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不自然に置かれた【握り飯】と【種】を疑いの目で見る猿


そこへカニが遅れてやって来た


「て…てめぇー、よこさんかい!その握り飯よこさんかぁい」


カニがハサミを猿に『やんのか?やんのか?』と言わんばかりにカチカチしだした。



「カニさん…ちょっと待ってください。これオカシイっすよ。こんな不自然な事ってあります?変な種もあったんすよ……」



冷静な猿は握り飯と種を手に持ち、カニに見せた


しかし冷静にはいられないカニは、握り飯しか見えていない


「やかましい!よこさんかぁぁい!!」


カニがハサミをビューンと猿に向けてビュンビュンしたため、ハサミが握り飯を貫いた


「あぁぁぁー……」


握り飯はボロボロになり、地面に落ちてしまいました



「お…俺悪くねぇしぃー、悪いの猿だしぃー」



猿は腹が立ったが、グッと堪えた

『ハッ』として『グッ』とした。


そして【謎の種】の存在を思い出した



「あっ、そう言えばコレ。コレも落ちてたんですよ…」



猿が差し出した種をカニはジッと見た


すると、その種を奪い、投げてしまった



「こんなもんただのゴミや!アホかお前猿コラ!」


「いや、でも『すぐ美味しい』とか書いてあって……」


「うるせぇ猿コラ~切ったるぞ、その唇切ったるぞ!」



(いっそのこと、コイツ殺ったろかな…)


と猿が思った時


さっきカニが投げた【謎の種】が凄い早さで成長していた


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


「な、なんだーーっ?」


「ギョェェー?」


みるみる内に、種は【木】になり、『ポン』『ポン』と

見た事のないような【実】がいくつも出てきた



(あっ……赤っぽい!?もしかしてあれが……)



「ブ…ブラボーー!!あれは俺のだもんねぇぇ!」


突然の出来事に猿がテンパっているなか、カニは柿の木にしがみついた



「俺が投げた種だしぃー、コレ俺のだしぃー」


「そ…そんなぁ。一つだけでも」


「ダメったらダメぇぇぇ!」


「くっ……」



シュッシュッシュッシュッシュッ


独占欲の固まりのカニは、柿の木の前でディフェンスを始めた


猿は、その動きを見て「キモッ」と思った



やがて、柿の木には立派な【柿】が沢山出来た。



しかし、なかなか実が落ちてこない



しびれを切らしたカニは猿に言った



「お前、あれ、取ってこい!」



「え?でも……」



猿は知っていた。カニではこの木に登れない事を

そして、カニがいなくなったらこっそり登って取ってやろうと思っていた。


「あれれぇ~、『でも』って何『でも』って?探してた柿ってアレだよねぇ?」


「くぅ……」


(くそー!コイツに言わなければ良かった)


猿は後悔した。


カニに出会ってしまった事

カニに柿の話をしてしまった事を。



ところが突然、カニが優しい口調に変った。


「なんてうそうそ。一緒に食べようよ。二人で見付けた種だしねっ」



突然のカニの変貌にキョトンとする猿



カニは続けた。



「一緒に食べたいけど、どうも俺では木に登れないんだっ。だから、俺が下でキャッチするから木登り上手な猿君が実を上から投げてよ!ねっ?」



猿は少し戸惑ったが、カニの事を信じる事にした



「カニさん!わかりました。ありがとうありがとう」



「木から滑って落ちないように気を付けてね、猿君」



(良かったぁ。カニさんも良いところあるんだなぁー)



カニが不適な笑みを浮かべている事も知らずに、猿は木に登って行った


初めて見る柿の未知なる味の期待と、両親から頼まれた柿を、届ける事が出来るという満足感でテンションが上がっていた



━━その頃

柿の木の不思議な力は


柿の木から数メートル離れた【桃の木】にも影響していた


桃の木に出来た【桃】の一つが急成長し、桃とは思えない程までに大きくなり


今にも落ちそうになっている事に


猿もカニも気付いていなかった……

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