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ダンジョン

ファビはカード片手に雑魚モンスターの居場所を指差し、俺とレルガでそのモンスターを倒していた。

ちょうど10匹目のモンスターを倒したとき…

「どうだ!レル!我の占いは役に立つだろ!なぁ?」

ファビはレルガの肩に手を置いて目を輝かせている。

「た、たまには役立つこともあるな…」

レルガはファビから目を反らしている。

「でしょでしょ?もっと誉めてくれてもいいのだよ?」

(言わされているだけなのでは…)

誰がどう考えても言わされていることがわかる。

「そ、そういえばエアナは?」

俺は無理やり話題を変えようと、割り込むように二人に質問した。

「エアナなら第一階層に置いてきたぞ。怪我の治療をしていたからな。すぐに追い付くはずさ。」

「キラーラビットに噛まれたからなぁ。それで、次の占い方法は何が良い?鉄板のタロット?水晶?それとも…」

俺は二人のことを諦め、モンスターが落とした魔石や鉄鉱石を拾い始めた。

拾っている最中地面の揺れを感じ、手を止めて

「大丈夫ですか?」

と聞こうとしたときにはもう遅く、振り向くとそこには大きく割れた地面と回収予定のドロップアイテムだけがあった。


正確には地震によっての地割れである。


「ファビ!レル!」

俺が叫んだ声は第3階層全体に響いた。しかし返ってくるものは何もなく、無音のみであった。

二人は今の地割れによって下の階層に落ちた、としか考えられない状況であった。


怖い、暗い、行きたくないという感情を押し殺し、俺は覚悟を決め、風魔法の空気噴射を使いながら地割れの中に落ちていった。


(空気噴射は少しでも威力をミスったら変なところに飛ばされるかバランスを崩して落ちるかの二択だ。)

右に、左にと空気を送りながら常に足元に空気を集中させていく。ここまで連続して魔力を消耗したのは貴族から逃げるとき以来である。


そして、ついに足が地に着いた。

かと思えたが、その地面は足場が悪くゴツゴツしていて、大きな翼のような柱が俺の目の前にあった。

恐る恐る目を下に向ける。と…


そこにいたのは…赤くて翼が生えた生物…レッドドラゴンであった。


幸いドラゴンは眠っていたが俺はその場に座り込んでしまった。

安全に飛んでいける魔力はもうなく、どうするべきなのかわからない状況である。


レルガとファビは同じ場所で倒れていた。

「いったぁ!我の防御魔法がなかったら二人とも無傷ではいられなかったではないか!…ぁ」

ファビが起き上がるとすぐさま俺を発見し、言葉が出なくなった。

「あ、ああ。ありがとよ。それよりも、これはどうする…。」

レルガも俺を見つけたようだ。


レルガとファビのすぐ横にはレッドドラゴンと、ドラゴンの上で座っている状況であった。

「な、なぁ、エディが背中から降りている最中にドラゴンが起きたら危険だよな。第一、あの状況でエディが無事に降りてこれるか…」

ファビの声は震えているが、いつも腰に付けている魔道具を手に取り、構えている。

「ああ、やはり二人で眠っている間にドラゴンを倒すことがベストだが、ドラゴンを倒すときはいつもエアナがいる。」

レルガもファビに続いて剣を構える。

「いつもならエアナの魔法の狙いを定めさせるために我の魔道具でドラゴンを感電させて動けないようにして、」

「エアナの魔法で翼を破壊して弱体化させてから俺とエディがトドメを刺す… だったが大丈夫だ。今は寝ているから翼破壊担当は俺がやる。ついでにエディもその時に助けるからトドメを頼む。」

二人はお互いの顔を合わせ、頷いた。


「いつでもいける。」

「ああ…いくぞ!」

レルガは勢いよくジャンプし、右側の翼を 切断した。

続けて左側を切断する…予定だったが、ドラゴンは右側の翼が切断されたことによって目覚め、左側の翼だけを上下させたことにより、レルガは空振りをしてしまった。


「うわぁぁぁ!」

俺は左側の翼だけで羽ばたいているドラゴンの上でバランスを崩し、鱗にしがみついていた。

下を見ると、何度も何度も剣を届かせようとジャンプするレルガと、タロットカード片手に詠唱しているファビの姿が見える。


俺は「自分だけ何もしていない」ということがそれを見て理解した。

勇気を振り絞り、鱗を次々と掴み、手で翼まで移動していく。翼の根元までたどり着くと、翼は意外と細く、剣で切断できると判断した。

俺は深呼吸をして右手で剣を構え、鱗を持っている左手を…離した。

そして、剣に普段かかっている付与を重ね掛けし、剣を振った。

「グサッ」と音がして翼が切断されたのだ。


俺は着地してすぐ剣を構え、目を狙い剣を振ったのと同時にファビの氷魔法がドラゴンの心臓部分に命中し、そのまま貫通した。

ドラゴンの体は崩れていき、巨大な魔石と貴重な金の塊を落としていった。


ファビとレルガはすぐさま俺のところに駆けつけた。

「やった!!!ナイスだよエディ!」

「怪我はないか?」

「は、はい!大丈夫です!」

レルガは差し出した手を取り、ゆっくりと起き上がった。

俺とレルガは泥だらけになっていた。


ファビはかなり原始的な魔法を好むため、魔法技術と文字配列の知識が必要な上に魔力量がある程度ないと使えない文字配列法を得意とする。


レルガはヘトヘト、俺は魔力不足ということで、ファビの魔法で第3階層まで飛んでいくことになった。が、この後、置いてきぼりにされて不満そうに待っていたエアナに怒られたのは言うまでもない。

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