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未来探偵クスメギ  作者: よねたに
約束編
23/65

第23話 約束という言葉に弱い人は基本良い人だと僕は思う(part2)

「……ん?地面硬っ!なにこれコンクリート!?」


 僕が次に意識を持った時、何故か僕は道路に寝かされていた……ようだ。

うつ伏せで。

 おかげで体中が痛い。


「うっ……」


 周りを見て状況を確認しようにも、アイマスクをしているために見ることが出来ない。

僕がアイマスクを外そうとした時、僕の上の方から、


「あら、お目覚めかしら。久寿米木くん」


 暦の声が聞こえて来た。

僕はすかさず、アイマスクに掛けていた手を離す。

 どうやら僕を道路に寝かせたのは暦らしい。

そして、うつ伏せで寝かせるのも物凄く暦らしい。

 同じ『らしい』でも意味が違うぞ。


「気を使って、せめて仰向けで寝かせてくれてもよかったんじゃないかな。さらに言えば、道路に寝かせないでくれてもよかったんじゃないかな」


 僕は状況が分からないながらも、なんとか立ち上がる。

近くに壁……いや、これは塀か?があったおかげで割と立ちやすかった。


「そういう所を気にしないよう私に気を使いなさい」


 なんでやねん。

なんで道路にアイマスク着用でうつ伏せに寝かせた奴に気を使わないとならないんだよ!


「っていうか、ここは?まだ僕の家の前?なんで僕は寝ていたんだ?」


「質問が多いわね。まるで子供ね」


 当然の疑問だと思うんだけどなー。


「じゃあまずは、ここはどこ?」


「デートの目的地よ」


 なんか雰囲気、ただの住宅街なんだけど。


「次に。なんで僕は寝ていたの?」


「ジエチルエーテルを嗅がせたから、かしら」


「……なにそれ」


 僕はアホの子みたいな声を出してしまった。

お恥ずかしい。


「麻酔の薬よ。クロロホルムにしようかとも思ったのだけれど、アレは毒性があるからやめたわ」


「毒性があろうとなかろうとそんなことやめないかい」


 僕はなんか1周して落ち着いてしまっていた。

軽く命が危なかったのに。


「そんなことより久寿米木くん」


「そんなこと呼ばわりされる程僕の命は落ちぶれてはいないと思うけど、何かな暦さん」


「このまま私が手を引いてあげるから、私についてきなさい」


「暦からアイマスクを強制させておきながら『手を引いてあげるから』と妙に上から目線なのが多少気になるけどいいよ」


「いちいち返事が長いわね。私に何か言いたい事があるならはっきり言いなさい」


 山ほどあるよ。

まあ、言わないけどさ。


「ないよ。ないない」


「そう。では行きましょう」


 僕はそういう暦に手を引かれて、歩きだした。


 (ガッ)


「え?」


 (ドテッ)


「がハッ」


 僕は転んだ。

で、顎を打った。



*****



 歩き出したと言っても1分少々だった。

そして僕は今、どうやら室内にいるらしい。

どこだ、ここは。


「久寿米木くん、アイマスクを外してもいいわよ」


 暦様から、許可が出た。

僕は即座にアイマスクを外す。

実は暦がゴムを緩めてくれないから、目が痛かった。

 外して僕が見た光景は――


「ここは?」


「私の家のリビングよ」


 暦さんちのリビングだった。


「まあ、座りなさい。飲み物を出すわ。水道水で良いわね」


 そこは『お茶で良いわね』とか言うべきじゃないのかい?

水道水なんて初めて聞いたよ。

 そんなことよりも、僕は混乱していた。

初デートの場所が相手の家?

これはなんらか(Hな意味で)の意思表示なのだろうか……。

 僕はそんなことを思いながらテーブルの椅子に座る。

 さて、現在の周りの状況説明をしよう。

場所は月村家。

一軒家のようだ。

大きさは僕が住んでいる家と同じ程度だろう。

現在のリビングも15畳程で、置かれている家具家電の種類も似たりよったりと言った所だ。

 そして、僕と暦の2人きり。


「おまたせ」


 暦はそう言って僕の前に水道水を持ってきた。

……本当に持って来ちゃったよ。


「どーも」


 僕は水道水でも一応礼を言った。

 そして暦は、


「じゃあ、少し待っていて頂戴。少し準備があるから」


 そう言ってリビングから消えた。

僕は1人、リビングに取り残される。


「一体何だっていうんだ……」


 (ズズッ……)


 僕はそう言いながら、水道水を飲んで暦を待った。


「うん、カルキの味がする」


 ――そんなことをしながら、数分程経った。

すると、


 (ガチャ)


 僕の後ろの方でリビングのドアが開く音がした。


「お待たせ、久寿米木くん」


 暦の声が僕の後ろから聞こえて来た。

ようやく暦が戻って来たようだ。

 僕はなにかしら文句を言ってやろうと、後ろを振り向く。

が、結局何も言えなかった。

何故なら――


「(……誰?)」


 僕は心の中で言った。

 暦は知らないおじさんを連れて来た。


「紹介するわ。私のお父さんよ」


「……よろしく」


 ダンディー――そして細身でカッコいい――なおじさんは威圧感を含んだ声で僕にそう言った。


「(えー!!)」


 『えー』だよ。

それ『えー』だよ!

 初デートに親に紹介ってなにそれ!

僕の精神力でも試されているのか!?

 僕がそんなことを思っている間に、暦は僕の隣の席に、おじさんは僕の正面の席に着席した。

 ……自己紹介でもした方が良いのだろうか……。

とりあえず僕は、


「……初めまして。久寿米木春希です。暦さんと同じ大学に通っています」


 と、自己紹介を――なんと言ったらいいのやら……暦のお父さん?それともおじさん?思い切って義父さん?に言った。

名前くらい言ってくれないと呼び方に困る!

 ……。

しばらく考えた僕は、心の中で『月村さん』と呼ぶことにした。


「さて、久寿米木くんをここに呼んだのは他でもないわ」


 暦が口を開いた。

っていうか、僕は『呼ばれた』ではなく『拉致られた』んだよ。

断じて自分の意志でここに来た訳ではない!


「私の親に紹介しようと思ったのよ」


 『親に紹介』……。

この展開は、まさか――


「お父さん、私達は結婚します」


 暦が高らかに宣言した。

どーも、よねたにです。


続きです。


投稿ペースや投稿時間が安定しなくてすみません。


感想や評価、お待ちしてますのでよろしくお願いします。


では、また。

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