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第五十二話: 終焉の玉座

 ――空の中心で、四つの光が交わる。


 バリアを失った天空城。その上空へ、ディヴァイン・クロー(天城(あまぎ) 颯太(そうた))、ディヴァイン・ハート(結城(ゆうき) 柚希(ゆずき))、ディヴァイン・ウイング(ロークス・フォルバン)、そしてドラゴン・ティアー(ヴァニット)が次々と集結した。各地で戦っていたドラゴンナイツの騎士たちが、中央の空域で再会を果たす。


「みんな、無事か!柚希、ロークス……そうか、ディヴァインナイツになれたんだな」


「ああ、まあな。柚希とラッシュのおかげだ」

 ウイングが頷く。


「ラッシュはどうしたんだ?」


「ラッシュは……すまねぇ、俺のせいで深手を負っちまって……」


 ウイングの悔いに、ハートが柔らかく口を開く。

「ロークス……。大丈夫よ。今は回復魔法で手当てしてる。回復したら追いかけるって言ってたから」


「そっか……ロークス、ラッシュの芯の強さはよく知ってるだろ。そんなに気にしすぎるなよ。……ヴァニット、ローランとアルベールは?」


「ローランはアズールと一緒に、アルを安全な場所に運んだら合流する」


「……アルベールは…………」

 クローが口を濁す。


()()()

 ティアーが静かに言う。3人の顔に沈痛な影が走る。


「アルベールさん……」

 ハートが小さく呟いた。


「……あいつは、ずっと苦しみの中にいた。最後は……安らかに、逝けたんだろうか」

 クローの声がかすれる。


「ああ。とても安らかな顔だったわ」


「……そう、か……」

 クローが目を閉じる。一拍の静寂。



「多分………。()()()()来ると思う!」


「…………?」

 一同、困惑したように顔を見合わせる。


「死んだんじゃないのか!?」

「死んだんじゃないの!?」

「死んだんじゃねぇのかよ!?」

「死んでない」

「おい、紛らわしいだろ!」

 ウイングが叫ぶ。動揺と苛立ちを含みながらも仲間が全員生きていることに安堵した。


「まあ。……とにかく、みんな無事で良かったよ」

 クローが笑う。


「そうね。でも……ここからが本当の戦いよ」

 ハートが天空城を振り返る。四人の視線が天空城に注がれた。


「……やっと、ここまで来たな」

 ドラゴンナイツたちが打倒ウロボロジアへの決意を胸に最後の場所へと思いを募らせている、その時だった。



 突如、島全体から低く軋むような音が響き渡った。

 空を漂っていた彼らの下。天空島ガーデが、まるで生き物のように身をよじらせ、ゆっくりと動き出していた。


「……!? なんだ……この感覚……」

 ウイングが息を呑み、目を細める。


 空中にいるはずの自分たちが、島のわずかな変位に“引きずられている”ような、底知れぬ違和感を覚えた。


「……この揺れ、この音……間違いない。ガーデが移動を始めている!」

 ティアーが眉をひそめ、鋭い声で断言する。


「な、なんだって!?」

 クローは驚愕に目を見開く。


「……動いてる!?今になって、ガーデは一体どこに行こうと……。」

 ハートが瞳を見開く。


「………………まさか」


 その不穏な予感は、地上にも届いていた。


 ***

 

「陛下! 天空島ガーデに異変が!」


 報告に反応し、戦場に広がる兵たちが一斉に空を仰ぐ。そこには、微かに――しかし確かに、軌道を変え始める天空島の姿があった。


「……っ、橋が……!」


 兵の一人が叫ぶ。空と地上をつなぎ希望の道であった光の橋が、メキメキしなると、ガラスが砕けるように割れ崩壊していく。無数の輝きが空に溶け、やがて虚無のような空間が取り残される。


「……この動きは……こちらに近づいてきている……?」

 レヴァ姫は蒼白となりながらも、戦姫としての鋭い眼差しで異変を見抜いた。

「推測ですが……。ウロボロジアは……天空島を、フィンストリオンに落とすつもりかもしれません!」


「な、何ですって……!? あの質量が直撃すれば――我々どころか、城も、民も……!」


「分かっています……すぐに国民を後方へ避難させて!」


「で、ですが……後方には既に、悪魔軍の包囲網で空まで埋め尽くされています!」


「地下からの脱出も、アレがもし地上に落ちるならば生き埋めになってしまうでしょう。国民を守り切れる安全な逃げ道がありません!」


 兵士たちの声が次々と重なり、地上の緊迫が高まっていく。レヴァ姫は、深く唇を噛み、指先を強く握り締める。


「……っ。攻めてこなかったのは、数で圧すのではなく、“逃がさない”ために布陣を張っていた”ということね……!」


 目を見開いたままの彼女の視線が、遥か上空を貫くように見据える。ウロボロジアは、この戦いに勝利など求めていない。ただ全てを道連れにすることを選んだのだ。


「天空島に乗り込んだドラゴンナイツと戦士たち……あとは彼らに託すしかありません。信じましょう!我々は最後までこの国を死守するのです!」

 レヴァ姫は静かに剣を抜くと、振り返って兵たちを鼓舞するように言った。


 ***


 ラッシュは高台に立ち、目を細めて島を見下ろしていた。複数の浮島が、ごくわずかずつ、だが確かに、滑るように軌道を変えている。


「……これは、ただの島の軋みじゃない。気流が……島全体が、魔力によって動かされている……!」


 その呟きに呼応するように、黒煙をかき分けてリザードマン部隊が島の彼方から現れた。先頭に立つのはテラ将軍。彼らは、天空島に点在する悪魔兵をなぎ倒しながら前進を続けていた。


「ラッシュ殿ッ!」


「テラ将軍……!ここで会えたか。見てくれ、この動き。浮島の一部が中央に向けて傾いている。何かが……起きている」


「……うむ」

テラが低く唸った。

「ガーデにいた頃、数度だけ目にした。これは……ウロボロジアが島を移動させるときの現象だ」


「移動?今更どこへ向かおうと?」


「方角からして……王都フィンストリオン」


「まさか、特攻を……?だが、島はわずかに上昇しているようにも見えるが……」


 その時、上空から声が降ってきた。


「ラッシュ騎士団長、テラ将軍!」


 白銀の風を巻き起こして、狼の戦士ローランがアズールとともに舞い降りた。アズールの背には、気を失ったアルベールが乗っている。


「ローラン!無事だったか。アルベールは……!?」


「心配ない、寝ているだけだ。安全な場所へと運んでからドラゴンナイツを追うつもりだったが……この様子では、どこも安全ではないな。ウロボロジアは天空島を落とす気だろう。」

 ローランが険しい顔で言った。


「ガーデを落とす……!?だが、どうやって……!?これほどの浮遊列島、島の生命力を断つにしても、直ぐに落とすことはできないはずだ」


 ローランは唇を噛み、視線を遠くへと向けた。

「いや……“ある条件”を満たせば、それは意図も容易く実現できる」


「……“ある条件”?」


「……この伝説を知っているか?天空島ガーデは神シヴァークが創りし浮島。その命が絶たれたとき、島は空を保てず、崩れ落ちると……。」


 ラッシュの目が見開かれる。

「聞いたことがある。それが事実ならば、シヴァークは今どこかに囚われていて、それを……」


「囚われている、正解ではあるが、正しくはない」

 ローランははっきりと否定した。


「……ウロボロジアこそが、シヴァークだ」


「なっ……!?」

 空気が凍りついたように静まり返る。


「……待て、どういうことだ?」

 ラッシュが食い下がる。

「封印の書では……ウロボロジアは、賢者たちの禁術が生んだ“災厄”だったはずだ!」


「……それは真実の一部に過ぎない」

ローランは重く首を振った。


「天空島でかつて行われていた魔法研究。その中で、制御不能な“純粋な闇の存在”が生まれてしまった。形なき“ウロボロジア”の原初だ。だが、それだけでは存在を維持できなかった奴は、最も強大な存在……この島を創りし神、シヴァークを取り込み、肉体と天空島の支配を手に入れたのだ」


「まるで見ていたかのような言い方だな……。そうか、ローラン、あなたが賢者の一人ということか。」


 ローランはゆっくりと目を瞑る。


「つまり、こういうことか?ウロボロジアはシヴァークとの融合を解除し、シヴァークを殺す気でいると。」


「おそらくそうだろう。ただ、どんな方法で分離しようと考えているのかはわからん」


「コアアアアッ!」

 アズールはアルベールをそっと降ろすと声を上げて天空城へと飛び立った。


「アズール……!猶予はない。やるべきことはただ一つだ。ウロボロジアの野望をここで止める!」


「アルベール将軍はこちらで預かろう!」

 テラの部下がアルベールの身体を抱え上げる。


「よし、我々も向かうぞ!」


 ラッシュとローランは天へと舞い、テラ将軍率いるリザードマン隊は地上を駆け出した。



「しかし、媒体なしでは存在できないウロボロジア……。分離し、シヴァークの身体を捨てたとして、その後はどうしようというのだ?………嫌な予感がする。」


 ***


「間違いない。ガーデはフィンストリオンに向かってる……突撃する気だな」

 ティアーが、島の向かう先を睨みながら、低く呟く。


「突撃?でも……高度が上がってるように見えるわ」

 ハートが空を見上げ、不審そうに問い返した。


「……そうか!より高く上がった後で、一気に島を落とすつもりなんだ。破壊の規模を拡大するために。ウロボロジアは不死だ。島が木っ端微塵になろうとも生き延びられる。」

クローが苦々しく言い放つ。


「最高戦力だったアルベールが敗れた時から、この計画を仕込んでたんだろうな。……とんだ悪あがきを、まさに外道の策だな……!」

 ウイングが静かに、だが怒気を込めて槍を握り直す。


「でも、どうやって島を落とす気なのかしら?」

 ハートが冷静に考えを巡らせる。


「今、どうこう考えている余裕はないぜ。島を落とそうってのはきっと当たっている、時間はもうあんまり残ってねぇ」

 ウイングがあせりながら呟く。


「……急ごう。ウロボロジアを倒して、ガーデを止めるんだ!」


「そうね」


「ヴァニット、あの城の構造はわかるか? ウロボロジアの居場所を教えてくれ!」


「ええ。……あの男の居場所は、いつも一つだけ。“玉座の間”――奴は、そこにいる」


「よし……!」

クローが拳を固め、気迫を滲ませる。


「全員、天空城へ突撃だ!!!」


***


 ドラゴンナイツたちはアーマードワイバーンの手綱を強く握り、雷鳴のごとき勢いで天空城の門を打ち破って城内深くへと駆け込んだ。


 咆哮。閃光。炸裂する魔弾。天蓋から吊るされた黒い魔符が砕け、壁の至るところから異形の悪魔兵が沸き立つ。無数の牙、槍、裂ける空間。だが――彼らの歩みは止まらない。


「邪魔だッッ!!」

 クローの双爪が黒煙を裂き、異形の獣を一撃で沈める。


「湧いてくるなぁ……なら――吹き飛べッ!ゲイルテンペスト!!」

 ウイングの爆裂する嵐の槍が、廊下ごと敵を吹き飛ばす。


「させないわ!」

 ハートが杖を掲げ、煌めく魔法陣を展開する。魔獣が放った黒い瘴気弾を反射し、それは軌道を変えて敵の群れへと突き刺さった。


「……やれやれ、もうこんなザコしか残ってないなんて、哀れね!」

 ティアーは冷静な表情のまま、次々と襲いかかる魔獣たちを神速の鎌で薙ぎ払い、突破口を開く。


 闇の城塞を進撃するその姿は、神話の神のごとく。敵の群れは為す術なく、ただ薙ぎ払われていくのみ。


 ーーーそして。



 幾重にも仕掛けられた封印陣を打ち砕き、無数の魔障を踏み越え―― 彼らは、ついにたどり着いた。

 天空城ガーデの最深部、《玉座の間》。

 かつては王が座し、民を導いた聖域。だが今やそこは、漆黒の王が君臨する闇の根城となっていた。

 重々しく閉ざされていた扉が、音を立ててきしむ。それはまるで、時の果てから呼び起こされる、最後の審判の号砲のようだった。

 空気が変わる――不穏な静寂。凍てつくような圧力。扉の奥からあふれる気配は、もはや生き物のものではなかった。

 闇が渦巻いている。玉座を中心に、魔力そのものが肉体を持ったかのように、のたうち、息づいている。そのただ中に、いた。


「……来たな……待っていたぞ………ドラゴンナイツよ」


 声が響く。深く、冷たく、世界の底から湧き上がるように。全身の血が凍りつくような気配が、四人を迎え入れる。

 彼のもの――玉座に座す者。この災厄の元凶にして、闇の王。全てを嘲笑い、全てを破壊し、全てを奪う存在。


「ウロボロジア!!!」

 クローの叫びが、玉座の闇を裂く。



 対峙するは、すべてを背負いし四人の英雄――。今、長き戦いの果てにして、最後の戦いが幕を開ける。

ー天空城前ー

クロー「みんな無事だったか!」

ウイング「ったりめぇだろ!颯……お兄さん……」

クロー「どうしたロークス?」

ウイング「ゆくゆくは、そうなるかなって思って」

ハート「でも、私の方が誕生日早いんで」

ウイング「兄貴って呼んでいいぜ!颯太くん」

クロー「頭打ったのか?おかしいのは髪型だけにしろよ」

ヴァニット「言うねぇ」

ハート「そうなった場合の颯太とロークスのカップリングは………。


クロー「兄貴はさ、お前みたいなやつじゃないと駄目なんだよ」

 ロークスは少し照れたように、でも真っすぐに颯太の目を見る。

ウイング「……ああ。俺も、そう思うぜ。」

 颯太の肩に回した腕を引き寄せて、彼女である私の前でくちびるをーーーー


ぃよっし!ご飯三杯はイケる!!」


ヴァニット「…………ハ、ハート?」

クロー「そういえば、ヴァニットはまだディヴァイン化してないんだな」

ヴァニット「そうだな。全然使えなかったぞ!役に立たない鍵の破片だ!」

ハート「というか、アズールと一緒じゃないんだから、そもそも竜魂共鳴できないじゃない」

ヴァニット「∑(゜Д゜)」

クロー&ウイング「………たしかに!」

ヴァニット「。゜(゜´Д`゜)゜。アズール(泣)!!!」


ー天空島ー

アズール「(呼んでいる……)コアアア!(やっと気づいたか阿呆が!)」

アルベールを振り落とし、飛び去るアズール。

アルベール「ぐぇっ!でかい蛇が……。うっ」

テラ「今、アルベール将軍が意識を取り戻した気が?!(でかい蛇?)」

リザードマン兵「もっと慎重にっ!」

ラッシュ「我々も天空城へ。ローラン、ウロボロジアはシヴァ―クを取り込んだというのは本当だな」

ローラン「そうだ」

ラッシュ「ところで、それが本当なら、その情報は。もっと、早く言うべきだったんじゃないか?」

テラ「………」

リザードマン兵「………」

ラッシュ「………」

ローラン「…………っへっへっへっへっへ!」

ラッシュ「おい、無垢な犬の真似をするのやめろ」

テラ「何の意味があるというんだ」

ラッシュ「最終戦だっていうのに何でしっかり情報共有しないんだ!そういうのは包み隠さずに伝えろ!私が前に組んだパーティの時は………」


・「ラッシュ、やはり女だったんだな」

ラッシュ「ああ、お前なんかに知られたくなかったんで隠してたんだ。文句あるか!」

・「かまわん。それにオレも何となく気づいてた」

ラッシュ「やはりバレていたか」

・「ああ、『何度か』入浴中に風呂を覗いたり、『何度か』寝ている時に胸を揉んではみたんだが、確信に至らなくて、それでも『何度か』繰り返すうちに、やはりそうなんじゃないか、と」


ラッシュ「(一回で解るだろっ)あの変態野郎、ぶっ◯すぞぉーーーー!!!」

テラ「ラッシュ殿ぉーーー!!!(なにごとぉ)」



ー地上、フィンストリオンー

フィンストリオン騎士「…………何か、(別の意味で)上が騒がしいですね」

レヴァ姫「………………。(↑何か聞こえてきた)」


ーーーーーーーーーー『あんなやつら』に運命を託してよかっただろうか。

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