二年後の未練
俺はミスリルを加工してもらおうと、鍜冶屋にやって来ていた。店の外見はボロく、今にも倒産しそうな見た目だったが、店内はきれいに整頓されており、客が何人もいた。俺はカウンターの列に並び、一人、また一人と、自分の番になるまで待っていた。そしてついに、俺の番になった。鍜冶屋の店員にしては珍しい女性の店員がカウンターに立っている。女は『リン』と書かれたネームプレートを服に付けている。
「こんにちはー。ぼく一人?」
「は、はい。えっと、リン…さんですか?」
「そうだよー。私はリン。よろしくねー。」
リンは笑顔で答えた。
「このミスリルを剣に加工してほしくて…。」
俺はミスリルをバッグから取り出してカウンターに出した。
「へぇー。ミスリルなんてすごいじゃん!」
リンはミスリルを手に取ると、女はそのまま無言でミスリルを上下左右に回したりした。細腕なのにミスリルを片手で軽々と持ち上げていることに、俺は驚いてしまった。
「えっとね。大変申し訳ないけど…この量だと剣に加工することは難しいかもしれないの…。」
リンはミスリルをカウンターに置いてそのまま俺のいる方向に返したた。
「え?!そんな…!」
「本当にごめんなさい!ただいまミスリルは在庫を切らしていまして!ミスリルは貴重なものなので入荷まで、何ヵ月かかるかわかりません…。」
俺は無言でミスリルを抱えて店を後にした。その後のことはよく覚えていない…。
(い、今のは…。)
俺は自分の部屋で寝ていた。部屋には散乱している装備品とミスリルが転がっている。どうやら俺はクローゼットの整理中に寝落ちしてしまい、夢を見ていたようだ。
二年前、俺はミスリルを剣に加工しようとしていた。しかし、ミスリルの量が足りず、そのままになっていた。これを今になって思い出していた。
(そういえば、今使っている剣は予備の装備として買っていたものを引っ張り出してもらったやつだったな。)
俺はカーテンを開けた。外は明るく、眠ってからだいぶ時間が経っているようだった。俺は目を隠しながら朝日を見た。
「レル!朝食の準備ができましたわ!昨日ギルドのおじさまがおっしゃっていました、『デビルラビットの煮物』を味見していただけませんか?」
と、下の階からエアナの声が聞こえてくる。
俺は落ちているネックレスとミスリルを拾い、クローゼットの中に入れ、階段を降りていった。




