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第二十六話: 漆黒の刃、ドラゴンティアー(前編)

 ヴェルランディア城へと帰還し、クローたちはアルゼリーテ姫へ戦況の報告を終えた。

 しかし、その安堵も束の間だった。


「報告します! 城の周囲に 悪魔軍の大軍勢 が押し寄せています!!」


 騎士の叫びが広間に響き渡り、場の空気が一変した。


「なんだと!?」

 ブレインが険しい表情で立ち上がる。


「ドラゴンナイツが敗戦したことで、ヴェルランディアが弱体化したと見て、攻め込んできたか……!」


「くそっ……!」

 クローは急いでカイの元に駆け寄り騎乗しょうとする、だが、、、。


「あ……れ……?」

クローは突然、目の前が真っ暗になり、勢い余って転倒する。


「何だ?この感じは?それに体が痺れて起き上がれない?!」

それは疲れとはまた違った感覚だった。まるで体を完全に固定されているかのようにクローは身動き一つとれない。ブレインはそんな彼を支え起こした。


「どうした?クロー。もしや、その鎧の形態変化が関係しているのか?」

「あっ!多分……。あの時、俺は怒りにまかせて、自分ではありえないほどの力を使っていた気がする、これは、その反動ということなのかもしれない」


 クローはまともに動くことができず、ウイングは重傷、ブレインも疲労の色が濃い。今の彼らは天空城での戦いで消耗しきっていてまともに戦える状態ではなかった。


「……マズいな。」

ブレインがかすれた声で呟くと、その声は重苦しい静寂にのまれた。


ヴェルランディア城を守る騎士たちも総動員されていたが、悪魔軍の数は圧倒的で、暗黒の群れが城門の前で広がり、夜空には無数の咆哮と邪悪な嘲笑が響き渡る。


その黒い影は、無慈悲にも城壁を包囲し、城内の光さえも飲み込むかのように闇が進行する。城壁の上から見下ろす光景は、まるで絶望の淵を覗くかのようで、それはもはや防衛戦というより、最後の瞬間を待つだけの死守であった。


 まさに絶体絶命――だが、その時。


「おい、あのドラゴンナイツが、こんなザマでいいのか?」


 低く、冷たい声が響いた。

 クローが振り返ると、そこにいたのは漆黒の鎌を肩に担ぐヴァニットだった。


「……ヴァニット?」


 彼女は不敵な笑みを浮かべながら、軽く首を鳴らした。


「ここまで攻撃を受けて、黙ってられるほど私はお人好しじゃないのよねぇ。」


 そして、ヴァニットは 一人で城門へと歩いていく 。


「待て! お前、何を――」

 クローが止めようとするが、ヴァニットは振り返りもせずに言い放つ。


「私はもう、悪魔の手先じゃないってことを、仲間の証ってやつを見せてあげるわ」


 そして、戦場の最前線へと降り立った。


***


 城門の前で、悪魔軍の先鋒が闇の剣を振りかざしながらヴァニットに向かって襲いかかる。


だが――。


「遅い。」


ヴァニットは静かに呟き、黒い閃光が走る。その刹那、悪魔兵の体が真っ二つに斬り裂かれ、爆発するように消滅した。悪魔軍の兵士たちは思わず足を止める。


「この私が、“悪魔”ごときに負けると思ってるの?」


ヴァニットが地面に鎌を突き立てると、漆黒の魔力が渦を巻き、無数の黒い刃が地面から突き出た。


「“黒翼の鎌舞”」


ヴァニットが鎌を振り上げると、刃が旋風のように飛び散り、敵軍を次々と斬り裂いていく。


「グアアアアッ!!」


数十体もの悪魔兵が一瞬で吹き飛び、瓦礫のように崩れ落ちる。ヴァニットの鎌が残りの兵を切り裂き、戦場は静寂に包まれた。



「……こんな奴と戦ってたのか……」「一人で、あれだけの悪魔を……!」


 城壁の上で戦況を見ていた騎士たちが、呆然と呟いた。

 ヴェルランディアの人々は驚愕しながらも、次第に「すごい……!」という感情へと変わっていった。


「さすが、ヴァニットだな。敵だった時は恐ろしかったけど、仲間になると、こんなに頼もしいのか……!」

 クローは戦場を見つめながら、呆れたように苦笑する。


***


 城を攻めていた悪魔軍をすべて葬り去り、ヴァニットは、戦場の中央に立ち尽くしたまま、血に濡れた鎌を肩に担いだ。


「……こんなもん?」

 彼女は振り返り、クローの方を見据えた。


「これで、信じてもらえた?」

 その言葉に、ヴェルランディアの騎士たちは互いに顔を見合わせた。


 やがて、ブレインが静かに進み出る。

「……ヴァニット。」


 彼は少し間を置き、堂々と告げた。

「お前に称号を与える。」


 ヴァニットの目がわずかに見開かれる。


「今をもって、お前は『ドラゴン・ティアー』だ。正式にドラゴンナイツの騎士として認めよう!」


 その瞬間、ヴェルランディアの騎士たちが 「おお……!」と感嘆の声を上げた。

 ヴァニット(ティア―)はしばらく無言だったが、やがて小さく笑った。


「ふーん……そんなの、別に欲しかったわけじゃないが。まぁ、ありがたく頂いておくわ」


 そう言いながらも、彼女の表情には、どこか誇りが宿っていた。

ヴァニット「別にあんたたちの為に戦ったんじゃないんだからね!

勘違いしないでよね!ナイツなんて興味ないんだからね!」

アルゼ「あ、では、ティア―の称号はいらないということでいいですか?」

ヴァニット「え?!」

アルゼ「じゃあ、これは私がもらいますけど、よろしいですね?」

ヴァニット「…………やだっ」

アルゼ「何か言いましたか?」

ヴァニット「やだっ!」

アルゼ「残念でした!もう称号は私のものですぅ!」

ヴァニット「やぁだぁぁ!私の称号返してぇぇぇぇ!!」

アルゼ「はい、駄目ぇ!!」

ヴァニット「わああああぁぁぁぁ!!!」



ーーーーーーーーヴァニットさん?!

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