第十話: 命の継承
呪われた森を後にしたドラゴンナイツたちは、城へと帰還した。フレイアを失った悲しみは重くのしかかるものの、彼女が守り抜いた卵という新たな希望がクローを支えていた。
その夜、天城颯太(クロー)は城の一角に用意された静かな部屋で、フレイアの卵をじっと見つめていた。卵は漆黒の鱗のような輝きを持ち、微かに光を放っている。その中に宿る生命の鼓動を感じ取るたび、颯太の胸には様々な感情が渦巻いていた。
「フレイア…お前が守ってくれたこの命、絶対に無駄にはしない。」
卵にそっと手を置きながら、颯太はそう誓った。その瞳には、悲しみと共に強い決意が宿っていた。
***
翌朝、颯太の元に結城柚希(ハート)とロークス・フォルバン(ウイング)が訪れた。
「颯太、大丈夫?」
柚希が心配そうな顔をして声をかける。
「…大丈夫だよ、柚希。フレイアのことはまだ整理がつかないけど、この卵を守るのが今の俺の使命だ。」
颯太は卵を見つめながら静かに答えた。
「お前がそう思えるならいいんだがな。」
ロークスは少し気まずそうに槍を肩に担ぎながら言う。
「フレイアの代わりにこの卵がどんな竜になるのか…俺たちも見守らせてもらうぜ。」
「ありがとう、ロークス。お前らがいてくれるだけで心強いよ。」
颯太は軽く微笑み、二人に向けて感謝の言葉を述べた。
「それにしても、この卵、すごく立派ね…何だか神秘的。」
柚希が卵に手を伸ばし、そっと表面に触れる。すると、卵が優しく光を放ち、その中から微かな脈動が感じられた。
「もうすぐ…生まれるのかもしれないな。」
颯太が呟く。その言葉に、二人は静かに頷いた。
***
その日の夜、卵が突然強く輝き始めた。
「これは…!」
颯太が卵を抱きしめると、その中から生命の力強い鼓動が感じられる。そして、卵の表面に亀裂が走り始めた。
「生まれるのか…!」
強い光に柚希とロークスが駆けつける。
卵の割れる音が響く、三人が見守る中、小さな頭がゆっくりと現れた。それはフレイアによく似た漆黒の鱗を持つ赤ん坊の飛竜だった。だが、その体はどこか光沢があり、まるで新しい時代を予感させるような威厳を放っていた。
「…お前がフレイアの子供か。」
颯太は赤ん坊の飛竜を優しく抱き上げ、その小さな瞳を見つめた。その瞳には、フレイアと同じような強さと優しさが宿っている。
「お前の名前は…そうだな…『カイ』だ。」
颯太が名付けると、カイは小さく鳴き声を上げた。その声には、まるで新たな旅立ちを告げるような力強さがあった。
カイはまだ小さな体ながらも、その成長は驚異的に早かった。颯太は毎日カイの世話をしながら、彼との絆を深めていった。
***
「よし、カイ。これが飛ぶ練習だ。」
クローはカイを訓練場に連れて行き、翼を広げて空に舞い上がる練習をさせた。カイは最初は不安定だったものの、すぐにコツを掴み、軽やかに宙を舞うようになった。
「すごいな、カイ! お前、本当にフレイアの子供だ。」
その成長ぶりに、ハートとウイングも驚きを隠せなかった。
「すごい速さで成長してるわね…まるでフレイアが力を託してるみたい。」
ハートが感慨深そうに呟く。
「こいつなら、すぐに戦場でも活躍できるだろうな。」
ウイングが槍を回しながら笑った。
***
しかし、その平和な時間は長くは続かなかった。
ブレインが急ぎ足でクローたちの元に現れた。
「天空城が再び動き出した。次の刺客がメルセシア北部を侵略している。」
「また新たな敵か…!」
クローが拳を握りしめる。
「その刺客は“マルクス・オーグ”。天空城の最精鋭部隊を率いる将軍だ。彼らがこの国に本格的に侵攻を始めた以上、もう後がない。」
リューガの言葉に、クローたちは表情を引き締めた。
「カイ、お前も一緒に行くんだ。」
クローはカイを見つめながら言った。その目には、フレイアとの絆を継ぐ決意が込められていた。
カイは力強く鳴き声を上げ、その翼を広げた。その姿は小さな体ながらも、まるでフレイアの意思を受け継いだ戦士のようだった――。
ロークス「生まれるのか…!」
パキパキパキャーンッ!
生まれた。
アルゼ「!」
目が合った。
カイ「!ーーーーーーーママ?」
ーー『刷り込み』動物が生まれてから初めて見たものを親として認識し、強い依存や愛着を持つ現象。ーー
颯太「Σ(゜ロ゜;)」
柚希「Σ(゜ロ゜;)」
ロークス「Σ(゜ロ゜;)」しゃべt
リューガ「なんてことをしてくれたんですか…………。」
アルゼ「反省はしています。でも、後悔はしていません!」
ーーーーーーーーしろっ!




