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第五話: 孤高の翼、ヴァニットとの激突

「お前…ただの悪魔じゃないな。」

 クローが、二つの鋭い爪を構えながら低い声で言う。全身に纏う漆黒の鎧が微かに光を放ち、その鋭い目は目の前の女を捉えていた。


「ふふ、そうね。ただの悪魔じゃないわ。私はヴァニット。このメルセシアを侵略する天空城ガーデの執行者よ。」

 ヴァニットは黒い鎌を軽く振り、その巨大な刃が風を切る音が辺りに響く。


「あなたたちドラゴンナイツには悪いけれど、ここで死んでもらうわ。」

「そう簡単にやられると思うなよ!」


 クローは叫びながら前に出た。フレイアに指示を送り、彼女と共にヴァニットへ突進する。フレイアの大きな翼が風を巻き起こし、その爪でヴァニットに迫る。しかし――


「遅い。」

 ヴァニットは冷たく呟くと、その大鎌を軽く振っただけでフレイアの攻撃を受け流し、逆にその鎌の柄でフレイアの脇腹を打ちつけた。フレイアは痛みに鳴き声を上げ、バランスを崩して地面に降りた。


「フレイア!」

 クローはすぐにフレイアの背からに降りると、彼女を守るように前に立つ。


「お前、竜にも容赦しないのかよ…!」

「容赦? 戦場でそんなものは必要ないわ。」


 ヴァニットは淡々と答えると、今度はクローに向けて大鎌を振りかざした。その速さに目を見開いたクローは、間一髪で飛び退く。


「くそ…速い!」

「クロー、一人で突っ込まないで!」

 ハートがリンドに跨りながら叫ぶ。その手には、淡い光を放つ杖が握られていた。


「リンド、いくよ!」

 リンドが滑るように宙を舞い、ハートは杖を振るった。そこから放たれた光弾がヴァニットを狙い撃つ。しかし、ヴァニットは黒い翼を広げ、光弾を軽々と弾き飛ばす。


「これで援護してるつもり? 甘すぎるわ。」

 その瞬間、ヴァニットの鎌がハートに向けられた。だが――


「させるか!」

 ウイングの槍がヴァニットの刃を弾いた。銀色の槍が力強く振るわれ、ウイングはゼルフィードに跨りながらヴァニットと互角に渡り合う。


「なかなかの力ね」

 ヴァニットは興味深そうにウイングを見つめる。


「お褒めに預かり光栄だな。だが、俺は褒められるために戦ってるんじゃねえ!」

 槍が風を切り、ヴァニットの翼を狙う。だが、ヴァニットはその動きを読み切ったかのように軽やかに身を翻し、ウイングの攻撃をかわした。


「あなたたちドラゴンナイツは面白いね!」

 ヴァニットは微笑むと、再び大鎌を振るった。その刃がウイングの槍と激突し、火花を散らす。


***


「全員、退け!」

 その声と共に、一陣の風が戦場を吹き抜けた。地上に降り立ったのは、長い剣を構えたブレインだった。その瞳には確かな威厳と覚悟が宿っている。


「ガーデの幹部ヴァニット…お前の相手はこの俺だ!」


「ふふ、ようやく指揮官様のお出ましね。楽しませてくれるか!」


 ヴァニットは翼を広げ大鎌を振りかざし、疾風のような連撃を繰り出した。ブレインは冷静にそれを避けつつ、剣で反撃の機会をうかがう。

 一瞬の隙を見て、彼は前に踏み出し剣を振るったが、ヴァニットも巧みにそれをかわし、彼の頬をかすめる反撃を放つ。


「ちっ、遅い!」


 ヴァニットが嘲るが、ブレインの表情は変わらない。再び彼は剣を振り上げ、今度はより速く、より正確にヴァニットの攻撃を受け止める。二人の間で剣と鎌が激しくぶつかり合う音が、雷鳴のように響き渡る。


「くっ!あんなにスピードが上がるのか!」


 卓越した槍術をもつウイングだったが、この二人の次元を超えた交戦に自分の未熟さを痛感せざるを得なかった。


 互いに一歩も譲らず、剣と鎌が交錯し続ける。ヴァニットはブレインの剣技に驚いている様子も見せるが、彼女の攻撃は次第に激しさを増していく。ブレインもそれに応じて力強く剣を振り続け、何度も彼女の攻撃を受け止めながらカウンターを試みる。


「っ…!」

 ヴァニットが少し怯んだ瞬間を逃さず、ブレインは一撃を放ち、彼女の肩口を浅く切り裂いた。


「お前は強いが、ドラゴンナイツを甘く見すぎている。」


 その言葉に、ヴァニットは一瞬だけ表情を曇らせた。しかしすぐに笑みを浮かべ直し、後退する。


「ふふ、今日はここまでにしておくわ。また会いましょう、ドラゴンナイツ。」

 ヴァニットは黒い翼を広げ、空へと舞い上がった。


「逃げた…のか?」

 クローが警戒を解かずに呟く。ブレインは剣を収めると、厳しい表情で答えた。


「いや、撤退しただけだ。ヴァニットはまだ本気を出していない。」

「まだ…本気じゃない…?」

 クローは拳を握りしめ、悔しさを滲ませた。


「お前たちはよくやったが、まだ力が足りない。この戦いで得た経験を次に活かせ。」

 ブレインの言葉に、クロー、ハート、ウイングはそれぞれ心の中で新たな決意を固めた。


「次こそ、絶対に…負けない。」

 クローはそう呟きながら、フレイアの背に手を置いた。彼女もまた、戦いに疲れたように軽く唸り声を上げている。


「よしよし、大丈夫だ。次も一緒に戦おうな。」

 その言葉に、フレイアは優しく彼に応えるように鼻先を軽く擦りつけた。


ブレイン「よし!戦闘は終了だ!後は衛兵にまかせて、ドラゴンナイツは休め」

アルゼ「お疲れ様、皆様。お疲れ様」

ブレイン「貴女、まだいたんですか!引っ込んでてって言いましたよね!」

アルゼ「聞いて、違うのリューガ。引っ込んだのに幹部が下りてきたの!私のせいじゃないわ」

ブレイン「じゃあ何でリンドの尻尾にしがみついてたんですか?!ハートものすごい顔で二度見してたましたよ」

アルゼ「ふふっ、安心して……ヴァニットもよ!」


ーーーーーーーーーーやかましいわ!

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