17話:5人で町を守る
ライゼンは集会所を後にし、町の路地を抜けて、仲間たちが宿にいる場所へ向かった。ダリック、アリス、カイル、エリナの4人に、これからの計画を話さなければならない。彼の提案がうまくいけば、彼らにとっても新たな生活が待っているのだ。
父デービットの食堂に到着すると、ダリックとアリスは狩りから戻っており、エリナは食事の準備をしていた。カイルは醸造所での作業の合間に戻ってきて、皆が揃っていた。ライゼンは、彼らを部屋に集めて話を始めた。
ライゼンは一息ついて、仲間たちの顔を順に見た。部屋の空気が少し緊張したものに変わっていくのを感じながら、彼は真剣な表情で話を続けた。
「一つ、大事な話がある。最近、この町に夜盗が出るという噂が広がっている。実際、町の端の家々が何件か襲われたらしいんだ。」
その言葉に、アリスが眉をひそめた。「夜盗か…。そんな話が本当だったのか。襲われた家はどうなったんだ?」
ライゼンは頷きながら答えた。「被害に遭った家では、金や食料が盗まれている。町の警備が手薄な時間帯を狙って、夜中に動いているみたいだ。町の長オスカーもかなり危機感を持っている。」
「そんな連中がこの町にまで来るとはな」とダリックが拳を握りしめた。「警備を頼まれる理由が分かったよ。俺たちも気を引き締めておかないとな。」
カイルも不安げな表情を浮かべながら、「それで、夜盗はどれくらいの人数なんだ?」と尋ねた。
ライゼンは肩をすくめた。「はっきりした人数は分かっていない。だけど、数人で手早くやっている可能性が高い。それに、今はまだ町の端の家々を狙っているけど、もし警備が手薄なままだと、次はもっと中心部の家や商店が襲われるかもしれない。」
エリナが小さく息を呑んだ。「そんな危険な状況だったなんて…。どうして今まで誰も教えてくれなかったの?」
「町の長や警備の人たちも、パニックを避けるために詳しい情報を広めていないんだろう」とライゼンは答えた。「でも、今はそんな状況じゃない。だからこそ、俺たちの役割が重要なんだ。夜盗がこれ以上好き勝手できないように、しっかりと守らなきゃならない。」
ライゼンは良い感じかなと、周りを見て再び話し始めた
「みんな、少し話がある。実は、町の警備について提案してきたんだ。」
「警備?」とアリスが驚いた顔で言った。「まさか、俺たちがやるのか?」
ライゼンは頷きながら続けた。「そうだ。町の警備を10日間、俺たち5人で担当する。報酬は銀貨10枚、少し安いが、重要なのはその後だ。町の住民として認めてもらえて、宿暮らしから解放されるんだ。家を用意してもらって、俺たちがここで住むことができるようになる。」
ダリックは腕を組みながら、「それは悪くない話だな。ただ、10日間で銀貨10枚ってのは確かに少ないな。俺たち、もうちょっと値上げできなかったのか?」と不満そうに言った。
ライゼンは笑いながら答えた。「分かる。でも、俺たちがこの町で認められるための第一歩なんだ。ここで暮らして、安定した生活を送れるのは大きい。それに、銀貨10枚は一時的な報酬だ。これが終われば、もっと良い仕事や機会が増えるかもしれない。」
エリナが口を開いた。「確かに、住む場所が手に入るのは嬉しいわね。宿代もかかるし、自分の家があれば安心して過ごせるわ。」
「うん、俺もそれが一番の魅力だと思う」とカイルが同意した。「ただ、醸造所からあまり離れられないけど、警備には協力できるよ。日中、醸造の作業がない時間なら、見回りもできるし。休憩時間に醸造所の周りを警備することもできるしね。」
ライゼンは頷いた。「ありがとう、カイル。それで、警備のシフトを考えたんだけど、どうだろう。日中は、ダリックとアリスが午前中を担当してくれ。俺とエリナが午後の警備を担当する。夜は俺がスケルトンを召喚して、町の外周の家々に一体ずつ立たせる予定だ。」
アリスが眉をひそめた。「スケルトンか…少し怖いけど、夜間の警備なら効果はありそうだな。俺たちがずっと見張りに立つより、楽になるだろう。」
「そうだよ」とライゼンが続けた。「スケルトンが夜中の警備を担当してくれるから、俺たちも無理なく回せるはずだ。日中の警備は俺たち5人で、町の人たちとも協力してやっていこう。」
ダリックはしばらく考え込んでいたが、やがて頷いた。「分かった。安い報酬だが、住む場所が手に入るなら悪くない。俺たちも腹を決めよう。」
「よし、それじゃあ明日から始めよう」とライゼンは言った。「町の住民として、俺たちがしっかり守っていこう。」
エリナが笑顔を見せた。「それなら頑張らないとね、ライゼン。私たちが町を守るなんて、少し緊張するけど、楽しみでもあるわ。」
「俺たちでやるしかないな」とカイルも微笑んだ。
ライゼンは仲間たちの顔を見渡し、これからの挑戦に向けての団結を感じた。警備の責任は重いが、彼らには確かな絆があった。
アリスが意を決したように立ち上がった。「分かった。夜の警備はスケルトンに任せるとして、私たちも万全に準備しておこう。いつ何が起きても対応できるように。」
ダリックも同意し、しっかりとした声で言った。「そうだな。俺たちがこの町の人たちを守る。警備の仕事を全うして、家を手に入れるためにも、全力を尽くそう。」
ライゼンは頷き、全員の決意を感じ取った。「そうだ。俺たちが力を合わせれば、夜盗なんかに好きにはさせない。この町を守るのは俺たちだ。」
エリナも静かに立ち上がり、微笑んで言った。「私もできることは全力でやるわ。町の人たちが安心して暮らせるようにね。」
ライゼンはその場の雰囲気をしっかりと胸に刻み、再び口を開いた。「よし、それじゃあ明日からの警備計画に従って動こう。みんな、準備はいいか?」
全員が頷き、力強く答えた。「ああ!」
こうして、ライゼンとその仲間たちは、夜盗から町を守るために力を合わせて動き始めるのだった。




