俺は意識を手放した。
◇◆◇◆◇◆◇◆
──あぁ、またこの夢か。
目の見えにくくなった俺が見てる真っ暗な世界と違い、光が降り注ぐような部屋にいるみたいで、身体の感覚もない。
『…本当にそれでいいのかい?』
いいんだよ、これも彼女の為、もうだめな僕に囚われ続けていても仕方ないだろう?
『でもねぇ』
あんたが誰だか知らないけど、寝るたびに話しかけないでくれないか?
『暇なんだよねぇ…』
暇って、俺には関係ないだろう、いつもいつも、あんた一体何様なんだよ?
『とんでもねぇ、あたしゃ神s」
俺はそいつが言葉を言い切る前に、突っ込んだ。
ドリ○のネタはいいから!!
『いや、本当に神なんだよねぇ』
えっ
『えっ』
いや、いないだろう、常識的に考えても神様の存在を感じるほど俺は信心深くない。
でも本当にそうなのか?
『うん、神様』
ええええええええええええええ!!
『夢にしては、君の質問にちゃんと答えてるでしょう?』
ま、たしかに…普通、夢で会話が成立するとかありえないのはよくわかった。
でもさ、神様なら、この状態何とかしてくれよ、いや、してくれませんか?
『いやー、僕はこの世界の神じゃないから、干渉しちゃいけないんだよねぇ』
なんだよ、見てるだけの神様なんで、神様である必要ないじゃないか。
『神の中にも一応、ルールがあるんだよねぇ』
だったら、その担当の神様に何とかしt。
『この世界の神様はねぇ、僕よりちょっと神格が高くて、とてもとても、お願いなんて出来ないんだよねぇ。
だから、せいぜい君にこっそり話しかけるくらい、しか出来ないんだねぇ』
情けないな、だったら何故俺なんかに話しかける?
『それは僕が、君を気に入ったからだよ、暇だからねぇ』
暇だから気に入ったのか、僕だから気に入ったのか、突っ込むつもりはないけど…
『何千年も存在していれば、暇な時期が多くてねぇ』
何千年も1人でここにいたって事だろう、それは同情するけどさ、でもほんとに暇つぶしなのかよ!
『死んだらさ、ここの担当の神にお願いして僕の担当する世界に来てもらうってのもいいかなと思ってねぇ。
僕でもそのくらいは、できるかなーと思ってねぇ』
世界ってラノベとかの異世界ってやつ?妻も好きだったな、もちろん俺も。
もし、そんな世界に行ったとして、俺に何のメリットがあるっていうんだ?
それにまだ、俺、死んでないし。
『そう、まだ、死んでないねぇ。ていうか、君その歳でラノベとか、臍で茶が沸いてしまう』
千年生きてる人に【その歳】とか言われたくないよ、いいんだよ、そんな細かいことは。
暖簾に腕押しとでもいうのか、さすがは長生きの神様、いくらツッコミ入れても余裕で帰ってくる、年の功には敵わないね。
それに、世界だかどうだか知らないが、妻が幸せになってくれる方法を早いこと模索しなければ、やりきれないし、死にきれない。
『でも、もう君、そんなに長くないよねぇ…』
えっ
『えっ』
何度もやりとりをしているがこの展開は予想はしていたが、神様からの余命宣告かよ…
「あぁ、もう時間だ、また呼ぶからおいでねぇ…」
読んでいただいてありがとうございました。
頑張って書きたいと思います。