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第2話

第2話


2人の人物が何もない真っ白な空間を歩いている。片方は死神装束の人物。もう一人は渋い濃緑の着物を着て、まだまだ壮年で通じる男性。男性は、先ほどまで日本家屋で雪景色を見ていた人物である。先ほど死神に手を引かれて亡くなったはずの藤巽 奏。死んだ事など気にしていないように呑気に死神と話しながら歩いている。


「ここを通るのも久しぶりです。相変わらず何にもないですねぇ。そういえばダリウス。フードは取らないんですか?その下はもちろんガイコツなんでしょ?」


奏は、楽しげに死神装束に人物に話しかけた。ダリウスが死神の格好を嫌っているのは勿論承知で。特に自分の骸骨姿を見られるのを嫌がるさまを見てやろう、と内心大笑いしながら話しかけた。


「お前楽しんでるだろ!そんな事はどうでも良いんだよ。それより今回の人生はどうだったんだ?お前にしては大人しく過ごしていたじゃ無いか。」


ダリウスは、骸骨姿から話をそらすように、奏の人生の話を聞きたそうにした。ちょっと声が高くなったのはご愛敬である。そんなダリウスの声の変化に気がつかない振りをしながら、奏はまあいいかと思い、話しだした。


「いやあ、何回も転生しながらいろんな人生を過ごすうちに、普通の一般的な人生を送って見たくなったんですよ。中々楽しかったですよ。いろんな能力に制限をかけて過ごすのも。擬態が上手くなりましたよ。学生の頃はちょっとグレテみたり。家出してみたりとか。結婚するまでハーレムフラグ立てまくったりとか、娘の交際の邪魔したり。息子の恋人にちょっとフラグ立てたりとか。一般的な事をして過ごしてましたよ。ああ、あと会社の立て直しとかもしましたね。」


「それが一般的なのか?!お前の一般的は間違ってると思うが…」


ダリウスはこいつの家族は可哀想だったな。とちょっと青ざめながら、俺が迎えに行く担当だったら優しくしてやろう思った。こいつの事だから内心ノリノリでやったんだろうと予想していた。そしてその予想は当たっていた。家族のうち2人胃潰瘍で入院しかけたことが有るのだった。


「そうですか?ドラマなんかを参考にしたんですが。みんな楽しそうにしてましたよ。そういえば、娘が何か波乱万丈な人生ねって言ってましたね。何回か会社が潰れそうになったんですよ。でもそれで家族の絆が深まってよかったとも言っていましたから、テーマは『家族愛』って感じですね。世界的には目立ちませんでしたから大人しい方でしたよ。やっぱり危機が有ると絆が深まり、人は成長しますね。」


奏は楽しそうに家族の話をした。彼にとっては今迄にたくさんの家族を持ったが、ども家族もいい思いでがある。奏は、絶対記憶という能力を持っており頭の中に図書館の様に情報を整理し忘れるという事が無いのである。普段使わない記憶は、圧縮して外部に保存していたりもする。余談だが、会社の危機は、奏が裏でこっそりと起こした物である。バレテいたら袋叩きである。


「まあ、楽しめたんなら良かったが。一族の方には接触し無かったんだな。良かったのか?」


「問題無いですよ。私はただの相談役ですから。いてもいなくても問題ありません。」


「よく言うよ。お前はラーバレスティヤ一族のラーバレスティヤだろうが。一族の名前で呼ばれるって事実上のトップだろ。いいのか?」


「大丈夫ですよ。名前は長く生きていますから色々あるんですよ。中々面白い人物が育って居るようですし、それに余り一族のところに行くと面倒事に巻き込まれるじゃないですか。基本、うちの一族は変人ばかり出るからね。自由人ばかりですから。それに本当の緊急の時に使う、緊急連絡獣を置いていますら。」


奏は、いやラーバレスティヤは飄飄と答えた。ダリウスはラーバレスティヤとは長い付き合いだが、全てを知っている訳ではない。ただ、神に気に入られて記憶を保持したまま転生を繰り返していることを知っている。ある意味で有名な一族のラーバレスティヤを、死神の噂で存在を知り見に行ってみたらあっさりと見つかって、色々話すうちに仲良くなった。友人として面白いやつだと思っている。予想外のことを起すから楽しいのだ。これからもこの関係が続けばいいなと思っている。


「緊急連絡獣ってなんだ?」


「ああ。生きている時は良いんですが、死んでいる時は連絡がつきにくいので、丹月って名前の犬を一族の本拠地に飼っているんですよ。便利な子ですよ界渡が出来るので他界にも行けますし。賢いイイ子なんです。」


「それって神獣だろ!!飼ってるのかよ。」


「そうともいいますねえ。ちゃんと飼い犬登録はしていますよ。たまにドックショーに出たりして優勝したとか嬉しそうに報告してくれるんですよ。可愛いですよ。うちの一族のマスコットです。」


ダリウスは頭が痛いと、頭を押さえている。当り前である。普通神獣とは、崇められ大事にされてめったに人前には出ないものであるのに、ドックショーとは。神獣がペット?優勝を喜ぶ?ずいぶん俗物的な神獣である。ハァー、溜息が出てくる。まあ…あの一族だしな。無理やり己を納得させた。予想外の行動は楽しいが、偶に自身の体調が気になるダリウスであった。





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