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未来探偵クスメギ  作者: よねたに
嘘から始まる夢物語編
26/65

第26話 とっさの嘘は身を滅ぼすと言っても過言ではないのだ(part2)

 1日飛んでデート当日。

11月6日の時刻は10:00。

僕は待ち合わせ場所の駅前にいた。

隣には山田さんがいる。

 ちなみにしずかはまだ来ていない。

何故なら――。

 『デートプランその1。彼女の遅刻』

 よくあるアレだ。

『ごめーん!待った?』ってやつ。

 恋人っぽくて良いかなってことで採用してみた。

それで今は僕と山田さんがしずかを待っているというところだ。


「……久寿米木」


 突然、山田さんに話しかけられた。

っていうか初めて名前を呼ばれた気がする。

まあ、呼び捨てでめちゃ乱暴な口調だけど。

……レズビ――百合だから女の子には優しくて男には冷たいのか。


「な、なにかな」


 僕はどきどき――嫌な意味で――しながら返事をした。


「雨倉さんの何処が好きなのよ」


「知らないうちに全部好きになってた。好きになるのに理由っている?」


 僕は不自然なくらい即答した。

というのも、こう言う質問を山田さんからされることを想定して対策をしておいたからだ。


「即答……。まるでこう言う質問をされることが解っていたみたいに――」


「そ、そんなことはないと思わないでもないこともないこともない気がしないでもないような気分」


「どっちだよ!っていうか気分て!」


 僕は嘘は付けない体質のようだ。


「じゃあ、こう聞く。――久寿米木から見て、雨倉さんの良い所ってなに?」


 ぬかった!

 こういう対策はしてない!

『良い所』って聞かれたら、好きな所みたいに『全部』とかって答えることはできない。

これは具体的に答えなければならない質問だ。

 僕は、考える。

そして言う。

『いつもの』しずかの良い所を――。


「飾っていなくて、いつも一生懸命で前向きで……そういう所かな」


 僕は素直に言った。

しずかとは本当に話しやすい。

そして話していてとても楽しい気持ちになる。

 何事にも一生懸命取り組んで、最後まで諦めない。

僕にはここまでは出来ない。

 そう思って僕は言った。


「……なるほど」


 山田さんはそう納得した後、再び黙ってしまった。

ほんの2分くらいの会話だったが、僕は山田さんについて知ることが出来た。

良いのか悪いのか分からないけど――山田さんは本気でしずかのことが好きということを。

 ……厄介な事になったなー、もう!


「久寿米木が雨倉さんのことを一応理解していることはよくわかった」


 ……あれ。

この間会ったばっかりじゃなかったっけ?

 なんで上から目線なんだろう。

まあ、言わないけどさ。


「それでも――私は諦めないから。雨倉さんは私の長年追い求めていた理想だから!」


 本物か!

 僕は山田さんにそう宣言されてしまった。

と、


「ご、ごめーん。待ったー?」


 しずかが『とてちて』とこちらへ走ってくる。

遅刻時間はおよそ10分。

まあ、こんなものだろう。

 しずかが僕たちのところへ合流する。


「お、お待たせ……春希」


 ほんの少し頬を上気させてそんなことを言ったしずかは正直……かわいい。


「おお……ふ」


「な、なに、その反応!」


「あ、ああ……」


「リアクションのボキャブラリー少なっ!」


 暦という彼女がいるけど、暦は『かわいい』というより『きれい』と言ったほうがしっくりくる。

どうやら僕は『かわいい』というものに体制が少なかったらしい。

 グッときたね。

こう、グッと。


「…………」


 と、そんな僕達をじと目で山田さんが見ていた。

なにやら彼氏彼女らしからぬ会話を初っ端からしていたため、疑っているらしい。

 それに気付いた僕は、視線でしずかに合図を送る。


「なに?いきなりウインクして。気持ち悪いよ?」


「そういうのはもっとオブラートに何重にも包んで!」


 しずかは理解してくれなかった。

っていうか僕のウインクは気持ち悪いのか……。

もう絶対にしないよ。

 僕は仕方がないので小声で山団に背を向けて言う。


「そうじゃねえよ。……山田さんが今の会話を聞いて僕達が恋人関係らしくないから疑ってるって言いたかったんだよ!」


「あー。なるほどね」


 反応軽いな!

……なんか今更だけど、すごく面倒臭くなってきた。

やる気が根こそぎなくなってきた。

なんで休みの日にこんなことをしているんだろうか。


「……もうさ、よくね?」


「は?」


「いや、だからさ。……付き合っちゃえよ」


「私に百合っ子になれとおっしゃる!?」


「急に面倒臭くなった」


「そんなご無体な!お願いだから助けてよ!?」


 僕的にはどっちでもいいんだけどな。

僕ってすごくいい人だよなー。


「……わかったよ」


 僕が最終的には折れた。


「とりあえずは、恋人らしい会話をしよう。話題は任せる」


 僕はそうしずかに提案した。


「了解です!」


 作戦会議を終えて、僕達は山田さんのほうへと体を向ける。


「何を話していたのかは知らないけど、もういいの?」


 山田さんが冷たい目を僕へと向ける。


「あ、ああ。ただ、今日のデートをどうしようか決めていただけだから。しずかが山田さんには聞かれたくないからって」


「なに?エッチなことでもしに行くの?」


「行かねえよ!」


「そんなこともしないなんて本当に恋人かどうか疑わしいね」


 しまったー!

うっかり即答しちゃったよ!

と、僕がそんなことを思っているとしずかが口を開いた。


「す、するから!春希はただ恥ずかしくて『行かない』って行っちゃっただけだから!」


 え、ちょ、待って!

何を言っている、しずかさん!


「ね?」


 しずかがこっちを向いて確認してくる。

『ね?』じゃねえよ!


「へー……」


 山田さんは冷たい目で、頬をひくつかせながらこっちを見る。

どうしてくれる、この空気。

 なんで僕は駅前でこんな修羅場じみた目に遭っているのだろうか。

こうして僕は、しずかが付いたたった1つのとっさの嘘のせいで地獄の釜に片足突っ込んだようなわけのわからない状況に陥っていく――。



*****



 と、言うのが今から10時間前の話。

現在の時刻は20:00。

辺りは既に暗くなっている。

 朝から僕達2人と1人は事前に練ったデートプランを遂行していった。

映画見て、昼食べて、買い物して。

 それで今、ラブホテルの前にいる。

なぜ?

 昼間にしずかが付いた嘘のせいだよ!


「しずか、本当に入るの?」


 僕はしずかに聞く。

もう何回目だろうか。


「も、もちろん!女に二言はない!女に二言はないんだ!」


「……2回言っちゃっているじゃん」


 そんな僕達の後ろには山田さんが背後例のように張り付いている。


「ジョジョのスタンドかよ……」


「スタンドだったらありがたく思いなさいよ」


 僕の独り言が聞こえていたようだ。

そんなことより、どうしたらいいのか……。

と、僕がこの状況を回避しようといろいろと脳内コンピュータで考えていると、


「春希!も、もう入ろう!」


「え、ちょっと待っ――」


 僕はしずかに腕を掴まれ、強引にラブホテル内へと引っ張られる。

その後ろを山田さんが付いてくる。

 スタンドだったらこの状況どうにかしてよ!

どーも、よねたにです。


遅くなってすみません。


パソコン買い替えたりで投稿できませんでした。


さて、なんかよくわからない状況になっていますが、読んでいただければ幸いです。


評価、感想等お待ちしております。


では、また。

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