第一話(9)
「まさかあの事件は…あなた達が?」
誰も何も言わない。
何も答えない。
その沈黙が僕の質問に対する何よりの肯定だった。
やがて天井に付けられたスピーカーから、オカマのヒステリックな声が響いた。
「皆さん、お元気?酔ってないかしら?もうすぐ現場よ。今日はゲストも来てるから張り切ってちょうだい。んじゃ服に着替えて!」
僕以外の5人はその言葉を合図にさっさと服を脱ぎ捨てていく。
「ちょっと待って下さいよ!僕は…僕は…」
「るせえなガキ、大佐から聞いてんだろうがよ」
チンピラががなり立てた。
「た、大佐って誰ですか?何も聞いてませんよ!」
「店長だよ」
サラリーマン風の男がシュルリとネクタイを外した。
「い…いなかったですよ、そんな人!あのオカマしか!」
「あちゃー…カマちゃんじゃしょうがないか…」
イケメンは既に服に袖を通すところだった。
「僕は…僕は…!」
止めます!と精一杯叫ぼうとした。
でも出来なかった。
凄まじい力で握られた僕の頬、そして口の中に黒い筒がねじ込まれた。
「途中下車はお断りだよ。とっとと着替えな」
女…?
何も話さず、さっきから黙って座ってたヤツ…。
女だったんだ…。
でもこの僕の口の中のコレは何…?
テレビで見たことあるよ、コレ…。
マシンガンじゃないか…?