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03-パードン?

「えぇー!? なんで土下座するのですか!? あの、頭を上げてください!」

「ダメだ! これをやらなきゃ……必要なんだ! 俺が何をしたのかのためと……そして、俺自身のために!!」

「うぅ……何を言っているのか分からない……あの、気にしないでください。だってさっきのことは……その……無意識にやったので……」


(ん……? あれ? 何だこの雰囲気?)


 なんとなく、予想外に変な空気になった。なんで赤くなってるんだろう――


「……くっ!」


 突然、全身にチクチクとした痛みが走った。それとともに、吐き気にも近いふらつきを感じた。

 姿勢が崩れ、腕で支えていなければ床に倒れそうなほどだ。


「あっ! 大丈夫ですか!?」


 彼女は俺の体を支え、ベッドに座るのを手伝ってくれた。


「無理しないでください。ひどい状態から目覚めたばかりなのですから……」

「うっ……いや、それでも……必要なことだったから……」

「……ふふっ。さっきのことはもう気にしないでください」

「……それじゃ、お言葉に甘えて……ふっ、改めて……無意識だったとはいえ 言い訳にはならない。本当にごめん」

「あはは……また 謝罪からですか」

「まあ、あはは……はっきりさせないとから」


 でないと、逮捕されるかもしれない。マジで……

 もうこの件が話題にならないように、きっぱりとケジメをつけなければならない。

 ロリコンの烙印を押されるのは嫌だ。


「えへへっ、本当に大丈夫です。どうぞ、ご心配なく」


(……かわいい)


 彼女は無邪気に笑った。年相応の笑顔で、明るく、見るからに元気だ。その笑顔の可愛らしさには、誰が見てもかわいいと思うはずだ。


(うん、彼女には、さっきの悲しそうな泣き顔よりも笑顔のほうが似合う)


 そう、これは自然な反応なんだ。彼女の笑顔を見て可愛いと思ったからと言って、俺がロリコンになるわけではないんだ。

 そう、俺はロリコンではないのだ、うん。


「えー……確か、君はあの子だよな?」

「はい。あの時は父さんを助けてくれて本当にありがとうございます。ブラッドフォード様が私たちを助けてくれて、本当によかったです」

「いや、それは気にしない……ん? ブラッドフォード様……?」

「あ、はい。学生証でお名前を知りました。圭ブラッドフォード様……ですよね?」


 ブラッドフォード圭……って……え?

 誰でが? 俺が? えっ?

 まさか……本当に…………

 俺が、ブラッドフォード圭……だとしたら、ここは……ここは本当に…………!


「あの……ブラッドフォード様? どうかしたんですか?」

「え? あ……いや、なんでもない……気にしないで……そうか……俺の学生証で……」


「はい、これです。倒れたときにポケットから落ちたんだと思います」


 彼女はそう言って俺にその学生証を渡す。


 学生証自体はシンプルなものだった。名前と持ち主の写真、そして学園の名前とエンブレムが書かれていた。変なところは何もない。


 しかし、それを見た瞬間、俺は動揺を禁じ得なかった。


(そういうことか……)


「……あの」


 だめだな。あんまり黙っているわけにもいかない。


「拾ってくれてありがとう」

「あ、いえ! 感謝するような大層なものではないですので…………それに……」

「ん? どうした?」

「えっと……その……」


 少女は何かを伝えたいようだが、何かの理由でそれをためらっているようだ。表情には、悩んでいることを物語っている。


 まさか――


「えっと……寝ている間に何かあった?」

「えっ! あ……それは……」


 その反応本当にまさか……!


「俺……さっきより、もっととんでもないことを……!?」

「え? あ――」

「やめてやめてやめて! 言わないでくれ! 頼む! 心が折れるから!」


 恥ずかしくてしゃがみこんでしまった。自分が何をしたのか知るのが怖いし、この後どうすればいいのか見当もつかなかった……


「あの! 違います! そんなんじゃないんです。ブラッドフォード様は何も悪いことはしていません! むしろ、とんでもないことをしてしまったのは私たちの方なんです!」


「……え? どういうこと??」

「あの……その……とんでもないことなんですけど……そうなんですけど……でもその……まだ何もしてないっていうか……本当にごめんなさい!」


 さっきよりも震えている……とんでもないこととは一体……まあでも、とにかく――


「そんなに緊張しないで……大丈夫だから。何の話かわからないけど、お前たちに悪意を持ってやったわけでもないだろう? なら、問題ないよ」


 何をしたのか見当も尽きないが、大したことではないだろう。

 俺が寝ている間に何かしてしまったかもしれない、という可能性に比べれば……

 うん……それ以上のとんでもないことはないと思う。


「ごめんなさい……」

「あはは、本当にだいじょ――」

「あるんです……」

「……ぶ?」


「実は……えっと、その……村のみんなが……ブラッドフォード様が、治らなかったり、意識が戻らなかったりした時にどうするか……っていう話をしてたのです……」

「……うん?」


「その……どこかに埋めるとか……森に捨てるとか……海に流す……とか……です」

「……」

「……」

「…………」

「…………」

「………………パードン?」

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