第二十八話: 試練の地へ
翌朝、ヴェルランディア城の空は 曇天に覆われていた。
どこか重々しい雰囲気が漂う中、城門前には クロー、ブレイン、ウイング、ティアー の四人が立っていた。
彼らの目的地は 「竜の墓所」 。
そこは かつてのドラゴンナイツが試練を受け、神に近い力を手にしたとされる地。
今のままでは 天空城へ再び挑むには力が足りない。
新たな力を手にするため、未だ目覚めぬハートとリンドを城に残し、彼らは旅立とうとしていた。
「さて、そろそろ行くぞ。」
ブレインが一行を見渡し、宣言する。
「竜の墓所はヴェルランディアから東へ三日ほどの距離だ。道中、魔物や悪魔軍の襲撃も考えられる。気を引き締めて行こう。」
「……まさか私がこんな旅に同行することになるとはな。」
ティアー(ヴァニット)が 呆れたように苦笑する。
「ついて来たくないなら、帰ってもいいぞ?ヴァニット」
ウイング(ロークス)が軽くからかうと、ティアーは 不機嫌そうに睨みつけた。
「誰が戻るって言った? 行くって決めたんだから付き合うわよ。」
「ヴァニット、頼りにしてるぜ。」
クローは 軽く拳を突き出す。ヴァニットは 少し驚いた顔をしたが、すぐに小さく笑い拳をぶつけた。そしてウイングの方に向かい、小声で話しかける。
「しかし、ロークス。お前のことだからてっきり、俺たちの敵だった奴と一緒に戦えるか!なんて言うかと思ったんだけど」
「ああ、俺はそういう立ち位置なんだろうが……。ローランに命救われてるし、ヴァニットに傷の回復してもらって動けるようになったってのに、その態度じゃダサすぎるだろ?」
クローは、まあ、そうだな。と、笑いながら頷いた。
そして、 四人の戦士たちは竜の墓所を目指し、旅立った――。
***
ヴェルランディアを出発し、東へと進む。道は荒野へと続いており、岩場と乾いた大地が広がっていた。
「……空気が重いな。」
クローが呟く。
「竜の墓所が近いからだろうな。この地には、かつて数多の飛竜と戦士が眠ったという。彼らの魂が今も彷徨っているのかもしれん。」
ブレインが険しい表情で言う。
その言葉に、ティアーが 僅かに眉をひそめた。
「魂、ね……。私たちにとっては歓迎されざる客かもね。ナイツの魂がいるってことは、つまり “試練” ってやつも、その亡霊たちが相手って可能性があるってことでしょ?」
「……!」
その可能性に、クローたちは 緊張を覚えた。
「なるほどな……なら、余計に気を引き締めないといけないな。」
ブレインがそう言うと、ウイングが 前方を指さした。
「……見えてきたぞ。」
***
霧がかった丘の先に、巨大な岩の門 がそびえていた。門には 無数の剣が突き刺さっており、壁には古びた紋章 が刻まれている。
「ここが……竜の墓所か。」
クローは、門の前に立ち、深く息を吐く。
「伝説によれば、ここでかつてのドラゴンナイツが試練を受け力を得たらしいな。」
ブレインが慎重に門へと手を伸ばす。
しかし――その瞬間。
ズズン……!
大地が揺れ、門の奥から 低い唸り声 が響いた。
「……何か来るぞ!」
ウイングが警戒し、ヴァニットも大鎌を構える。
門の奥から現れたのは、巨大な骸骨の巨人 だった。その身体は 無数の骨と折れた武器 で構成されており、腕には かつてのドラゴンナイツの鎧 がいくつも取り込まれていた。
「……まるで、戦士たちの亡骸の集合体みたいだ。過去に試練を受けた者たちが、あの巨人の一部になっているってことなのか?」
ウイングが驚愕する。
「試練を乗り越えられなかった者たちの成れの果て……か。」
ブレインが剣を握りしめる。
「なら、俺たちがやることは一つ。俺たちは“生きた”まま、この試練を乗り越えるんだ!」
クローが カイを駆り、手綱に力を込める。
「ウオオオオオオ!!!」
骸の巨人が 咆哮を上げ、地面を砕きながら巨大な腕を振り下ろす。
「避けろ!」
ブレインの指示に従い、四人は一斉に散開する。巨人の腕が地面を打ち砕き、砂塵が巻き上がる。
「こいつ……動きは鈍いけど、一撃がデカい!」
ウイングが槍を構えながら叫ぶ。
「なら、素早さで翻弄するしかないな!」
ティアーが 黒い魔力を纏いながら駆け出す。
「“影鎌の舞”!」
ティアーの大鎌が 漆黒の軌跡を描き、骸の巨人の膝を切り裂く。しかし 。
「……っ!? 斬ったはずなのに、動きが止まらない?」
ティアーの攻撃を受けながらも、巨人は 傷口を瞬時に修復する。
「普通の攻撃じゃ効果がないか......!何か別の手が必要だ。」
ブレインが剣を構え、戦況を分析する。
「別の手……なら、これか……?」
クローは 手を握りしめる。骸の巨人を倒すには普通の力では足りない。
その時、彼の内側から 黒い炎のような力が湧き上がった。
(気を高めるんだ……。目の前の敵を打ち滅ぼす……。このテンションで)
クローの鎧が 黒いオーラに包まれ、異形の力が宿る。クローとカイの目が赤く輝く。それを目の当たりにしてブレインが目を見開く。
「クロー、まさか、それはあの時の姿か!」
「行くぞ、カイ!!」
クローが飛び上がり、漆黒の爪を巨人へと叩き込む!
「グオオオオオ!!!」
骸の巨人の身体が 黒い炎に焼かれながら、内部から崩れ始める。
「効いてるぞ!俺たちの攻撃じゃダメだったのに、クローの攻撃だけは通った!」
ウイングが叫ぶ。
「……あれは普通の力じゃない。むしろ私の方に近い力だ。」
ティアーが 低く呟いた。
「もう一撃だカイ!!」
クローが飛び上がり、再び 黒炎の爪 を巨人へと叩き込む。
同時に、ブレインが 巨人の動きを封じるように剣を振るい、ウイングが 巨人の関節を狙いながら槍を打ち込む。
そしてクローが最後の力を込め、 巨人の頭部を打ち砕いた!
「……オオオオオオオ!!!」
骸の巨人が 断末魔の咆哮を上げ、ついに崩れ落ちた。
***
「……はぁ……はぁ……。っぐ!」
クローは荒い息をつきながら 膝をついた。身体中に異常な痛みが走る。
(何だ……? 身体が……重い……!)
全身が 灼けるように熱く、同時に凍りつくような寒さを感じる。
「クロー、どうした大丈夫か!?」
ウイングが 駆け寄ろうとするが、クローは手を上げて制止する。
「っ……待て、大丈夫……だ……。」
だが、そう言いながらもクローの手は 震えていた。そして彼の鎧に纏っていた 黒いオーラが弾けるように霧散した。
「……っ!? 何だったんだ、今のは……!」
ウイングが驚き、ティアーも 険しい表情でクローを見つめる。
「……クロー。その力はもう使うんじゃない。」
ブレインが 低く、はっきりとした口調で言った。
「え?……どういうことだ」
クローは 息を整えながらブレインを見上げる。
「見ての通りだ。今のお前は、まるで別人だった。気づいていないだろうが、あの力を使った時、お前の目の色が変わっていた。」
「目の色……?」
「ああ。まるで 悪魔のようにな。 」
クローは ぎゅっと拳を握りしめる。
(あの時……俺は、本当に正気だったのか……?)
確かに 骸の巨人を倒すことに集中していた。だが、その間 自分がどういう状態だったのか曖昧になっている。
「……それに今のお前の体の異変も問題だ。おそらく、あの力は“お前の本質”と相反するんだ。」
「俺の本質……?」
「クロー、お前は“光”の騎士。ドラゴンナイツだろう?」
その言葉に、クローは 息を呑んだ。
「光の騎士が怒りや恨みなどを糧とする“闇”の力を使えば、反発が起こるのは道理……。お前の身体が苦しんでいるのは、そのせいだ。」
確かに、今の力は 巨人を倒す決め手になった。だが、それと引き換えに 異常な苦痛 を感じたのも事実。
「これは……俺の考えだが。お前が使ったあの力……“デビルナイツ”状態とでも名付けるか。」
「デビルナイツ……。」
クローは その言葉を呟く。
「もしあの力を使い続ければ、お前は いずれ自分を見失うか、肉体が耐えきれず崩壊する。 そんな力に頼るくらいなら、今は普通に鍛錬して、自分の本来の力を磨くことに目を向けるんだ。」
ブレインは 厳しい目でクローに釘を刺す。
「……分かった。」
クローは ゆっくりと立ち上がる。
「確かに……今の俺は、あの力を制御できてない。なら、使うべきじゃないな。」
そう言いながらも、クローの表情には 悔しさが滲んでいた。
(でも……巨人を倒せたのはあの力があってこそじゃないか。この先の戦いでも必要になるはず……。今は慣れていないだけだ。いずれ、あの力を完全にコントロールしてみせる!デビルナイツを)
心の中で 密かにそう誓う。
門に刻まれた紋章が 淡く光り始める。そして、ゆっくりと墓所の奥へ続く扉が開かれた。
ブレイン「目的地までは三日ほどだな。みな、準備はいいな」
クロー「ヴァニットすごい荷物だな。お前は単独飛行だろ、それ本当に担いでいくのか?何入ってんだ」
ヴァニット「食い物だ!三日もかかっては腹が空くだろ?その為に大量に持っていくのだ!なに、道なりに減らしていけばいい」
ウイング「まあ確かにな」
ヴァニット「お前らの分も持ってきてやったわ!食うだろ?」
クロー「おっ、良いのか?どれどれ、一体どんなものが入ってーーーー。」
アルゼ「!」
クロー「…………(怪訝な顔)」
ウイング「…………(怪訝な顔)」
ヴァニット「…………(・□・;)」
アルゼ「しー。(ウインク)」
クロー「ブレーーー」
ブレイン「(察した)置いてけそんなものっ!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーおのれリューガ!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーー何だと!この姫っ!!!




