松坂翼 43歳
キモいけど金のあるおっさんの俺が
可愛いAIの嫁と子供を授かって幸せになる物語
松坂翼は父親の3回忌の法要が終わって本当に何もかもが終わった気がした。
翼は43歳の独身で見た目は小太り、毎日お風呂に入っているのに何故か清潔感が感じられないそんな男だった。これまで身の回りのことは母親が全部してくれていて、祖母からも溺愛された唯一の男子だった。
100回お見合いを断られているが40過ぎた頃にはどうでも良くなっていた。12年前に従兄弟の早苗が男の子を出産しその後離婚して出戻ってからだんだん風向きが変わってきているのは感じていたがあんまり気にしてなかった。
それが2年前に父親の正志が急死してから一気に状況が変わった。
正志は遺言状に「姪である松坂早苗の息子悟に全財産を遺贈する」という公正証書遺言を作成していた。
その遺言には祖母もいっちょ噛んでいたが悟が財産を継いだことによって祖母も家から追い出されることになったのは皮肉な結果だ。
葬儀の後に家を出て行った母親はその後の手続きも全部弁護士に丸投げで自分の夫の3回忌にも結局来なかった。どこで何をしているのか、どこに住んでいるのかもさっぱりわからない。
自分は母親に愛されていると思っていたが、母親の正恵はそうは思っていなかったらしい翼はそう思った。
法事は叔父一家が取り仕切り早苗とその母親でお茶出しなどの細々としたことも采配された
「自分の夫の3回忌にも出てこないなんてなんて嫁なんだろう、だから翼くんもあんなんで・・・」
などという陰口も聞こえてきて本当に居た堪れなかった。
松坂家は代々続く大地主で男尊女卑も甚だしくいわゆる長男教の家柄だった。
家を継ぐ男子が絶対!そんな家風のなか次男である翼の父親が家を継いだのはひとえに翼が生まれたからだった。松坂家の期待を一身に受けた翼がいつまでも結婚せず子供を持たないのは言語道断だった。
娘しか授からずに家を継げなかった長男である叔父はここぞとばかりに仕返しをしてきた。
まず手始めには翼の父親が社長であった資産管理会社の社長に自分がなり、部長であった翼を会社から追い出した。その一連の出来事には祖母も加担していて嬉々として翼とその母親を追い出すことに精を出している間に自宅を売り飛ばされ(相続税の支払いに必要だったからというのもある)老人ホームに押し込められてしまって今日の法事にも呼ばれていなかった。
とりあえず翼は結婚したら住むつもりでそのままにしていた賃貸マンションのオーナー住戸に引っ越した
そこは、翼自身が建てた物件でいくつかそういった財産があったので追い出されれも困ることはなかった
だから、母親も一緒に引っ越してくると思っていたのに置き手紙もなく忽然と姿を消してしまった。
母親がいなくなったのに気がついたのは弁護士から連絡がきたからというのもなかなかお粗末な話ではあるが。
3回忌が終わって会食中も本当に面白くなかった。
周りの親戚連中は結婚して家族がいるのに自分は一人だけだったし、いままでチヤホヤしてもらえたのにその対象は悟に変わっていた。
ただ、早苗は息子の悟にはそれなりに躾をしていたのでベタベタに祖父母に甘やかされた自分とはちょっと違うなと翼は思っていた。
その日の晩は本当に面倒だったので喪服のネクタイだけ取って行きつけのキャバクラに足を運んだ




