客
ある日の夜、ファビは深夜にもかかわらず占いを始めた。
占いカードに魔力を流しては止め、流しては止めを繰り返し、必死に何かを占っていた。
目が覚めると俺は首もとが筋肉痛になっていた。
昨日は久しぶりに柔軟体操をした。特に普段使っていない筋肉を使った。筋肉痛になったのはこれが要因だろう。
窓からはいつも通りの朝日が俺を照らしている。
廊下にはカードや水晶が落ちており、それらを枕のように頭を上に乗せているファビが寝ていた。
俺は何事もなかったかのようにファビを無視してキッチンに向かった。
ファビは何考えているかわからない人である。占いにこだわっているのはもちろん、実は筋トレをしていたり、趣味が山登りだったりとギャップが多い一面もある。ここまで来ると「変人」という称号をあげたいくらいだ。
キッチンで水を飲むと、俺は着替えようとした。が、来客のためそのまま玄関に向かった。
タキシードを着たおじさんが玄関に立っていた。
「朝っぱらからすみません。家主さんをお連れしてもらえませんか?」
被っていた帽子を手に持ち、礼儀正しく一礼して気品のある姿はまるで貴族のようだった。ただ、少し顔色が悪い。
この家の家主はエアナだ。エアナは修行中である。女術師が騎士団に入団するためには最低でも2年間の修行をし、入団試験に突破しなければならない。レルガとファビは護衛である…らしい。
俺は料理をしているエアナを呼んだ。エアナは火加減の調節を俺に頼んですぐ玄関に向かった。
玄関の声はこちらからよく聞こえる。
「涼しくなってきましたね。今夜はさぞかし冷えることでしょう。さて、ベルロンとの戦闘も近づいてきました。このままでは一ヶ月後にはここも焼け野原になることやら。」
「あら、ベルロンは魔王軍の… いよいよ戦闘ですのね。私も全力を尽くしますわ。今回はあの方が誕生することを祈って…」
なんてことだ。俺が経験したことのない「戦争」、隣の国は魔王軍と戦って2/3の戦力を失ったと言われている恐ろしいもの。それが戦争だ。
「今回はあの方誕生の希望を増やすために国民強制参加にする予定でございます。予定は二日後ですが、貴族とその同行者は今日から可能です。」
「了解ですわ。本日は… 丁度丸一日空いていますわね。」
二人の会話を盗み聞きいてから震えが止まらなくなった。魔族と会ったときは強いオーラが隠しきれていなかったことを覚えている。あんなやつらとは極力戦いたくない。
それと、「あの方」とは一体なんのことだろうか。神とか魔神とか…とにかくクランチ国勝利に大きく影響される存在であることには間違いない。
すると、何やら焦げ臭い臭いがした。手に持っているものを恐る恐る目に移すと…目玉焼きが焦げていた。すぐ火を消して目玉焼きを皿に移した。が、半熟が好きなエアナの求めている目玉焼きとは程遠かった。
「う、ゴホゴホ… 申し訳ございません。先程道で魔物から毒を浴びてしまって…」
人が倒れたような音が聞こえた。声もさっきより弱々しくなっていた。
そのとき、俺は左の棚にポーションが置いてあることを思い出し、即座にポーションを手に取った。
「まあ…毒に侵されながらも訪問してくださったのですわね。少々お待ちくださいまし。ポーションを…」
「はいどうぞ。」
「エディ!速めな対応に感謝しますわ。」
エアナは俺の動きに戸惑っていたが、そんなことは気にせず客にポーションを渡した。客はポーションを受けとると、すぐ口に含んだ。
「では、すぐに準備をお願い致します。せっかくなのでご同行させてください。」
「え、今からじゃなくてもよろしくて?」
「誠に申し訳ございませんが、今日の午後は訪れる方が多いため、今からがいいと思いまして…。予約優先ですから最悪日にちが変わることもあります…。」
「は、はい。わかりましたわ。では、レルとファビを呼んできてくださいまし。」
俺たちはすぐに支度を済ませ、出かける準備をした。
俺もそうだが、レルガは「どこいくのー?」と呟き、行き先が分からないまま支度をした。
ファビは寝違えたらしく、首が傾いている。
客は徐々に顔色が良くなり、自力で歩けるくらいには回復した。一同は客の合図で家を後にした。
この客はまるで己の命より通達を優先したかのようだ。
こんばんは お久しぶりです!
最近免許がほしくて自動車学校に通っています!小説もぼちぼち投稿できたらなと思っています




