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第2話

人間であれば結界の出入りは自由だ。

外で襲われてもなんとか逃げ延びることができ、結界内へ入れば安全というわけだ。

もちろん内部で屍鬼化や反転が起きれば、その者はすぐに処理されてしまうわけだが。


しばらく進むと学園が見えてくる。新平安学園。対魔師育成の為の場所だ。

先程の餓鬼退治のように、一人前の対魔師をあてるような仕事でない場合、学園の掲示板にバイト募集がかかる仕組みだ。それが主に早朝と放課後の雑魚狩りである。


「陽太。報告も終わったし朝飯にしよーぜ。ってお前は弁当か」

「いや、それが今日は忘れちゃって…。学食に行こう」

「ん、お前がいいなら」


そこへ走ってくる音が聞こえる。

相変わらず賑やかな人だ。


「航ー!白川ー!あたしも行くー!!」

「相っ変わらず喧しいな、楓は」

「おはよ、白川。航うっさい、私のアイデンティティーなんだから!それよりごっはん~♪」


軽い足取りで食堂へ向かう。

航の幼馴染み、藤阪楓(ふじさかかえで)。好奇心旺盛で場の盛り上げ役。噂話や恋話が好きな情報通。

肩をくすぐるほどの長さの髪に、黙っていれば可愛い顔立ち。控えめな胸だが、バランスのとれた体つきで、健康的な太ももはミニスカートからさらけ出されている。

やはり、コンプレックスは胸らしい。ネタにした航が半殺しどころか、5分の4殺しにされて以降ネタにしないのが暗黙の了解だ。


朝食時で賑わっている。

俺はあまり…というか、ほとんど学食を利用しない。

便利なのだが、人が集まるとやはり噂されてしまう。『裏切り者の息子』。

今さら気にならないが、周りが気にする。俺を放っておいてくれない。


「なぁ、陽太。気になるようなら」


慣れてるよ、と返す。

いつもの事だから、と。


母親はいない、俺が生まれた時に亡くなったそうだ。父親は対魔の仕事をしながら合間に面倒を見てくれて、可愛がってくれた。


けど、父親も愛情を欲していたのかもしれない。

ある時、討滅対象の鬼を庇ったそうだ。こいつに助けてもらった事があると。


仲間の攻撃を受け、鬼からも攻撃され、重傷を負いながらも討滅を免れる為に討滅対象を封印した。

反逆行為と取られ対魔師団を追放、治療という名目で病院で監視されている。


息子である俺も『裏切り者』扱いというわけだ。

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