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666  作者: EXPO'91
8/20

第一話(8)

「それはないんじゃないか?」


奥の方にいた若い男が言った。


歳は同じくらいだが、僕よりずっと落ち着いて見える。


ジーンズにジャケット、顔まではよく見えないが、たぶん女にモテるってこういう奴だろう。


そんな雰囲気のする男性だった。


「そ、そうっすよね?強盗なんてまさか…」


彼が否定してくれたおかげで、僕は少し安心した。


「もしかして君、初めて?」


若い男が首を傾げた。


表情までは見えなかったが、少し罰の悪そうな様子が見えた。


「銀行ならこないだやったじゃんよ。金ならあんだろ」


若い男の近くにいたチンピラ風の男が言う。




え…?




僕の動きが止まった。


思考をフル回転させて、何かを必死に思い出す。


先日のテレビ…寝そべって漫画を読みながら、何となく点けていたニュースから流れる声…。


ええと、あれは何だっけ?


千代田区であった銀行強盗…逃走した犯人はまだ捕まっていません…



「………!?」

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