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第一話(4)
オカマの名前は鎌田といい、秘書をやっているらしかった。
自分のプリクラの入った名刺を差し出したあと、オカマはつまらなそうに僕の履歴書を眺めながら「あなたイメケンだけどモテそうにないわね」と付け加えた。
「で、早速だけどあなた合格」
「え?」
僕が目を丸くしていると、オカマは戸棚から制服らしき束を取り出して僕に渡した。
「あなた痩せてるけど服はMサイズでいいかしら?あとこれあなたのID、なくすと大変だから大事にしてね」
渡されたIDカードには666と記載されている。
それを見て鎌田はラッキーナンバーね、と親指を立てて笑った。
「給料は後で銀行振り込み。勤務は今日の22時から。東口の駅前広場に集合ね。じゃ待ってるから」
一方的に面接は終わった。
いや、面接と呼ぶべきかどうかもわからない。
とりあえずオカマは言いたいことだけ言うと、さっさと僕を帰してチキンに食い付いた。
何だコレは……?
僕は一体何をすれば良いんだ……?
それに、何だろうこの服って……?
何だか嫌な予感しかしなかった。