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第一話(16)
「先生!あとヨロシク!」
隊長の突然の声に僕の身体は一瞬硬直する。
そして黒い騎士の横からふいに躍り出た大きな影が、強烈なタックルを奴に見舞った。
騎士は激しく吹き飛ばされ、玄関の脇にあった植え込みに転がりながら突っ込んで行く。
「退却!」
隊長が叫んだ。
その声を合図に他の隊員が一斉に走り出す。
「ほら!ボサっとすんな!逃げるぞ!」
戸惑う僕は隊長に腕を捕まれ、そのまま僕らが乗って来たトラックの荷台へと雪崩こんだ。
「カマちゃん!フルスピードで!」
「わかってるわよ。喋ると舌噛むわよ、隊長さん」
トラックが、ガクンと右に大きく揺れた。
「扉閉めて!」
隊長のその言葉に最後に乗ったイケメンがよろめきながら呼応する。
(あれは……?)
トラック荷台の扉が閉まるその瞬間、錯綜する僕が見たものは植え込みの中で揉み合う二つの影と、天に向かって突き出された巨大な蟹の爪だった。




