小さな向日葵
三題噺もどき―きゅうひゃくじゅうきゅう。
小さな向日葵が咲いている。
他にも菊や百合。どれも小さいもの。
透明な花瓶の中に、しずしずと居座っている。
「……」
母がどこかから買ってきたのだろう。
向日葵は好きな花だからと、夏になってからよく買ってくる。
……初めて知ったことだった。
もうそろそろ時期も終わりそうなものだけど、お盆だからそうでもないんだろうか。
どこに行っても仏花が高いと嘆いていた。
「……」
百円ショップに行けば、たくさんの造花を買っている人も見た。
そっちの方がお安く済むし、手入れやその後の事を考えると楽なんだろう。
家もそうすればいいのにと思ったし、そうするものだと思っていたのだけど。
何かこだわりがあるのか、母はずっと生花を買ってきている。
「……」
最近は暑いので、枯れるのも早くて困っていると言っていたが。
その百円ショップに売っていた、生花を長持ちさせる液体みたいなのを買ってからは持つようになったらしい。
「……」
そういえば、それは500円くらいしたんだけど、百円ショップっていつから大体100円みたいになったんだろうか。
私が買う物は基本的に消耗品なところもあって、100円だったりするんだけど。
それこそ造花とか物によっては2、300円しているし、何かは忘れたけど1000円ぐらいしているのもあって、驚いたことがある。
「……」
それを買うなら、多少値が張ってももっといいモノを買ったらいいのにと思ったが。
まぁ、それとこれとは話が違うんだろう。安くて使いやすいのがいいのかもな。
……安いのかどうかはさておき。
「……」
家の中は静かだった。
母はソファの上で寝ている。
最近寝不足だと言っていたし、休みの日の昼間はよくここで寝ている印象がある。
妹2人は部屋で方や勉強、方や睡眠というところだ。
昨日まで毎日部活をしていたから、宿題を進めているんだろう。
「……」
私も、少し前までは部屋でゴロゴロしていたのだけど、何か甘いものが飲みたくなってココアを淹れに来た。
カフェオレと思ったが、生憎粉が切れていた。今度階に行かなくては。
「……」
お湯を沸かして、ココアを淹れて、氷を5個程いれて、くるくると混ぜて。
部屋に持って行って飲もうかと思ったのだけど。
「……」
なんとなく、リビングでゆっくりしようと思って。
ぼうっと座って、花を眺めていた。
さっさと部屋に戻るつもりだったから、スマホも部屋に置いて来てしまった。
「……」
何故か机の上にキャンディが転がっている。
大方母が職場でもらってきて、鞄の中を整理した時に出てきたとかだろう。
あそこは毎日お菓子を配っているのかと思う程に、いろんなお菓子を毎日のように持って帰ってくる。
「……」
個包装されたそれは、見たことのないパッケージだった。
夏限定パッケージみたいな感じなのか、大きな向日葵が描かれていた。
何味かはここからだと分からないが、これでノド飴とかだったら母しか食べない。
「……」
あの子も向日葵が好きだし、こんどそれっぽいのを見つけたら買って置こう。
どうせ来週からまた学校が始まるのだ。
もう残り2週間しかないのに、わざわざ登校する必要あるかと思うが。
家に居ても何もしないし、あの子に会えるのだから別にいいか。
「……」
小さな向日葵は、少しだけ下を向いている。
切り花用なのかは知らないが、あのサイズの向日葵があることを先日初めて知った。
元々切り花とか見ることがなかったし、興味もなかったもので。
向日葵って、あの大きなサイズの物の印象しかなかったし。
「……」
父も―向日葵が好きだったのか。
そんなこと言ってたっけ。
まぁ、夫婦で離すことの方が長かっただろうし、この二人は夫婦になる前も長い。
「……」
起きる気配もないし。
私も部屋に戻って寝ようかな。いやまだ、ココアが残っている。
お盆って言ったって、何かしないといけないわけでもなさそうだし。
「……」
ゆっくりココアでも飲んで。
ゲームでもしていよう。
お題:キャンディ・ココア・向日葵




