逆ハーしないと死ぬって、どういうこと?!
某作品で頂いた感想に触発されて生まれました。感想を下さった方、クオリティーが低くて、本当に申し訳ありません。
やあ、憑依なのか転生なのかわからないが、取り敢えず俺はTSしたらしい。
女の中に男が一人という環境で働かされてきた俺だったが、今度は女の体だ。
何がどうなってこうなったかはわからない。
前はBLゲームの主人公だったし、俺、そろそろ泣いていいかな?
今度もまた主役である乙女ゲーのヒロイン。
ホント、泣いてもいいよな?
今回俺がいるのは『恋はロンド輪舞曲』という、悪役令嬢もライバルキャラもいない乙女ゲーの世界だ。
悪役令嬢やライバルキャラがいないならイージーモードだと思うかもしれないが、このヒロインの人生はベリーハードだ。
恋愛したら死ぬと言っても過言ではない。
乙女ゲーなのに恋愛できなくていいのか?
「恋愛しても、逆ハーすればいいだけのこと!」と姉は言った。
メイン攻略対象は6人。これなら意外と簡単に逆ハーできると思った。ヤンデレだろうがヤンデルだろうが、ツンデレだろうがツンツンだろうが、捻くれまくってようが、たった6人だ。
ところが、姉曰く「メイン攻略対象の婚約者の一族に恨まれるから、恨まれないようにするとねずみ算式に攻略対象が増えるんだ。画期的でしょう、真一郎?」
誰得だよ!!!
どこにそんな需要あるんだよ?!!
そんな画期的なシステムいらない。
この前の【どうあがいても恋愛(BL限定)】コンセプトは『必ず恋愛エンド』のほうがマシだ。
「悪役令嬢やライバルキャラに鬼畜な攻略対象に熱愛されるのも良いけど、逆ハーを焦点に当てたのも作りたいのよね。通常の会話から甘々な台詞で砂吐きそうな糖度過多のとか、攻略対象の婚約者や人気のある令嬢を悪役令嬢に仕立てあげるのとか」
「要らねーよ!!」
思わずツッコミを入れた俺とは裏腹に、
「マキ。それ、いい」
「いいねー。それやろうよ」
「冴えてるー」
「全部やろう、全部」
姉の仲間たちは諸手を上げて大賛成だった。
姉とその友人たちはいつもこんな感じで王道の斜め上を行く、ニッチな需要を満たすゲーム(乙女&BL)ばかり作る。
それが受けているだけに、解せぬ。
世の女心がわからない。
グッズも雑貨メーカー数社に依頼して作ってもらったり、姉たちはなかなかのやり手集団だ。
「で、攻略対象、何人にする?」
「256は欲しいかな」
「512にする?」
「いっそのこと、日本の国会議員の数と同じする? そうしたら面白そう」
もうやだ、この人たち・・・。
いつもこんなノリでゲーム原案は決まっていく。
「メイン以外の年齢は10代半ばから50代まで。60代はちょっと無理でしょ」
「ロマンスグレーまで入れるんだね」
「そうしないと人数足りないし(笑)」
「ヴェネチア貴族は数百人いたからもう少し、年齢の上限下げられるんじゃない?」
「その数百人の半分は女性だから、年齢の上限下げたら定員いかないよ、千秋ちゃん(笑)」
「それなら仕方がないか」
「勿論、既婚者も入れないと人数合わないから(笑)」
「それ狙っていたでしょ、マキ(爆)」
「恋愛せずにお一人様をするのがベストエンディングにしようよ」
だから、それ、乙女ゲーじゃないって・・・。
「お一人様は却下。禁断の関係に身悶えしながら、燃え上がるのがいい」
「つまり禁断の道は茨の道ってこと? 恋に苦難があればあれほど燃え上がるってやつ?」
「そ~なの~!!!」
いや、それ嘘だろ、姉さん!
姉さん、浮気とか不倫とか滅茶苦茶嫌いじゃん!
(男は)ただし2D(二次元)に限るって言ってる人の発言じゃないよ!
「愛する彼とラブラブになるために、好きでもない男たちを手玉に取らなきゃいけない」
「きゃー!!!」
「自己犠牲の尽くし系ー!!!」
「BLやらない子にもその味を教えたかったのねー!!!」
「マキ!! あたし、一生付いてく」
もうヤダ、この人たち。
と、まあ、こんな乙女ゲーだ。
婚約者持ちのメイン攻略対象は6人を含めて、攻略対象は32人。流石に諸経費の問題上、これ以上増やせなかった。声なしなら悪夢の500人超えさせられたかもしれない。
攻略対象の年齢層も10代半ばから50代まで。
どうでもいいことだけど、オッサン好きやオジ様好きまで幅広くカバーしたって、姉たちは騒いでいた。
今回はどうあがいても恋愛させられないし、お一人様を目指せばお一人様になれる。
問題は婚約や既婚の攻略対象だと、婚約者や妻の実家に死亡フラグを立てられ、フリーな攻略対象との恋愛でも娘の夫に狙っていた親たちに死亡フラグ立てられるってこと。
男のどんな甘い言葉にも靡かない自信はある。
伊達に【どうあがいても恋愛(BL限定)】を逃げまわった俺じゃない。
「一方的に惚れられることもあるから逆ハーしないと生き残れないよ、真一郎」
暴走は止まらない―――――――――
「擬人化キャラとかも流行っていたし、国会議員を10~20代にして美化した乙女ゲーとかも面白いかも」
「元宝塚の男役の人は男装の麗人ね」
「麗人止まりなら良いけど、神々しすぎて目が潰れるんじゃない?」
「確かに確かに」
「出せるレベル超えてるよね」
「神の降臨する2D(二次元)こそ宝塚歌劇の真骨頂だわ」
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拙くて本当にすみません。
作中に出てきた作品――
どうあがいても恋愛(BL限定)『とき土器LOVEトラップ』
悪役令嬢やライバルキャラに鬼畜な攻略対象に熱愛される『三月兎は狂ってる~聖痕学園~』
通常の会話から甘々な台詞で砂吐きそうな糖度過多『チョコレートに恋して~温和な王様と忠実な若者たち~』
攻略対象の婚約者や人気のある令嬢を悪役令嬢に仕立てあげる『かげろう狂詩曲~蝶は檻の中~』