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くーるーぱー暗ブックインper

掲載日:2026/05/03

 ある朝の事です。

 その日は何の気なく部屋の中でゴロゴロとゲームをしておりました。

 時間を忘れただひたすらに黙々と

 日常に退屈していたのでしょう。

 気づけば昼となりただひたすらに空腹の音が鳴り続けます。

 ゲーム音を上げました。

 空腹の音でゲームに集中出来なかったからです。

 爆音が部屋中に鳴り響きます。

 流石にうるさいのでミュージックプレイヤーを片手にヘッドホンを装着します。

 快適です。

 でもお隣さんは不快だったようです。

 壁越しにドンと強い音がしました。

 掛けていた本棚が倒れました。

 部屋中に本が散乱します。


 メーデー 


*


 本当に死にかけました。

 本に当たって、、、本当に、、、。

 時刻は16時過ぎでしょうか、丁度カーテンの隙間から光が溢れるのが見えます。

 太陽が沈むフェーズにならないと、この部屋は自然な光が来ないのです。

 オンボロで建て付けが悪くてその代わり家賃は安い。

 この時間になると決まって私は部屋の電気を消します。

 太陽が降りてきて完全に沈むまでのその間、私は窓の側で座ります。

 自然な光を浴びないと人はダメになってしまうのだと幼い頃に母に言われて育ちました。

 でも、、、もうダメかもです。

 部屋は本が散乱し私は頭を軽く打ちました。

 衝撃で本棚は倒れ軽く目眩も起きています。

 昼過ぎから16時まで全く記憶もないのです。

 、、、。

 それにしてもこの部屋建て付けが悪すぎるのではないでしょうか。

 お隣さんの壁ドンはヘッドホン越しに聞こえる程には強かったのです。

 それを差し引いてもあれだけ積まれた本棚が倒れるなんて、、、これが青天の霹靂というやつなのでしょう。

 私はスマホを取り出します。

 これだけは本能的に守っていたので無事でした。

 徐々に夕陽が差し込んできます。

 夕陽をバックにゲームをするのが日課なのです。

 少しだけ優雅な気分になれるのですから。


*


 部屋の電気をつけました。

 幻想的な気分も暗い夜の底に沈みます。

 これ、どうするのでしょうか。

 夕陽が本をオブラートに包んでくれていたのに今はありありと惨状だけがよく見えます。

 本棚は衝撃で一部欠けていました。

 この本棚、親元から離れた時に買ってもらった大事な大事な代物なのに。(よくお隣さんの壁越しの音を吸収するのに使っていたとか読みもしないのに雰囲気だけで置いてるだけとか言われますけどね)


 、、、。


 良い事を思いつきました。

 逆にこれは本を読めという神様からの思し召しだと思いましょう。

 散乱している本を一つ取って私はそれを読み進めます。

 読んだらその本を本棚に戻すのです。

 おっと、その前に倒れている本棚を直す必要がありますが、、、。

 あれこれ考えながらとりあえずその本を読み進めます。

 タイトルは、、、見ると全て分かってしまった気になるので見てません。

 ちらりちらりと流し読み。

 何となく悲劇的な話というのは分かりました。

 今日はこの辺にしておきましょう。

 夜はまだ長いのですから(そっと本を閉じスマホを開く)


*


 朝、目が覚めるとスマホが目の前にありました。

 人の光で目が覚める社交的な生活が始まります。

 画面を開けば当然ゲーム、、、

 なんて事はなく、、、

 

 母


 母


 母


 母


 母の通知が88件もありました。

 haha......

 明らかに異常事態なので電話してみる事にしました。

 あれ、中々繋がりませんね。


 ポチッ


 とりあえずテレビをつけながら待ってみます。

 テレビをつけたと同時に母と繋がりました。


 プルルル、カチッ


 『あんた!!?今大丈夫!!?』


 開幕一声でこれとは余程心配されているのでしょう。

 私が不甲斐ないばかりに、、、少し情けなさを感じます。


 『お母さん、ごめんなさい。心配かけて、、、。こっちは元気で暮らしてるから心配しないで、大丈夫。そっちは......』


 『そうじゃなくて......!!!』


 ?


 不思議に思っているのも束の間、画面越しの情報が目に飛び込むのとほぼ同時、衝撃の事実が知らされるのです。


 『......地震よ!!!!!!』


*


 昨日の昼過ぎ、突発的で局所的な地震が起きた。

 震源の深さ......不明。

 震源とされる場所、、、。

 丁度この一帯が震源とされている。

 本棚が倒れたのもお隣さんの壁越しの音も実は地震?だったのでしょうか、、、。

 建て付けが悪いこの部屋でよく耐えたと胸を撫で下ろします。

 幸いこの地域は内陸も内陸で津波の心配はまず有りません。

 一難は去ったのでしょう。

 部屋は散らかりましたが電気はつきます。

 水道は、、、つきませんね。

 仕方がないので水を買いに出かけます。

 外に出たのは、、、4日ぶりといったところでしょうか。

 ついでにストックの尽きかけている食料品も買っておいた方が良いでしょう。 

 流石に空腹も限界ですしね。

 何を買おうか、アイス?ラーメン?ハンバーガー?

 無い胸を弾ませてルンルンとホーム、玄関、扉の外へと飛び出します。

 

 あ。

 

 、、、スーパーやってるでしょうか。


*

 

 水曜!絶賛!特売日!

 デカデカと貼られたスーパーのチラシはこの先の展開を忘れさせてくれるようで、でもどうにも忘れられない鮮烈な赤。

 安いというものは視覚的によく赤と黄色が使われるようで。

 、、、どう見ても危険信号。

 そんな色をよく使うなと思ったものです。

 ご覧の通り人は居ません。

 、、、赤字なんでしょうか。


 前に来た時は人の行列で集合体恐怖症?の私はスマホを盾に、チラシ伝いに写真を撮っているかのように振る舞って、その場を通り抜けました。

 今はただひたすらにフリーパスです。

 スーパーのドアもフリーダム。

 普通に開けるのでどうやら開いているようですね。

 スーパーを散策し無人のコーナーを見回します。


*


 鯛、海老、蟹、チーズ、トマト、赤唐辛子、、、

 、、、このスーパーはとち狂ってしまったのでしょうか。

 何故か赤と黄色の食材ばかり置いてありました。

 あ、肉です。

 これもそう言えば赤いですね。

 スーパーのチラシといいとにかく安さを売り出したい店のようです。

 売るも何も店員もいませんが、、、一体どんなコンセプト企画なのでしょうか。

 地震で皆逃げてしまった、、、そう片付けるには何処か変な気もするのですよね。

 そう思いながら私はコーナーを散策します。

 お、ありました、ありました。

 黒豆、イワシ、麺にスープ、ゴマもあります。

 今日はラーメンにしましょう。

 昔、母が言ってました。

 頭が良くなりたいなら身体に良いものを食べなさいと。

 豆とか魚とかゴマも頭が良くなるらしいです。

 ラーメンは、、、そうですね。

 プラマイプラスです。

 

 そんなこんなで散策も終わり無人のレジへと参ります。


 チャリン


 何を買ったか紙に書いてその分のお金はちゃんと置いていくのです。

 気持ちよく家に帰る為の礼儀、というやつですね。


*


 ごまを摺り煎りましょう。風味が出て頭も良くなります。

 麺をお湯につけ湯切ります。お湯は無人の銭湯から少量買いました。

 誰も使ってる感じがなかったので大丈夫でしょう。

 天然温泉というより謎に蛇口で出すタイプの一般的風呂拡張版でしたし硫黄とかも混じってなさそうです。

 麺はさっと湯切るのがコツだとラーメン動画を見て学びました。

 多分大丈夫です。

 まず麺だけ少量食べ様子を見ます。

 、、、その間ゲームでもしながら過ごしますか。

 そうやってある程度問題ない事が分かったら本格的にお湯を買い出しに行こうと思います。

 それまではとりあえず買っておいた水と携帯食を食べ楽しみは後に取っておくのです。

 少しずつ賢くなって少しでも母に心配かけないよう頑張らないと、、、。

 ご飯の時間は終わりです。


*


 夕陽が又、差し込む時間になりました。

 あれからずっとゲームをしていましたが、私も少し成長したのです。

 消費するだけでなく吸収しないと人はダメになってしまうのだって。

 私はさっきまでずっと空腹でした。

 ゲームばかりしてたから。外に出て買い物までしたのだから。

 それが当たり前の生活でした。母に心配されるそれまでは、ね。

 だからちょっと本を読んであれからようやく完読したのです。

 タイトルは、、、読んでないけどね。


 、、、ほら


 夕陽をバックに本を読むのも優雅でしょう?

 きっと綺麗で賢くなれますから。

 電気を消して、赤光と静寂に包まれて。


 、、、少し賢くなれました。


 そろそろ太陽も沈む頃です。

 電気をつける前に本棚に、そっと本を戻しましょう。

 本棚もあれから何とか直したんですよ。

 テコの原理を使ってね。


 さあ、日が沈む前に眠りへと就く前に。 


 そっと本を置いたのです。

 

 おやすみなさい。



 世界分岐短編譚--地震は何を変えたのか--

 

 

 

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