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人生で一番の難問

6月。いよいよ期末テスト。今度こそ…

今度こそ負けない。



「あやなーーーおっはよー!」


はぁ、あれから特にいつもと変わらずあいつは私につきまとってきた。


「おはよう。あっち行って。」


「そんなこと言うなよー。友達だろー。」


ちっ。いつから友達になったんだか。


「空。一つ言っておきたいことがある。」


「お?なんだなんだ??親友になって欲しいとか?」


「そうじゃなくて…来週期末テストだから私の勉強の邪魔しないで」


「俺別に邪魔してねーよー。」


十分迷惑である。別に邪魔とまでは言わないが…


「もういい。学校遅れる。」


勉強。学校でも家でも。私にとって勉強は楽しい。努力をした分だけ結果が返ってくる。なんのために勉強するのか。私は将来別にこうしたいと言った目標はない。ただ、自己満足、とでも言えばいいのだろうか。だからこそ私は負けられない。勉強以外何もしてこなかった私には。



期末テスト当日。


「よし!」


私は気合を入れた。今回はいける気がする。

私は今日という日のために今までサボらずコツコツとやってきた。だからこそ自信がある。

朝7時20分いつもと同じ時間に私は家を出た。

あれ?あいつがいない。風邪?でも引いたのか?まあいい。むしろ集中できてラッキーだ。


キーンコーンカーンコーーン


「あー。終わった終わったー」


テストが終わると毎回みんなはため息とともにどうだった?と聞きあっている。

バカバカしい。どうもこうも終わったことを聞いてどうする。悪かろうが良かろうがそれはその人の努力の結果であり他人がどうこう言うものではない。私は意味がない会話をする人が嫌いである。もちろん私は今回のテストはできた方である。これなら誰にも…

それにしても…今日はあいつは来ていないのだろうか?まあどうせきたところで何もできないだろう。そもそもあいつは勉強しているのか?そんな様には見えないが…いつも暇そうにしている。

とにかくはやく帰って勉強しよう。

テストは終わったが次のテストはまたすぐ来る。自分で言うのもアレだが、こんなに努力している私は報われてもいいのではないのか?もちろん学年一位という結果で。


そんなことを考えつつ私は久しぶりに一人で家に帰った。



それから3日後。

いよいよテストの結果が返ってくる。緊張はしていない。私の努力の分だけ結果が返ってくるはずだ。

そういえば、テストから今日まであいつとは会ってないな。気にならないといえば嘘になるが…あえて気にしないどく。


「おっはーよー。いやー久しぶりだね。あやな」


げっっ


「お、おはよぉ。」


「ん?どうした?元気ないなー。もしかして俺に会いたかった??」


「っそそそそそそそ、そんなわけないじゃん!むしろこれから合わなくて済むのだと期待してたところだし!」


「そんなぁ。そんなこと言わなくったっていいじゃん…泣」


い、言いすぎたとは思うが相変わらずこいつはガキみたいに拗ねた。


「そういえば、あやなテストどうだった?」


「別に。私は自分の出せる最大限の力で挑んだだけ。私より空こそ大丈夫なわけ?そもそもテスト受けたの?」


「お?あぁ。受けたけど。」


「ふーん。」


どうだったか聞こうと思ったが聞くまでもない。毎日走り回っているこいつには勉強なんて頭にないのだろう。


「今回、一番取れるといいな。俺応援してるぞ。」


ムッ


「ぁ、ありがと。」


なんだかあまり得意じゃない空気になった。


「じゃ、また後でなー」


全く、毎回毎回約束してないのに後で会うことになっている。ほんとガキだ…


…………………



私は今人生で一番の窮地にいる。


「な、なな、なんで……」


1学期期末テスト順位発表


一位 黒柳 海

二位 上條 空

三位 宮原 綾夏

.


嘘だ…

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。


そんなわけない。私は頑張ったのに。中間から期末までの間勉強ばっかりやったのに。遊びにも行ってない。今だって勉強してる。なんで……?

なんでよ。こんなに頑張ったのに…



「よぉ〜。あやな!どうだったテスト?」


「こっちこないで。」


「まあそう言うなって、それより俺の名前見なかったか?さっきから全然見つかんなくてよ。」


「あんたの名前がこっち側にあるわけn……………………………」


ん?空?確かこいつは



二位 上條 空


……………………………


ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー

そそそそ、そんな馬鹿な、きっと何かの間違えだ。そ、そうに違いない。


「そ、空。あ、あんたの名前ってなんだっけ?」


「ん?なーに言ってんだあやな?上条空。いつも空って呼んでんじゃねーかよ。」



かかかかかかか、おかしい。ありえない。そんなわけ。ばかな、


はっっっっ

た、確か中間の時も


一位 上條 空

二位 黒柳 海



…………だったような、

ということは?

ままま、まさかなーー

あは、あははははははははは


「おいあやなどうした?おかしいぞ?熱でもあるのか?」


チーーーーーーーーーン





私は今人生で一番の奈落の底にいる。



「おーい。あやなー待ってよー。無視すんなよぉー。なんで怒ってんだよぉ〜?俺なんかしたかー?おいあやなってばー」



「うるさい!!こっちくんな。このゲ◯△□◇。」



「な、なな何もそこまで言わなくてもいいだろー?」


「うるさい!!うるさい!!うるさい!!」


「なーあやなってばよー。俺なんかしたかよー?」


あぁーもーーー

むっっっっっっかつく

だいたいなんで私がこんな馬鹿なクソガキに負けるわけ!?ありえない。ありえない。ありえない!


「なーあやなー」


「うるさい。あんたなんかに…あんたなんかに私の何がわかるっての!?だいたいあんたのせいよ!あんたが私に必要以上に絡んできて振り回して……もう…私……私……

全部あんたのせいよ!!泣」


「…あやな……」


違う。空のせいではない。何を言ってるんだ私……こんなに取り乱して、空のせいにするなんて……

ああ、なんでだろう。こいつといるといつも上手くいかない。何もかも。

私が私じゃないみたいになっていく……


「ご、ごめん。今の…今の取り消し。空のせいなんかじゃない。私の努力が足りなかった。ただそれだけ。でも次は負けないから。絶対に、絶対に一位を取る。空にも、もう一人にも、負けないくらい勉強して勝つ。それで私は満足。」


「…あやな…。おう!じゃあ今日はお祝いにどっか食い行くか!」


「お、お祝いって私はあんたに負けたのよ?

何、もしかして嫌味?」


「違う違う。記念日だ!」


「何よ。なんの記念日よ?」


「俺があやなを好きになった記念日。」


「……はぁ?」


「俺はあやなが好きだ。」


「………………………。」


こうゆう時どうすればいい。焦る。すごく焦る。というより、は、恥ずかしい?

なんだろこの感覚。告白なんて初めてだ。


「てことで、はやくお祝いしよーぜー!」


「ちょ、ちょっと…。」


「んーやっぱ昇天かなぁー。あ!そうだおっちゃんに割引してもらおう!」


「わ、私は!…………」


「いいからいいから」


私は今人生で一番の迷宮にいる。

どう返せばいい。ん。待てよ。私が返す必要があるのだろうか?別に勝手にあいつが私を好きになっただけで私は別に……


「おい。あやな?どうした、なんか頼めよ。」


こ、こいつ……告っといてなんでそんなにヘラヘラしていられる?ガキか。

そ、そっか!そうだ、間違いない。あいつはただのガキだ。さっきのはきっとあれだ。小学生の好き嫌いのレベルであって別に付き合うとかそうゆうのじゃなくて…

うん。ナットク


「おじさん!味噌ラーメン!」


「じゃ、俺も味噌ラーメン!」


「あいよー」


「空。あんたがおごってよ。」


「げっ。俺の記念日じゃないの!?」


「知らない。あんたが連れてきたんだから当然でしょ」


「へいへい。しょうがねーなー」


よし。これで心置きなく食べられる。


「餃子と炒飯追加でお願いします!」


「おい。あやな待て…また吐くぞ」


「ほっといて。私は私のしたいことをするの!」


「はぁ〜。ガキだなー」


あ、あんたに言われたくないわ!すねを蹴ってやった。



「ふー食った食ったー。」


「あ、ありがと…」


「ん?なんか言ったか?」


「な、なんでもない。」


「家まで送ってってやるよ。」


「うん……」


ああ、なんでだろう。今になってさっき納得したはずの問題をまた思い出してしまった。

やっぱり、しっかり言うべきなのか……


「そ、空。」


「お?なんだ?」


「さっき、さっき空が言ったこと……」


「ん?」


「だ、だから私のこと好きって…私は…

私は…ごめん空。私は両立できない。そもそも恋なんてしたことないし、勉強が中途半端になるのもやだ。それに私はまだ空のことが好きかわからない。だから空の気持ちには…

空?」


横には空がいない。振り返ってみるとポツンと私を見て立っている。


「空?」


「え?」


「ええ?」


ど。どうした…


「何よ。なんか言いなさいよ。」


「俺、あやなに好きって言ったっけ?」


「え?」


はぁぁーー!?


「いやさっき昇天行く前に…」


「ほ?忘れたー」


こ、こいつ…私にこんなに恥ずかしいこと言わせておいて。許せない。むかつく


「まあいやー。」


「……………」


それから私も空も何も喋らず、ただ真っ直ぐ私の家に向かった。


「きょ、今日はあり…」


「あやな。お前が今は俺のこと好きじゃないくても、俺が好きにさせて見せるから。安心しろ」


「な、なな」


「じゃあなー」


そう言って空は走って消えた。



私は今人生で一番の難問を解いている。


それは………………恋


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